地面を這うように茎を伸ばし、丸い葉を連ねながら広がっていくリシマキア・ヌンムラリア。
特に黄金葉の「オーレア」は、明るいライムグリーン~黄色の葉が足元を彩り、グランドカバーや花壇の縁取りなどに使いやすい植物です。
草丈が低く、日なたから半日陰まで育てられるのも特徴ですが、乾燥を苦手とし、条件が合えば横へよく広がります。
「植えっぱなしで何もしなくてもきれいなグランドカバー」というより、植える場所を選び、ときどき広がりを整えながら楽しむ植物と考えた方がよいでしょう。
この記事では、リシマキア・ヌンムラリアの特徴や育て方、グランドカバーとしての広がり方、日当たりによる葉色の違い、数年後の管理まで紹介します。
リシマキア・ヌンムラリアとは
リシマキア・ヌンムラリアは、サクラソウ科オカトラノオ属(リシマキア属)の多年草です。
細い茎を地面に這わせ、丸みのある小さな葉を対になってつけながら横へ広がります。
茎が地面に接した部分から発根するため、条件が合うと少しずつ面状に広がっていきます。
初夏には黄色い花も咲きますが、庭では花だけでなく、地面を覆う丸い葉と這うような草姿を楽しむカラーリーフ・グランドカバーとして利用しやすい植物です。
なお「リシマキア」という名前で流通する植物には、地面を這うものだけでなく、茎を立ち上げて育つ種類もあります。
この記事では、その中でも匍匐性のリシマキア・ヌンムラリアについて紹介します。

リシマキア・ヌンムラリアの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科・属 | サクラソウ科オカトラノオ属(リシマキア属) |
| 分類 | 多年草・匍匐性 |
| 草丈 | 約3~5cmが目安 |
| 広がり方 | 茎を地面に這わせ、地面に接した節から発根しながら広がる |
| 株間 | 約20cmが一つの目安 |
| 植栽密度 | 約25株/㎡が一つの目安 |
| 開花期 | 5~7月頃 |
| 花色 | 黄色 |
| 日照 | 日なた~半日陰 |
| 半日陰 | ○。オーレアは日照が少ないと緑色が強くなりやすい |
| 真夏の強い日差し | 強光と乾燥が重なると葉が傷むことがある |
| 耐暑性 | 普通~比較的強い。真夏の強光・乾燥には注意 |
| 耐寒性 | 強い |
| 乾燥 | 苦手 |
| 湿り気 | 適度な湿り気を好む |
| 過湿 | 水はけが悪く常時過湿になる環境は避ける |
| 冬の状態 | 半常緑性。葉が減ったり傷んだり、赤みを帯びたりすることがある |
| 植え付け | 春・秋が適期 |
| 植え替え・株分け | 春・秋が目安 |
| 切り戻し | 伸びすぎた部分を必要に応じて行う |
| 増やし方 | 株分け、挿し芽など |
| 地植え | ○。グランドカバーとして性質を生かしやすい |
| 鉢植え | ○。鉢縁から垂れる姿も楽しめる |
| 病害虫 | 大きな被害は比較的少ない |
| 主な注意点 | 乾燥、広がりすぎ、冬の葉傷み、長期栽培による株の乱れ |
※数値や時期は品種や栽培環境によって前後します。株間・植栽密度はグランドカバーとして植える場合の一つの目安で、苗数を少なくして時間をかけて広げることもできます。
リシマキア・ヌンムラリアの魅力
丸い葉が地面を這うように広がる
リシマキア・ヌンムラリアの特徴は、低い位置を這う細い茎と、それに連なる丸い葉です。
上へ大きく伸びるのではなく、地表をなぞるように広がるため、背の高い植物の足元や花壇の縁、石の周囲などを自然につなぐように使えます。
芝生のように均一な面をつくるというより、茎と葉が横へ流れるように広がる柔らかな景観を楽しむグランドカバーです。
オーレアなら明るい葉色を楽しめる
国内でよく流通しているのが、黄金葉品種のリシマキア・ヌンムラリア ‘オーレア’です。
ライムグリーンから黄色の明るい葉色が特徴で、緑葉の植物が多い場所に加えると足元のアクセントになります。
花が咲いていない時期にも葉を観賞できるため、カラーリーフとして使いやすいのも魅力です。
半日陰や湿り気のある場所にも使いやすい
日なたから半日陰まで育てられ、適度に湿り気のある場所を好みます。
日照時間がそれほど長くない場所でもグランドカバーの候補になりますが、日照条件は生育だけでなく葉色にも影響します。
特にオーレアでは、日当たりのよい場所ほど黄色味が出やすく、日照が少ない場所では緑色が強くなることがあります。
グランドカバーとして使うなら広がり方を知っておきたい
リシマキア・ヌンムラリアは、一株が丸く大きくなる一般的な宿根草とは広がり方が異なります。
茎を横へ伸ばし、地面に接した節から発根しながら広がっていくため「株幅○cm」という数字だけでは数年後の姿を判断しにくい植物です。
グランドカバーとして早めに面を覆いたい場合は、株間20cm程度、1㎡あたり25株程度が一つの植栽目安になります。
ただし、これより間隔を広げても育たないわけではありません。苗数を抑え、時間をかけて広げる方法もあります。
条件が合えば周囲へよく伸びるので、グランドカバーとしては長所になります。
一方、決めた範囲から外へ伸びてきた場合は切り戻して調整します。
花壇の縁やほかの植物の近くへ植える場合は、最初の苗の大きさだけでなく、将来どこまで広がってもよいかを考えて植え場所を決めることが大切です。
植える場所|日なた・半日陰と乾燥に注意
日なた~半日陰で育てられる
リシマキア・ヌンムラリアは日なたから半日陰まで育てられます。
ただし、どこでも同じように育つわけではなく、日照、土の湿り具合、夏の暑さによって葉色や生育状態が変わります。
特に真夏は、強い日差しと乾燥が重なる場所に注意します。
オーレアは日照によって葉色が変わる
オーレアの明るい葉色を楽しみたい場合は、ある程度の日照があった方が黄色味が出やすくなります。
一方、日照が少ない場所では緑色が強くなりやすいため、
「半日陰でも育つから、暗い場所でも同じ黄金葉を楽しめる」
とは考えない方がよいでしょう。
反対に、真夏の強光と乾燥が重なると葉が傷むことがあります。
明るい葉色と夏の葉傷みの両方を考えながら植え場所を選ぶのがポイントです。
乾燥しすぎる場所は避ける
リシマキア・ヌンムラリアは適度に湿り気のある環境を好み、乾燥は苦手です。
特に真夏に土がすぐ乾く場所では、生育が悪くなったり葉が傷んだりすることがあります。
西日が強く当たる場所や、雨がほとんど入らない軒下などへ植える場合は注意が必要です。
ただし、湿り気を好むことと、水はけの悪い土で常に過湿になってもよいことは同じではありません。水が長くたまるような場所は避けます。
リシマキア・ヌンムラリアの育て方
植え付け
植え付けは、暑さや厳しい寒さを避けた春または秋が適しています。
水はけを確保しながらも、極端に乾燥しない土へ植えます。
地植えでは横へ広がることを考え、ほかの植物との境界ぎりぎりよりも、多少伸びても困らない場所を選ぶと管理しやすくなります。
水やり
鉢植えでは、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
地植えでは根付いた後は降雨を基本にできますが、乾燥を苦手とするため、雨が少なく土が乾き続ける時期は水やりをします。
特に植え付け直後と夏の乾燥には注意します。
肥料
肥沃な土であれば、多量の肥料を必要とする植物ではありません。
植え付け時に元肥を施し、その後は生育状態を見ながら春などに補う程度で十分です。
肥料を多く与えて無理に成長を促す必要はありません。
切り戻し
決めた範囲から伸び出した茎や、姿が乱れた部分は切り戻します。
よく広がる性質を持つため、グランドカバーとして使う場合は、剪定というより「広がる範囲を調整する作業」と考えると分かりやすいでしょう。
植え替え・株分け
鉢植えでは、根詰まりや株の混み具合を見ながら植え替えます。
地植えでも、長く育てて混み合ったり、株元が透けるなど見栄えが悪くなったりした場合は、株分けや植え直しによって更新できます。
「毎年必ず植え替えなければ育たない」という植物ではありませんが、長くきれいな状態を保つには、株の状態を見ながら整理・更新するとよいでしょう。
地面に接して発根した茎を切り分けたり、挿し芽をしたりして増やすこともできます。
病害虫
大きな病害虫の被害は比較的少ない植物です。
特別な防除を常に必要とする植物ではありませんが、葉の状態をときどき確認しておきましょう。
冬はどうなる?
リシマキア・ヌンムラリアは耐寒性がありますが、冬も必ず春や秋と同じ葉量・葉色を保つわけではありません。
半常緑性で、寒さや霜などによって葉が傷んだり、葉数が少なくなったりすることがあります。
また、寒さによって葉が赤みを帯びることもあります。
春になって気温が上がれば再び生育が活発になります。
一年中きれいな緑や黄金色で地面を覆う植物を探している場合は、冬の景観まで考えて選ぶことが大切です。
数年後はどうなる?長く育てる場合の管理
リシマキア・ヌンムラリアは、茎を伸ばしながら発根して広がるため、数年後には植え付け時よりかなり広い範囲を覆う可能性があります。
広がってほしくない場所へ伸びた茎は切り戻し、混み合ったり古い部分の見栄えが悪くなったりした場合は、株分けや植え直しで整えます。
そのため、
「よく広がるのでグランドカバーに使いやすい」ことと「何年も放置してきれいな状態を保てる」ことは別
と考えておいた方がよいでしょう。
一方で、ときどき範囲を整えたり株を更新したりすることが苦にならなければ、這う性質を生かして庭の足元を覆うことができます。
リシマキア・ヌンムラリア ‘オーレア’
リシマキア・ヌンムラリアを苗から育てる場合、国内で購入候補になりやすいのが黄金葉品種のオーレアです。
基本的な這い方や育て方はヌンムラリアと共通しますが、最大の違いは葉色です。
明るいライムグリーン~黄色の葉を楽しめるため、グランドカバーだけでなくカラーリーフとしても使えます。
ただし、葉色は日照条件によって変化します。
日照が少ない場所では緑色が強くなりやすいため、黄金葉を目的に購入する場合は植え場所も一緒に考えておきましょう。
なお「リシマキア」の名前ではほかにもさまざまな種類・品種が販売されています。
草姿や育ち方がヌンムラリアとは異なるものもあるため、購入時は「リシマキア」という名前だけでなく、ヌンムラリアまたはオーレアであることを確認すると安心です。
地植えと鉢植え、どちらが向いている?
地植え
横へ這って広がる性質を最も生かしやすいのは地植えです。
グランドカバーや花壇の縁、ほかの植物の足元などで利用できます。
ただし、広がって困る場所との境界付近では、定期的な切り戻しが必要になることがあります。
鉢植え
鉢植えでも育てられます。鉢の中に広がりを限定できるため、地植えで広がるのが心配な場合には管理しやすくなります。
鉢の縁から茎を垂らす姿を楽しむこともできます。
一方、地植えより土が乾きやすいため、水切れには注意が必要です。
植える前に知っておきたい注意点
まず注意したいのが乾燥です。適度な湿り気を好むため、特に真夏に強い日差しを受けて土が乾きやすい場所では葉傷みや生育不良に注意します。
次に横への広がりです。これはグランドカバーとしての長所でもありますが、ほかの植物の場所まで伸びてほしくない場合は切り戻しが必要になります。
また、冬は葉が減ったり傷んだりすることがあるため、一年中同じ景観を維持する植物ではありません。
長くきれいに育てる場合も、植えっぱなしにするだけでなく、状態に応じて切り戻しや株分け、植え直しを行うことがあります。
なお、地表を覆う植物ではありますが、芝生のように繰り返し人が歩く場所の代わりとして積極的に選ぶ植物ではありません。基本的には観賞する場所のグランドカバーとして考える方がよいでしょう。
リシマキア・ヌンムラリアはこんな庭に向いている
リシマキア・ヌンムラリアは、低い位置を這う丸葉で庭の足元を覆いたい人や、極端に乾燥しない日なた~半日陰にグランドカバーを植えたい人に向いています。
特にオーレアなら、花のない時期にも明るい葉色を楽しめます。
一方、真夏にかなり乾燥する場所、頻繁に人が歩く場所、広がった部分をほとんど管理したくない場合には、ほかのグランドカバーも比較した方がよいでしょう。
這って広がる草姿と葉色を楽しみながら、ときどき範囲を整えて育てたい場合に候補になる植物です。
リシマキア・ヌンムラリアのよくある質問
日陰でも育ちますか?
半日陰でも育てられます。ただし、特に黄金葉のオーレアは日照が少なくなるほど葉の緑色が強くなりやすいため、日なたと同じ葉色になるとは限りません。
増えすぎることはありますか?
条件が合うと、地面を這う茎が発根しながら横へ広がります。広がってほしくない場所まで伸びてきた場合は、切り戻して範囲を調整します。
冬も葉は残りますか?
半常緑性なので葉が残ることはありますが、寒さや霜などによって傷んだり少なくなったり、赤みを帯びたりすることがあります。冬も一年中同じ状態を保つ植物とは考えない方がよいでしょう。
踏んでも大丈夫ですか?
グランドカバーには使えますが、芝生のように日常的に歩く場所への利用を積極的に勧められる植物ではありません。人が頻繁に通る場所なら、踏圧に強い別のグランドカバーも検討した方がよいでしょう。
オーレアと普通のリシマキア・ヌンムラリアは何が違いますか?
オーレアはリシマキア・ヌンムラリアの黄金葉品種です。基本的な這い方は共通しますが、明るいライムグリーン~黄色の葉を楽しめることが大きな特徴です。日照が少ないと緑色が強くなることがあります。
グランドカバーシリーズ
グランドカバーは、見た目だけでなく、日当たりや踏圧、冬の姿、雑草対策など、庭の条件によって向いている植物が変わります。
このシリーズでは、さまざまな角度からグランドカバーの選び方を紹介しています。
①グランドカバー ガイド|庭に合う植物の選び方とおすすめの探し方
②おすすめグランドカバー|写真と特徴から自分好みの植物を探す
⑦雑草対策になるグランドカバー|草むしりと手入れを減らす選び方


