クリーピングタイムの育て方|グランドカバーでの広がり方・踏圧・夏の蒸れ対策

クリーピングタイム 植物ガイド

クリーピングタイムは、細かな葉が地面を這うように広がり、春から夏には小さな花がカーペットのように咲くタイムの仲間です。
葉に触れたときにタイムらしい香りを楽しめるのも、この植物ならではの魅力です。

草丈が低く、地面を覆うように育つため、花壇の縁や園路沿い、飛び石の周囲などにも利用できます。

一方で、乾燥には比較的強くても過湿や蒸れは苦手です。
また、踏圧への強さは種類によって異なり、どのクリーピングタイムでも芝生のように歩けるわけではありません。

花と香りを楽しめるグランドカバーとして魅力的ですが、植え場所や種類による違い、夏の管理まで確認してから選びたい植物です。

クリーピングタイム
  1. クリーピングタイムとは?
  2. クリーピングタイムの基本情報
  3. グランドカバーとしてのクリーピングタイムの魅力
    1. 低く這って地面を覆う
    2. 春から夏には小さな花が広がる
    3. 葉に触れるとタイムらしい香りを楽しめる
  4. どんな場所に植えるのが向いている?
    1. 基本は日当たりと水はけのよい場所
    2. 半日陰でも育てられる?
    3. 真夏の日差しや西日は大丈夫?
    4. 水がたまりやすい場所には向かない
  5. 植え方と株間|何株くらい必要?
  6. クリーピングタイムの育て方
    1. 水やり
    2. 肥料
    3. 花後の切り戻し
    4. 梅雨から夏の蒸れ対策
    5. 冬越し
    6. 増やし方
    7. 病害虫
  7. クリーピングタイムは踏んでも大丈夫?芝生代わりにできる?
  8. 雑草対策として使える?
  9. 数年後はどうなる?広がった後の管理
  10. 地植えと鉢植え、どちらが向いている?
  11. クリーピングタイムの種類と苗選び
    1. 一般的なクリーピングタイム
    2. タイム・ロンギカウリス
    3. 赤花・白花など花色で選べるタイプ
    4. イブキジャコウソウとは別種
    5. 食用にしたい場合は苗の表示を確認する
  12. クリーピングタイムが向いている庭・慎重に考えたい庭
  13. クリーピングタイムのよくある疑問
    1. 夏に茶色く枯れてくるのはなぜですか?
    2. クリーピングタイムとロンギカウリスは同じですか?
    3. クリーピングタイムは料理にも使えますか?
  14. グランドカバーシリーズ

クリーピングタイムとは?

クリーピングタイムは、地面を這うように広がるタイム類に使われる名称です。

狭い意味では Thymus serpyllum をクリーピングタイムと呼びますが、国内の園芸流通では、ロンギカウリスなど地面を這う複数のタイムが、グランドカバー向けの「クリーピングタイム」「ほふく性タイム」として扱われています。

そのため、「クリーピングタイム」という名前だけで、すべて同じ性質だと考えないことが大切です。

料理用ハーブとしてよく知られるコモンタイムは枝が立ち上がって育つのに対し、クリーピングタイプは横方向へ広がりやすく、グランドカバーとして利用しやすいのが特徴です。

国内では、特にタイム・ロンギカウリスがグランドカバー向けとしてよく流通しています。

なお、イブキジャコウソウも低く這って広がるタイム属の植物ですが、Thymus quinquecostatus という別種です。

クリーピングタイムの基本情報

項目内容
科・属シソ科イブキジャコウソウ属(タイム属)
分類地面を這って育つタイム属の植物の総称・流通名
草丈低く這うものが中心。おおむね5~15cm程度が目安 ※種類・品種による
広がり方茎が地面を這い、面状に広がる
株間種類・苗の大きさ・被覆したい期間によって異なる。購入苗の表示を確認
開花期5~8月頃を中心に、種類・品種によって異なる
花色ピンク、赤紫、白など
日照日なた向き
半日陰種類によっては可。基本は日なた
真夏の日差し日なたで栽培できるものが多い。日差しだけでなく蒸れ・過湿に注意
耐暑性種類による。ロンギカウリスなど比較的強いタイプもある
耐寒性強いタイプが多い
乾燥比較的強い
過湿苦手
冬の状態常緑性のタイプもあるが、種類・気温によって葉色の変化や傷みが出る
植え付け春・秋
植え替え鉢植えは春・秋を基本に、根詰まりしたら行う
切り戻し花後を中心に、梅雨~夏の蒸れを防ぐよう必要に応じて行う
増やし方挿し木、株分け、種まきなど
地植え○ グランドカバーに利用しやすい
鉢植え○ 鉢縁から垂らして楽しむこともできる
主な病害虫比較的少ない
主な注意点高温多湿による蒸れ、水はけの悪い場所での根腐れ

※クリーピングタイムとして流通する植物には複数の種類があるため、数値や性質には違いがあります。購入する苗の商品表示も確認してください。

グランドカバーとしてのクリーピングタイムの魅力

低く這って地面を覆う

クリーピングタイムは茎を横へ伸ばし、地表を覆うように育ちます。
一般的な宿根草のように一株がこんもり大きくなるというより、隣の株とつながりながら面をつくっていく植物です。
花壇の前方や園路沿い、飛び石の周囲など、高さを出したくない場所にも使いやすいグランドカバーです。

春から夏には小さな花が広がる

開花期になると、細かな葉の上を覆うように小さな花を咲かせます。
葉だけで地面を覆うグランドカバーとは違い、開花期に庭の表情が大きく変わるのが魅力です。
花色はピンクや赤紫、白などがあり、種類によって開花時期や花付き、草姿にも違いがあります。

葉に触れるとタイムらしい香りを楽しめる

葉にはタイム特有の香りがあります。
園路沿いや飛び石の周囲などでは、葉に触れたときに香りを感じられることがあります。
花だけでなく、香りも楽しめるのがクリーピングタイムの特徴です。

どんな場所に植えるのが向いている?

基本は日当たりと水はけのよい場所

クリーピングタイムを地植えするなら、日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所が基本です。
特に重要なのが水はけです。
乾燥気味の環境には比較的強い一方、土が長期間湿った状態は苦手です。
雨のあとになかなか乾かない場所では、植え付け前に土壌を改善することも検討しましょう。

半日陰でも育てられる?

種類によっては半日陰でも育てられます。

ただし「半日陰でも育つ」ことと「グランドカバーとして密に広がり、花も十分に楽しめる」ことは同じではありません。

日照不足では生育や花付きが悪くなることがあるため、積極的に半日陰へ植える植物というより、基本は日なた向きと考えた方がよいでしょう。

真夏の日差しや西日は大丈夫?

クリーピングタイムには、ロンギカウリスのように暑さそのものには比較的強いタイプがあります。

そのため「夏は日差しが強いから半日陰へ」と一律に考える必要はありません。

むしろ日本の梅雨から夏に注意したいのは、高温時の過湿と蒸れです。

西日が当たる場所についても、西日だけで判断せず、水はけや風通し、土の乾き方まで見て植え場所を決めましょう。

水がたまりやすい場所には向かない

雨のたびに水がたまる場所や、常に土が湿っている場所にはあまり向きません。
比較的乾きやすい場所の方が、クリーピングタイムの性質に合っています。

植え方と株間|何株くらい必要?

植え付けは、厳しい暑さや寒さを避けた春または秋が適しています。

植える前に雑草や地下茎をできるだけ取り除き、水はけが悪ければ土壌を改善しておきます。

グランドカバーとして植える場合、株間は種類や苗の大きさ、生育速度によって変わります。
購入した苗に推奨株間が示されている場合は、それを一つの基準にしてください。

特にロンギカウリスのように横へ旺盛に広がるタイプと、比較的ゆっくり広がるタイプでは、同じ間隔で植えても地面を覆うまでの期間が違います。

間隔を広く取れば必要な苗数は少なくなりますが、地面を覆うまで時間がかかり、その間は株と株の間から雑草が生えます。

反対に、早く覆うために苗を多く植えれば初期費用が増え、密生した後は蒸れにも注意が必要になります。

グランドカバーとして植える場合は、何株植えるかだけでなく、どのくらいの期間で地面を覆いたいか、密生した後に風通しを確保できるかまで考えて苗数を決めるとよいでしょう。

クリーピングタイムの育て方

水やり

地植えでは、植え付け直後から根付くまでは土の状態を見ながら水やりします。

根付いた後は、通常の降雨があれば頻繁な水やりは必要ありません。
乾燥よりも、水を与えすぎて常に湿った状態にすることに注意します。

鉢植えでは、土の表面が乾いたことを確認してから十分に水を与えます。

肥料

肥料を多く必要とする植物ではありません。

地植えでは土の状態が極端に悪くなければ、多肥にする必要はありません。
肥料を与えすぎて茎葉が茂りすぎると、風通しが悪くなることもあります。

花後の切り戻し

花が終わったら、伸びた茎や花がらを整理して風通しをよくします。

梅雨から夏に向かって密生している場合は、株元が蒸れないよう、状態を見ながら切り戻しておきましょう。

ただし、種類によって開花時期が異なるため「必ず梅雨前に花後の切り戻しをする」と一律に考える必要はありません。花の終わる時期と株の密度を見ながら調整します。

梅雨から夏の蒸れ対策

クリーピングタイムは「夏の暑さに弱い」と一括りにするより、高温多湿を避けることが重要です。

たとえばロンギカウリスは耐暑性が比較的強い一方、多湿や蒸れによって夏に株が傷むことがあります。

水はけのよい場所へ植え、密生しすぎた部分を切り戻し、株元の風通しを確保します。

梅雨から夏に一部が茶色く傷んできた場合は、暑さだけでなく、蒸れや過湿が起きていないか確認しましょう。

冬越し

耐寒性の強いタイプが多く、関東の一般的な庭なら地植えで冬越ししやすい植物です。

常緑性のタイプもありますが、冬の姿は種類や栽培環境によって異なります。
寒さによって葉色が変化したり、一部が傷んだりすることもあるため、年間を通して同じ緑のカーペットが続くとは考えない方がよいでしょう。

春に新しい生育が始まったら、傷んだ部分を整理します。

増やし方

挿し木や株分けで増やせます。種から育てられるタイプもあります。
特定の品種の特徴を維持して増やしたい場合は、挿し木や株分けが適しています。

病害虫

比較的病害虫の少ない植物です。
病害虫を過度に心配するより、水はけの悪さや蒸れによって株が傷むことを防ぐ方が重要です。

クリーピングタイムは踏んでも大丈夫?芝生代わりにできる?

踏圧への強さは種類によって違います。

種類によっては、軽く踏まれる程度の場所に利用されるものもあります。
そのため、飛び石や敷石の周囲などに利用することはできます。

一方、踏み締めに比較的強いタイプがあるからといって、すべてのクリーピングタイムを芝生と同じように扱えるわけではありません。

頻繁に人が通る主通路や、日常的に歩き回る場所では傷む可能性があります。

歩行頻度の高い場所なら飛び石などと組み合わせ、踏圧への強さを重視する場合は購入する種類の性質まで確認しましょう。

雑草対策として使える?

クリーピングタイムは地面を密に覆うようになると、雑草が生える余地を減らす効果を期待できます。

そのため、雑草抑制を目的としたグランドカバーとしても利用できます。

ただし、苗を植えればすぐに雑草が生えなくなるわけではありません。

株同士がつながるまでは地面が露出しているため除草が必要です。
また、すでに地下茎を広げている強い多年生雑草などを、植えたクリーピングタイムだけで抑え込めるとは考えない方がよいでしょう。

植え付け前に既存の雑草をできるだけ取り除き、被覆するまでは除草を続けることが重要です。

数年後はどうなる?広がった後の管理

順調に育つと、それぞれの苗が横へ広がり、やがて株同士の境目が分かりにくいマット状になります。

グランドカバーとしては理想的な姿ですが、地面を覆ったら管理が終わるわけではありません。

花壇や園路からはみ出した茎は切り戻し、密生して蒸れやすくなった部分は整理します。

また、長く育てて株の一部が古くなったり傷んだりした場合には、元気な部分を利用して更新することもできます。

芝生のような頻繁な芝刈りは必要ありませんが、広がる範囲の調整と花後の切り戻しが長期管理の中心になります。

地植えと鉢植え、どちらが向いている?

クリーピングタイムは地植えでも鉢植えでも育てられます。

地面を這う性質を生かしてグランドカバーにしたいなら、地植えが向いています。

鉢植えでは鉢の縁から茎を垂らして楽しむことができ、庭へ自由に広げたくない場合にも管理しやすくなります。

ただし鉢植えでは根詰まりするため、生育状態を見ながら春や秋に植え替えや株分けを行います。

クリーピングタイムの種類と苗選び

クリーピングタイムとして流通する植物には複数の種類があります。
グランドカバーとして植える場合は、花色だけでなく、広がる速さ、暑さへの強さ、踏圧への強さなども確認して選ぶことが大切です。

一般的なクリーピングタイム

Thymus serpyllum は、クリーピングタイムとして種や苗が国内でも流通しています。

低く地面を這って広がり、ピンク~赤紫系の小花を咲かせます。
グランドカバーとして利用するほか、食用として利用できる商品もあります。

ただし、食用の可否は購入した苗や種の商品表示を確認してください。

タイム・ロンギカウリス

国内でグランドカバー向けとしてよく流通しているほふく性タイムです。

生育が旺盛で横へ広がりやすく、春にはピンク系の花を多数咲かせます。
耐暑性も比較的強く、広い範囲を覆わせたい場合の有力な候補です。

ただし、暑さに強いからといって過湿に強いわけではありません。梅雨から夏は蒸れに注意します。

赤花・白花など花色で選べるタイプ

国内では、赤~ピンク系や白花など、花色の異なるクリーピングタイプのタイムも流通しています。

グランドカバーとして花色まで楽しみたい場合の選択肢になります。

ただし「クリーピングタイム」という販売名だけでは詳しい種類や生育特性が分からないこともあります。購入するときは花色だけでなく、植物名や学名、草丈、広がり方、耐暑性などの商品説明も確認しましょう。

イブキジャコウソウとは別種

イブキジャコウソウ(Thymus quinquecostatus)も低く這って広がり、花と香りを楽しめるタイム属の植物です。

ただし、Thymus serpyllum やタイム・ロンギカウリスとは別種なので「クリーピングタイムの別名」と考えない方が分かりやすいでしょう。

イブキジャコウソウもグランドカバーとして利用できるため、それぞれの性質を比較して選ぶことができます。

【イブキジャコウソウの育て方】

食用にしたい場合は苗の表示を確認する

クリーピングタイムの中には、ハーブティーや料理に利用できるものがあります。

一方、ロンギカウリスなど観賞・グランドカバー用途を基本とするものもあります。

「タイムだから食べられる」と一括りにせず、料理に利用したい場合は、購入する苗や種に食用としての利用が明記されているか確認してください。

クリーピングタイムが向いている庭・慎重に考えたい庭

クリーピングタイムが特に使いやすいのは、日当たりと水はけがよく、頻繁には踏まない場所で、低い緑と花の両方を楽しみたい庭です。

園路沿いや飛び石の周囲、花壇の前方などにもよく合います。

反対に、水がたまりやすい場所、風通しが悪く蒸れやすい場所、毎日のように人が歩く場所では慎重に考えた方がよいでしょう。

また「グランドカバーを植えたら何もしなくてよい」という植物ではありません。花後の切り戻しや、広がりすぎた部分の整理は必要です。

花・香り・低く広がる草姿を楽しみながら、芝生ほど頻繁な刈り込みをせずに地面を覆いたい場合には、検討する価値のあるグランドカバーです。

クリーピングタイムのよくある疑問

夏に茶色く枯れてくるのはなぜですか?

暑さそのものだけでなく、梅雨から夏の蒸れや過湿が原因になることがあります。
水はけを確認し、密生している場合は切り戻して風通しを確保しましょう。

クリーピングタイムとロンギカウリスは同じですか?

必ずしも同じではありません。
ロンギカウリスは、国内でグランドカバー向けとしてよく流通しているほふく性タイムの一つです。

クリーピングタイムは料理にも使えますか?

食用に利用できるものもありますが、すべてを同じように扱うことはできません。
料理に使う場合は、購入した苗や種の商品表示で食用として利用できることを確認してください。

グランドカバーシリーズ

グランドカバーは、見た目だけでなく、日当たりや踏圧、冬の姿、雑草対策など、庭の条件によって向いている植物が変わります。
このシリーズでは、さまざまな角度からグランドカバーの選び方を紹介しています。

①グランドカバー ガイド|庭に合う植物の選び方とおすすめの探し方

②おすすめグランドカバー|写真と特徴から自分好みの植物を探す

③芝生の代わりになるグランドカバー|踏める植物を比較

④日陰・半日陰に強いグランドカバー|日照条件から選ぶ

⑤花がきれい・おしゃれなグランドカバー|見た目から選ぶ

⑥冬もきれいなグランドカバー|常緑性と冬の姿を比較

⑦雑草対策になるグランドカバー|草むしりと手入れを減らす選び方

⑧グランドカバーで後悔しないために|増えすぎ・撤去・よくある失敗

⑨庭の地面は何で覆う?グランドカバー・人工芝・砂利・レンガ小道等を比較

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