ほふく性ローズマリーの育て方|グランドカバー・下草としての使い方も解説

ほふく性ローズマリー 植物ガイド

ほふく性ローズマリーは、爽やかな香りのある常緑の葉を楽しみながら、枝が地面近くを横へ伸びたり、花壇や鉢の縁から垂れたりする姿も楽しめるローズマリーです。

立性ローズマリーのように上へ大きく伸びにくいため、低い場所へ緑を加えたいときや、斜面、花壇の縁などにも利用できます。青~青紫系の小さな花が咲く時期には、葉だけの時期とは違った景観も楽しめます。

一方、芝生のように踏んで使う植物ではなく、草本のグランドカバーとも性質が違います。ローズマリーは常緑低木なので、育つにつれて枝が太く木質化することも考えて植える必要があります。

我が家では、ほふく性の「プロストラータス」を育てています。
以前一度枯らした経験がありますが、最近あらためて苗を購入し、現在は半日陰の下草として使えるか試しているところです。

ほふく性ローズマリーとは

ローズマリーには、上方向へ伸びる「立性」、横方向へ伸びたり枝垂れたりする「ほふく性」、その中間的な「半ほふく性」があります。

ほふく性は高さよりも横方向への伸びが目立ち、地面に沿って枝を伸ばしたり、段差があれば下へ枝垂れたりします。

そのため、低い場所を覆うだけでなく、斜面や花壇の縁、高さのある鉢など、立性とは違った場所で樹形を生かせます。

ローズマリー全体の特徴や立性を含めた品種の違いについては、別記事「ローズマリーの育て方」で詳しく紹介しています。

ほふく性ローズマリー

基本情報・育て方早見表

項目内容
科・属シソ科サルビア属
分類常緑低木
樹形ほふく性
高さ低く育つが、品種・仕立て方・栽培環境による差が大きい
広がり方枝が横へ伸び、段差では下へ垂れる
開花期秋~翌春を中心に開花 ※品種・環境による
花色青~青紫系など
日照日なたが基本
半日陰△ 栽培できる場合はあるが、日なたが基本。湿りやすい場所は避ける
真夏の強い日差し品種・環境による。高温期の乾燥や鉢の過熱にも注意
耐暑性比較的強い
耐寒性品種による
乾燥比較的強い
過湿苦手
冬の状態常緑
植え付け春・秋
植え替え春・秋を中心に、暑さ・寒さの厳しい時期を避ける
剪定混み合った枝や伸びすぎた枝を整理
地植え○
鉢植え○ 枝を垂らす仕立てにも向く
増やし方挿し木など
主な病害虫ハダニ、アブラムシ、カイガラムシなど
主な注意点過湿、蒸れ、日照不足、木質化、横への広がり

※品種や栽培環境によって異なります。

ほふく性ローズマリーの魅力

横へ広がる独特の樹形を楽しめる

ほふく性ローズマリーの大きな特徴は、上へ伸びるよりも横方向へ枝を伸ばすことです。

平らな場所では地面近くを這うように広がり、花壇の縁や段差では枝が下へ垂れます。

単に「背の低いローズマリー」と考えるより、この横へ伸びる性質を生かせる場所を選ぶと、ほふく性らしい姿を楽しめます。

一年中葉を楽しめる

ローズマリーは常緑低木なので、冬に地上部がなくなる宿根草とは違い、一年を通して葉を残します。

低い場所に常緑の植物を取り入れたいときには、この性質も魅力になります。

ただし、強い寒さや霜などによって葉や枝が傷むことがあり、耐寒性にも品種差があります。

香りと花も楽しめる

葉や枝に触れると、ローズマリー特有の爽やかな香りがあります。

開花すると青~青紫系を中心とした小さな花も楽しめます。

地面を覆うことだけが目的の植物とは違い、常緑の葉、香り、花を一緒に楽しめるところも魅力です。

ほふく性ローズマリーはどんな場所に向いている?

下草として使う

低い位置から横へ枝を伸ばすため、条件が合えば低木や樹木の足元などで下草として使うこともできます。

ただし「木の下=適地」というわけではありません。

ローズマリーは基本的に日当たりを好むため、樹木の下でもある程度光が入り、水はけと風通しを確保できる場所の方が適しています。

日照が少ないうえに土が湿りやすい場所では、ローズマリーが好む条件から外れてしまいます。

グランドカバーとして使う

ほふく性ローズマリーは横へ広がるため、グランドカバーとして利用できます。

ただし、芝生やクラピアのように地面を均一に覆い、その上を歩くことを想定した植物とは違います。

枝を横へ伸ばして低い位置を覆っていく常緑低木と考える方が実際の姿に近く、踏圧を受ける場所には向きません。

また、年月が経つと枝は木質化します。

「柔らかな葉で地面を全面的に覆いたい」という目的より、低い場所へ常緑の枝葉を広げたい場合に向いています。

斜面や段差に植える

ほふく性の特徴を特に生かしやすいのが、斜面や段差です。

横へ伸びた枝が斜面に沿って広がり、段差があれば自然に下へ垂れます。

平らな地面を覆わせるだけでなく「垂れる姿を見せる」という使い方ができるのが大きな特徴です。

花壇やレイズドベッドの縁から垂らす

高さのある花壇やレイズドベッドの縁も、ほふく性ローズマリーを生かしやすい場所です。

枝が縁を越えると下方向へ伸びるため、地面へ這わせる場合とは違った姿を楽しめます。

通路側へ大きく張り出す場合は、必要に応じて剪定して広がりを調整します。

鉢植えで枝を垂らす

鉢植えでも育てられます。

ほふく性は鉢の縁から枝を垂らせるため、少し高さのある鉢やハンギングなどでも樹形を生かせます。

地植えよりサイズを調整しやすく、置き場所を変更できることも鉢植えの利点です。

半日陰でも育てられる?

ローズマリーは基本的に日なたを好みます。

明るい半日陰でも育つことはありますが「半日陰でも育てられる」ことと「半日陰に向いている」ことは同じではありません。

日照が不足すると、枝の伸び方や葉の密度、花付きなどに影響する可能性があります。

さらに半日陰では、日なたより土が乾きにくくなることがあります。

ローズマリーは過湿や蒸れを苦手とするため「半日陰かどうか」だけで判断するのではなく、どの程度光が入るか、雨の後に土が長く湿っていないか、風が通るかまで確認することが大切です。

我が家では以前、プロストラータスを木の下の軽く日が差す場所へ地植えしたことがありますが、枯れてしまいました。

ただし、日照不足が原因だったのか、水分や風通しなど別の条件が影響したのかは確認できていません。

最近あらためてプロストラータスの苗を購入し、再び半日陰の下草として育て始めました。

まだ栽培を始めたばかりなので「半日陰でも問題なく育つ」と結論づける段階ではありません。
今後、夏越しや冬越し、枝の広がり、葉の密度、花付きなどを確認していく予定です。

ほふく性ローズマリーの代表品種

ほふく性ローズマリーにも複数の品種があります。
ここでは品種数を増やすのではなく、日本国内で流通を確認でき、ほふく性ローズマリーを選ぶときの代表的な候補になる品種を紹介します。

プロストラータス

ほふく性ローズマリーの代表的な品種です。

枝を横方向へ長く伸ばし、段差では下へ垂れるため、斜面、花壇の縁、高さのある鉢などで樹形を生かせます。

国内情報でも高さの目安にはかなり幅があります。
そのため「高さ○cmの小型品種」とだけ考えるより、横方向や下方向へ枝を伸ばす品種として植え場所を考える方が実際の姿をイメージしやすいでしょう。

我が家で現在育てているのもプロストラータスです。

ローズマリー プロストラータス

サンタバーバラ

こちらも国内で流通している代表的なほふく性ローズマリーです。

ほふく性の中では比較的コンパクトなタイプとして扱われることがあり、花付きのよさも特徴です。

低い位置へ枝を広げたり、花壇や鉢の縁から垂らしたりする使い方ができます。

ただし、国内の販売情報でも高さの目安には幅があります。
「コンパクトだからほとんど広がらない」と考えず、横方向へ伸びるスペースを確保して植える方が安心です。

ローズマリー サンタバーバラ

半ほふく性ローズマリーもある

ローズマリーには、立性とほふく性の中間となる「半ほふく性」もあります。

半ほふく性は上方向にもある程度伸びながら、横にも枝を広げます。

できるだけ低く横へ広げたいならほふく性、高さもある程度出しながら広がる姿を楽しみたいなら半ほふく性も候補になります。

ほふく性ローズマリーの育て方

日当たり・植え場所

基本は日当たりと水はけ、風通しのよい場所です。
半日陰で育てる場合は、日照だけでなく土が湿った状態になりすぎないかも確認します。

水やり・用土

乾燥には比較的強く、過湿を苦手とします。

地植えでは、根付いた後は極端な乾燥が続かない限り、頻繁な水やりは必要ありません。
ただし植え付け直後は、根付くまで乾燥させすぎないよう様子を見ます。

鉢植えでは、土が乾いたことを確認してからたっぷり水を与えます。

用土は水はけのよいものを使い、水がたまりやすい場所への地植えは避けます。

肥料

多肥を必要とする植物ではありません。
肥料を多く与えることより、日照、水はけ、風通しなどの栽培環境を整えることを優先します。

植え付け

暑さや寒さが厳しい時期を避け、春または秋に植え付けるのが基本です。
地植えでは、植え付け時の苗の大きさだけでなく、将来枝が横へ広がることを考えて場所を決めます。

剪定・蒸れ対策

枝が混み合ってきたら、不要な枝を整理して風通しを確保します。

特に梅雨から夏に枝葉が密集すると、株の内側が蒸れやすくなります。

通路など必要のない方向へ枝が伸びた場合にも、剪定して広がりを調整します。

ローズマリーは葉のない古い木質化した枝まで強く切り戻すと芽が出にくいことがあるため、普段から若い枝を適度に整理しておく方が管理しやすくなります。

株が弱ったり風通しが悪くなったりすると、ハダニ、アブラムシ、カイガラムシなどが発生することもあるため、葉や枝の状態もときどき確認します。

鉢植え・植え替え

鉢植えでは、根詰まりや用土の劣化を確認しながら必要に応じて植え替えます。

植え替えは春や秋を中心に、真夏や寒さの厳しい時期は避けます。

鉢植えなら、長雨の時期に雨の当たりにくい場所へ移動するなど、環境を調整しやすい利点もあります。

夏越し・冬越し

暑さには比較的強い植物ですが、日本の梅雨から夏は高温多湿による蒸れや過湿に注意します。

真夏の強い日差しへの適性は品種や栽培環境によっても変わり、特に鉢植えでは用土の極端な乾燥や鉢の過熱にも注意します。

冬も基本的には葉を残しますが、耐寒性には品種差があります。
強い霜や厳しい寒さを受ける場所では、購入した品種の耐寒性も確認しておきましょう。

数年後はどうなる?木質化と広がりを考えて植える

ほふく性ローズマリーを植えるときに知っておきたいのが、ローズマリーは「草」ではなく低木だということです。

植えたばかりの苗は細く柔らかな枝が多いため、草本のグランドカバーに近く見えることがあります。

しかし、成長すると古い枝は次第に太くなり、木質化します。横へ広がった枝も、そのまま柔らかな状態を保つわけではありません。

そのため数年後には、枝の広がり、株の混み具合、木質化した枝、周囲の植物や通路への影響などを見ながら、必要に応じて剪定します。

「常緑で低い植物だから植えっぱなしでよい」と考えるより、成長に合わせて枝を整理する低木と考えた方が、長期的な姿をイメージしやすくなります。

植える前に知っておきたいこと

ほふく性ローズマリーは、常緑の葉、香り、花、横へ伸びる独特の樹形を楽しめる植物です。

ただし、基本的には日なたを好みます。
半日陰でも育つ可能性はありますが、半日陰向きの植物として積極的に選ぶものではありません。

乾燥には比較的強い一方、過湿や蒸れを苦手とします。

また、ほふく性だからといって草本のグランドカバーと同じではありません。
枝は木質化し、踏圧にも向きません。

この違いを理解したうえで

「低い場所へ常緑の枝葉を広げたい」
「斜面や段差を利用したい」
「花壇や鉢から枝を垂らしたい」
「葉の香りも楽しみたい」

という目的なら、ほふく性ローズマリーの特徴を生かしやすくなります。

よくある質問・心配

ほふく性ローズマリーはグランドカバーにできますか?

できますが、芝生のように踏んで使うグランドカバーではありません。
枝を横へ広げて低い位置を覆う使い方に向きます。成長すると枝が木質化することも考えて植えましょう。

半日陰でも育ちますか?

明るい半日陰なら育つことはありますが、基本的には日なたを好みます。
半日陰では特に、水はけと風通しも確認してください。

どのくらい横へ広がりますか?

品種や栽培環境、剪定によって大きく変わります。
ほふく性では高さだけを見て植え場所を決めず、横方向や、段差では下方向にも枝を伸ばすことを考えてスペースを確保します。

踏んでも大丈夫ですか?

踏圧を受ける場所には向きません。
人が歩く場所を覆う用途なら、踏圧に対応できる別のグランドカバーを検討した方がよいでしょう。

鉢植えでも育てられますか?

育てられます。鉢の縁から枝を垂らすことで、ほふく性らしい樹形を楽しめます。
地植えより広がりを管理しやすいことも利点です。

ほふく性ローズマリーも料理に使えますか?

ローズマリーとして利用できます。
ただし、食用にすることが目的なら、食用・ハーブ用として販売され、使用された農薬などを確認できる苗を選ぶ方が安心です。

まとめ

ほふく性ローズマリーは、爽やかな香りのある常緑の葉を楽しみながら、地面近くを横へ伸びたり、段差から枝垂れたりする樹形を楽しめるローズマリーです。

低い場所の植栽、斜面、花壇やレイズドベッドの縁、鉢植えなど、立性ローズマリーとは違った使い方ができます。

グランドカバーや下草として利用することもできますが、芝生のように踏める植物ではなく、成長すれば枝が木質化する常緑低木です。

また、半日陰でも育つ可能性はありますが、基本的には日なたを好みます。
半日陰へ植える場合は、明るさだけでなく水はけや風通しまで確認することが大切です。

我が家でも現在、プロストラータスを半日陰の下草として育て始めており、今後の生育を確認していく予定です。

ほふく性ローズマリーは、単に「背の低いローズマリー」として選ぶのではなく、横へ広がる枝と数年後の木質化までイメージして植え場所を選ぶことが大切です。

グランドカバーシリーズ

グランドカバーは、見た目だけでなく、日当たりや踏圧、冬の姿、雑草対策など、庭の条件によって向いている植物が変わります。
このシリーズでは、さまざまな角度からグランドカバーの選び方を紹介しています。

①グランドカバー ガイド|庭に合う植物の選び方とおすすめの探し方

②おすすめグランドカバー|写真と特徴から自分好みの植物を探す

③芝生の代わりになるグランドカバー|踏める植物を比較

④日陰・半日陰に強いグランドカバー|日照条件から選ぶ

⑤花がきれい・おしゃれなグランドカバー|見た目から選ぶ

⑥冬もきれいなグランドカバー|常緑性と冬の姿を比較

⑦雑草対策になるグランドカバー|草むしりと手入れを減らす選び方

⑧グランドカバーで後悔しないために|増えすぎ・撤去・よくある失敗

⑨庭の地面は何で覆う?グランドカバー・人工芝・砂利・レンガ小道等を比較

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