フェンネル(ウイキョウ)の育て方|葉の収穫からキアゲハの食草としての楽しみ方まで

フェンネル 植物ガイド

フェンネルは、細かく分かれた葉と甘い香りが特徴のセリ科のハーブです。若い葉を魚料理などの香り付けに使えるほか、黄色い花や、キアゲハの幼虫が葉を食べる様子も楽しめます。

ふわっと広がる葉は軽やかですが、見た目とは反対に株はかなり大きくなります。
草丈1~2mほどになることもあり、多年草なので翌年以降の姿まで考えて植え場所を決めたい植物です。

この記事では、葉や種を利用する一般的なフェンネルを中心に、種まきから収穫までと、蝶の食草として育てるときの考え方を紹介します。

栽培の特徴

  • 場所:大きく育つ多年草、周囲に余裕を
  • 管理:直まきし、根を傷める移植を避ける
  • 楽しみ:葉の収穫とキアゲハの食草

ガーデンネストでは、無理なく野菜を育て、栽培から収穫まで楽しむことを大切にしています。この記事では、できるだけ手間をかけずに育てられるよう、基本は必要な作業に絞り、より本格的に育てたい方に向けた工夫も紹介します。Enjoy 家庭菜園!

栽培時期と基本情報

栽培カレンダー

一般地・中間地で葉を楽しむフェンネルの種まきの目安です。春は3月~4月中旬、秋は9月~10月中旬にまきます。気温や種の種類によって適期は変わるので、種袋の案内も確認してください。

フェンネル_栽培カレンダー

葉は株が十分に育ってから少しずつ摘みます。収穫の始まりや続く期間は、生育と季節によって変わります。

基本情報

項目目安
分類セリ科ウイキョウ属・多年草
種まき3月~4月中旬、9月~10月中旬
日当たり・土日なた、風通しと水はけのよい土
草丈1~2m程度になることがある
まき方育てる場所に直まき、土を約5mmかぶせる
株間・鉢地植えは50cm以上、鉢は直径30cm以上に1株
葉の収穫株が育ってから、柔らかい葉を少しずつ
開花初夏~夏ごろ
フェンネル

フェンネルの魅力

細かな葉と黄色い花を楽しめる

フェンネルの大きな特徴は、糸のように細かな葉です。
ふわっと広がる葉には軽やかさがあり、夏には細い茎の先に黄色い花をまとまって咲かせます。

小さな草花とは違い、成長すると高さのある大型ハーブになります。
庭の中で立体感を出したい場合にも使える植物です。

香りと収穫を楽しめる

フェンネルには甘く爽やかな独特の香りがあります。

一般的なフェンネルでは葉や種などを料理やハーブティーに利用できます。
眺めるだけでなく、育てた植物を暮らしの中で使えることも魅力です。

さらにキアゲハの食草にもなるため、バタフライガーデンでは、人が楽しみながら蝶も利用できる植物になります。

フェンネルの種類|何を楽しみたいかで選ぶ

フェンネルにはいくつかのタイプがあります。
細かな品種名を覚えるより「何を楽しみたいか」で選ぶと分かりやすくなります。

一般的なフェンネル

緑色の細かな葉を茂らせる一般的なタイプです。
葉や種などをハーブとして利用でき、黄色い花も楽しめます。
大きく育つので、地植えでは成長後のスペースまで考えて植えます。

フェンネル

ブロンズフェンネル

葉が銅色~赤褐色になるタイプです。
フェンネルらしい細かな葉を持ちながら、葉色そのものを楽しめるのが特徴です。
緑葉とは違った雰囲気になるため、観賞用として庭に取り入れたい場合にも候補になります。

ブロンズフェンネル

フローレンスフェンネル

株元が肥大するように改良されたタイプで「フィノッキオ」と呼ばれることもあります。
肥大した株元を野菜として利用することが大きな特徴です。

フローレンスフェンネル

一般的なフェンネルとは栽培目的や適した株間なども異なるため、苗や種を購入するときは「フェンネル」という名前だけでなく、どのタイプなのか確認しておきましょう。

フェンネルの育て方

1.場所と土を用意する

日当たりと風通しがよく、雨の後に水がたまりにくい場所を選びます。多年草として数年育てられるため、大きくなったときに隣の植物を覆わず、通路もふさがない場所が向いています。地植えでは土をほぐし、石や大きな根を取り除いておきます。

鉢で育てるなら、底に穴のある直径30cm以上の深めの鉢に野菜用培養土を入れ、1鉢に1株を目安にします。大きく育つため、鉢が倒れにくい場所に置きましょう。地植えより土が乾きやすく、水やりの回数は増えます。

2.種をまいて間引く

フェンネルは根を深く伸ばし、移植を嫌います。庭や鉢の、最後まで育てる場所に直接まくと根を傷めにくくなります。

まく前に土を湿らせ、1か所に数粒まき、土を約5mmかぶせて軽く押さえます。複数育てる場合は、まく場所を50cm以上離します。発芽まで表面が乾かないよう、種が流れない程度に水を与えましょう。

芽が混み合ってきたら、小さく弱いものを抜き、残す株の根を傷めないように少しずつ間引きます。本葉が4~5枚になるころを目安に、1か所1本にします。

購入苗から始める場合は、小さく元気な苗を選び、根を包む土を崩さずに植えます。植えた後はたっぷり水を与え、根付くまで乾燥に注意します。種まきの期間をそのまま苗の植え付け期間とは考えず、購入先の案内も確認してください。

3.水やりと生育中の管理

発芽後や植え付け直後は、土の乾き具合を見て水を与えます。地植えで根付いた後は、雨が降らず乾燥が続くときに水やりをします。鉢植えは土の表面が乾いたら、鉢底から水が出るまでたっぷり与えます。

背が高くなり、風で倒れそうなときは支柱を立て、茎をゆるく結んで支えます。花を楽しんだ後、こぼれ種で増やしたくなければ、種が落ちる前に花の部分を切り取ります。種を採りたい花は残しておきましょう。

よりよく育てる工夫

生育を充実させたい場合は、植える前に完熟堆肥や野菜用肥料を適量混ぜる方法もあります。鉢では肥料入りの培養土を使い、生育が弱くなってきたら野菜用肥料を製品の表示に従って少量補う方法があります。肥料は一度に多く与えすぎないようにします。

葉や種を収穫して楽しむ

柔らかい葉を少しずつ

株に葉が十分に増えたら、柔らかい葉や枝先を使う分だけ摘み取ります。株を育て続けるため、特に小さいうちは葉を一度に取り尽くさず、中心の伸びる部分と多くの葉を残しましょう。

葉は洗って水気を切り、魚を焼いたり蒸したりするときの香り付けや、サラダのアクセントに使えます。香りに特徴があるので、初めは少量から試してみましょう。

種を採る場合

花を残すと実ができ、熟すと茶色くなります。こぼれ落ちる前に花のまとまりごと切り、風通しのよい場所で十分乾かしてから種を取り分けます。食用にするのは、食用として育て、使用した資材の表示に従って管理した株のものにしましょう。

保存

葉は使う分だけ摘むのが手軽です。すぐに使わない場合は、軽く湿らせたペーパーで包んで保存袋に入れ、冷蔵庫で早めに使い切ります。乾かした種は湿気を避けて密閉し、香りが残っているうちに使います。

フェンネルとキアゲハ

フェンネルはキアゲハの幼虫の食草になります。蝶を庭で楽しみたいときは、成虫が蜜を吸う花だけでなく、幼虫が食べられる植物もあると観察の幅が広がります。ただし、植えれば必ず蝶が来るわけではありません。ほかの食草や蜜源植物は、蝶を呼ぶ植物一覧でも紹介しています。

キアゲハの食草として育てるなら、葉を食べられることも目的の一つです。小さな株では葉が大きく減ることもあり、食べられた後に必ず回復するとは限りません。料理にも使いたい場合は、十分な場所があれば人が収穫する株と観察する株を分ける方法もあります。食草として何株必要かは、幼虫の数や株の大きさによって変わります。

蝶の幼虫を育てたい株では、薬剤の使用に注意しましょう。食用にする株でも、使う場合は対象作物・使用時期など製品の表示を守ります。

我が家で植えなかった理由

我が家でも、キアゲハを呼ぶための食草としてフェンネルを検討しましたが、最終的には植えませんでした。気になったのは、細かな葉を幼虫に食べられた後の草姿と、大きく育つフェンネルのために庭のスペースを長期間確保するかという点です。

すでに多くの植物と、ほかのアゲハ類の食草を育てている我が家では、フェンネルを追加する優先度は高くありませんでした。実際に育てて、食べられた後の草姿を確認したわけではありません。食草としての魅力だけでなく、成長後の大きさや庭全体との相性も考えて選びたい植物です。

フェンネルが向いている庭・慎重に考えたい庭

フェンネルは、日当たりのよい場所に十分なスペースを確保できる庭に向いています。

細かな葉や黄色い花を楽しみたい、香りのあるハーブを育てたい、キアゲハの食草を増やしたいという場合には候補になります。

一方、植栽スペースが限られている庭や、低い植物を中心にまとめたい場所では、大株になることを受け入れられるか考えてから植えた方がよいでしょう。

直根性で移植を好まないため、最初から長く育てられる場所を選ぶことも重要です。

うまく育たないときは

芽が出ない

低温や種まき後の乾燥、深く埋めすぎたことなどが考えられます。適期に、湿らせた土へ浅くまき、発芽まで乾かさないようにします。適期が残っていれば、まき直すこともできます。

葉が減った・株がしおれた

葉を食べる幼虫がいないか、土が極端に乾いていないかを見ます。キアゲハの幼虫なら、残すかどうかを育てる目的に合わせて判断しましょう。いつも土が湿っている場合は水の与えすぎや排水も見直します。

茎が細く弱々しく伸びる

まず、周囲の植物などで日陰になっていないか確認します。大きくしたくないからと日当たりを抑えるのではなく、日なたで育てられる場所と、成長後のスペースを確保しましょう。

栽培を続けるとき・終えるとき

冬に地上部が傷んでも、根が生きていれば春に芽を出すことがあります。枯れた部分は整理し、翌春の新芽を待ちましょう。増やしたくないときは種が落ちる前に花を切ります。

栽培を終える場合は株と根を取り除き、こぼれ種から芽が出たら早めに抜きます。鉢の土は根やごみを取り除き、次に育てる植物に合わせて再利用を考えましょう。病気が出た株や土は、無理に再利用せず自治体の分別に従って処分します。

まとめ

フェンネルは、香りのよい葉や黄色い花を楽しめるとともに、キアゲハの幼虫の食草にもなるハーブです。大きくなる姿を見込んで場所を決め、根を傷めにくい直まきから始めましょう。葉を少しずつ料理に使いながら、庭に訪れる生き物も楽しめます。

蝶が訪れる庭を楽しみたい方へ

我が家で実際に育てている植物や、蝶が訪れる庭づくり、アゲハチョウの幼虫の飼育などについては「バタフライガーデンガイド」でまとめて紹介しています。

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