シダ類の育て方|日陰の庭やグランドカバーに使える種類と選び方

シダ 植物ガイド

日陰の庭では、花を楽しめる植物の選択肢が少なくなりがちです。
そんな場所でも、葉の形や色、新芽の美しさ、涼しげな草姿そのものを楽しめるのがシダ類です。

樹木の足元や建物の北側などにも取り入れやすく、複数株を植えれば、葉が重なり合う自然な景観をつくることもできます。

ただし「シダ類」は一つの植物ではありません。
小型のものから1mを超えるもの、常緑性のものから冬に地上部がなくなるもの、株立ちするものから地下茎などで広がるものまであります。

グランドカバーとして使う場合も、芝生やクラピアのような低いカーペットをつくる植物とは性質が違います。

この記事では、庭植えで使いやすいシダ類を中心に、種類の選び方、日陰への適性、グランドカバーとしての使い方、育て方、数年後の姿まで紹介します。

ベニシダ

シダ類とは? 日陰で葉を楽しむ植物

シダ類は花や種子をつくらず、胞子で増える植物の仲間です。

園芸では花ではなく、葉の形や葉色、新芽、株全体の草姿を楽しみます。

日本にも多くのシダが自生しており、半日陰~日陰を好む種類が多いため、シェードガーデンで使いやすい植物です。
一方、種類によっては日向にも対応するため「シダ=日陰専用植物」というわけではありません。

シダ類の基本情報

項目目安
分類シダ植物の仲間
主な観賞部分葉、新芽、草姿
草丈種類による差が大きい
広がり方株立ち、地下茎など種類による
日照半日陰~日陰を好む種類が多い。日向に対応する種類もある
真夏の強い日差し・西日葉焼けや乾燥に注意
乾燥苦手な種類が多い
過湿種類差がある。水が停滞する環境は避ける
土適度な湿り気と水はけのある腐植質に富んだ土が基本
耐暑性種類による
耐寒性種類による
冬の状態常緑~落葉まで種類による
植え付け種類による。春を適期とするものが多い
剪定基本的に不要。傷んだ古葉を整理する
増やし方株分け、胞子など
地植え○
鉢植え○
踏圧基本的に不向き
主な用途シェードガーデン、樹木の下草、グランドカバー、鉢植え
主な注意点種類による大きさ、広がり方、冬の状態の違いを確認して選ぶ

※シダ類は種類による違いが大きいため、草丈や株間などを一つの数値で示していません。購入する種類ごとの成株サイズを確認してください。

庭植えに使いやすいシダ類の種類と選び方

シダを選ぶときは葉の見た目だけでなく、

「最終的な大きさ」「広がり方」「冬に葉が残るか」

を確認することが大切です。

小さなポット苗だけを見て選ぶと、数年後に想像以上に大きくなったり、冬になると地上部がなくなって予定していた景観と違ったりすることがあります。

主なシダ類を比較

種類草丈の目安冬の状態特徴・選ぶポイント
ベニシダ約40cm常緑性赤褐色の新葉も楽しめる
オニヤブソテツ約20~50cm常緑性厚みと光沢のある葉
クサソテツ約50~100cm冬は地上部が枯れる匍匐枝で広がり群生する
オシダ約100~150cm落葉性大型で存在感がある
ニシキシダ約30~50cm落葉性シルバーや赤紫系の葉色も楽しめる
リョウメンシダ約60~150cm常緑性大型で大きな葉を広げる
イノデ約70cm常緑性日本の庭にもなじみやすい緑葉
クジャクシダ約20~30cm落葉性扇状に広がる繊細な葉

※草丈は代表的な目安です。地域や栽培環境、個体によって変わります。
※常緑性のシダでも、一年中まったく同じ美しい葉姿を保つとは限りません。寒さや古葉の傷みなどによって、冬~春には葉姿が乱れることがあります。

ベニシダ

ベニシダは、庭植えで使いやすい代表的なシダの一つです。

春に展開する新葉が赤褐色を帯び、その後緑色へ変わっていきます。
一般的な緑葉のシダとは少し違い、新芽から葉色が変化していく様子も楽しめます。

草丈は40cm程度が一つの目安で、下草として取り入れやすい大きさです。

常緑性ですが、冬も春と同じ葉姿を保つとは限りません。
冬景観を重視する場合は「常緑=一年中きれいな緑」と考えない方がよいでしょう。

ベニシダ

オニヤブソテツ

オニヤブソテツは、厚みと光沢のある葉を持つ常緑性のシダです。
草丈20~50cm程度が目安で、冬にも葉を残すシダを探している場合の候補になります。
ただし、冬~春は葉数が少なくなったり、古葉が傷んだりすることがあります。
落葉性シダと組み合わせ、冬に植栽部分がすべて空いてしまうのを避ける使い方もできます。

シダ オニヤブソテツ

クサソテツ

クサソテツは、春に明るい緑色の葉を伸ばし、まとまって育つと涼しげな群落をつくります。
若芽は「コゴミ」としても知られています。

特徴的なのが広がり方です。
地中を横へ伸びる匍匐枝(ほふくし)から新しい株をつくるため、時間とともに周囲へ広がります。
群生させたい場所ではこの性質が魅力になりますが、決めた範囲だけに収めたい場合は広がりを管理する必要があります。

冬には地上部が枯れるため、一年中緑で地面を覆いたい用途には向きません。

シダ クサソテツ

オシダ

オシダは草丈100~150cm程度になる大型のシダです。

小さな下草として隙間を埋めるというより、一株でも存在感のある草姿を楽しむ使い方に向いています。
苗のときは小さくても、成株になるとかなり場所を取るため、周囲に十分なスペースを確保します。
冬には葉が枯れる落葉性です。

シダ オシダ

ニシキシダ

ニシキシダは、葉色を楽しめるシダとして魅力があります。

草丈30~50cm程度で、シルバーや赤紫を帯びる葉を持つ園芸品種も国内で流通しています。
緑葉だけでは単調に感じる日陰の植栽へ、葉色の変化を加えたい場合の候補になります。
冬は地上部がなくなるため、冬も緑を残したい場合は常緑植物と組み合わせる方法があります。

ニシキシダ

シダ類はグランドカバーに向いている?

シダ類は日陰のグランドカバーとして利用できます。
ただし、芝生やクラピアのように地表すれすれを密に覆うタイプとは性質が違います。

シダは「下草型」のグランドカバー

複数のシダを植えると、成長した葉が広がり、地面を覆うようになります。

特に、樹木の下、建物沿い、日陰の植栽帯、飛び石の周囲、シェードガーデンなどに使いやすい植物です。

地表そのものを低く覆うというより、株から広がる葉で地面を隠す「下草型グランドカバー」と考えるとイメージしやすいでしょう。

基本的に踏む場所には向かない

シダは葉そのものを観賞する植物なので、繰り返し踏まれる場所には基本的に向きません。

人が通る場所では園路や飛び石を確保し、その周囲へ植える方法が適しています。

雑草抑制を期待しすぎない

株が育って葉が重なるようになれば、地面へ届く光が減るため、雑草をある程度抑える効果は期待できます。

ただし、植え付け直後から地面を完全に覆うわけではなく、株間から雑草が生えることもあります。

芝やクラピアなどのように面を密に被覆する植物と同じ効果を期待しない方がよいでしょう。

株間は種類と目的によって変わる

シダ類全体に共通する株間はありません。

小~中型の造園用シダでは、20~30cm程度の間隔を植え付け目安として販売されている例があります。

ただし、これはすべてのシダに当てはまる数字ではありません。

大型になるオシダやリョウメンシダ、植えた後に横へ広がるクサソテツなどは、同じ基準で考えない方がよいでしょう。

購入時の苗の大きさではなく、成株の大きさと広がり方を確認して株間を決めることが重要です。

シダ類はどのくらいの日陰まで育てられる?

シダ類には半日陰~日陰を好む種類が多く、日陰の庭では有力な選択肢になります。

ただし、「シダ=暗ければ暗いほどよく育つ」ではありません。

種類によっては日向にも対応します。

半日陰~明るい日陰は選択肢が多い

木漏れ日が入る場所や、一日のうち数時間だけ日が当たるような半日陰では、選べるシダが多くなります。

ベニシダのように比較的明るい環境にも対応するものがある一方、ニシキシダやクジャクシダなど半日陰を好む種類もあります。

まず植え場所の明るさを確認し、それに合った種類を選びます。

建物の北側にも使える

建物の北側など、直射日光が少ない場所もシダ類を検討しやすい場所です。

ただし、同じ北側でも空が開けている明るい日陰と、建物や塀に囲まれてほとんど光が入らない場所では条件が違います。

「北側ならシダ」と一律に判断せず、その場所の明るさを確認してください。

真夏の強い日差しや西日に注意

日向にも対応するシダであっても、真夏の強い直射日光や西日では葉焼けや乾燥に注意が必要です。

特に、日陰向きとして選んだ種類を午後の強い西日が長時間当たる場所へ植えるのは避けた方がよいでしょう。

「乾燥した日陰」は別問題

日陰であることと、シダに適した環境であることは同じではありません。

軒下では雨が届きにくく、大きな樹木の下では根に水分を奪われ、日陰でも土が乾燥することがあります。

シダ類の多くは適度な湿り気を好むため「日照」と「土の湿り具合」を別々に確認することが大切です。

シダ類の育て方

種類による違いはありますが、庭植え用として流通する一般的なシダには共通する管理のポイントがあります。

植え場所

半日陰~日陰を基本に、その種類に合った明るさの場所を選びます。

種類によっては日向でも育ちますが、真夏の強光や西日、乾燥には注意します。

土

適度な湿り気を保ちながら、水が長時間停滞しない土が基本です。

庭土が乾きやすい場合は腐葉土などを混ぜ、保水性と通気性を整えます。

「湿り気を好む」ことと「水浸しを好む」ことは同じではありません。

植え付け

庭植え用シダでは、春が植え付け適期として案内されているものが多くあります。

種類や苗の状態によって秋にも植えられますが、真夏や厳冬期など根付きにくい時期は避ける方が安全です。

植え付け後はたっぷり水を与え、根付くまでは乾燥させないようにします。

水やり

地植えでは、根付いた後は降雨だけで育てられる場合もありますが、土が乾燥する時期には水やりします。

特に植え付け直後や夏の乾燥期は、土の状態を確認してください。

鉢植えは地植えより乾きやすいため、水切れに注意します。

肥料

多肥にする必要はありません。

肥料を多く与えることより、腐植質を含む土と、その種類に合った日照・水分環境を整えることを優先します。

必要に応じて、生育期に緩効性肥料などを少量与えます。

剪定・古葉整理

花木のような剪定は基本的に必要ありません。

枯れたり傷んだりした古葉を株元から取り除きます。

落葉性の種類では冬に葉が枯れるため、枯れ葉を整理して春の芽吹きを待ちます。

常緑性の種類でも古葉は徐々に傷むため、新葉の展開に合わせて整理すると株姿を整えられます。

植え替え・株分け

地植えでは頻繁な植え替えは必要ありません。

株が大きくなりすぎたり、混み合ったりした場合は、株分けできる種類なら適期に分けて植え直します。

鉢植えでは、根詰まりや株の大きさを見ながら植え替えます。

夏越し

夏は強い直射日光と乾燥に注意します。

特に鉢植えは地植えより用土が乾きやすいため、水切れさせないようにします。

一方で、常に水が停滞する状態にするのではなく、風通しも確保します。

冬越し

冬の姿は種類によって大きく異なります。

ベニシダやオニヤブソテツなど常緑性のものがある一方、クサソテツ、オシダ、ニシキシダ、クジャクシダなどは冬に葉が枯れます。

また、常緑性でも冬の寒さや古葉の傷みによって葉姿が悪くなることがあります。

グランドカバーとして冬も地面を隠したい場合は、常緑性か落葉性かだけでなく、冬に実際にどの程度葉姿を保てるかまで考えて選ぶとよいでしょう。

病害虫

適した環境で育てれば、比較的丈夫なシダも多くあります。

病害虫名を一律に警戒するより、まず種類に合った日照、水分、風通しを確保することが基本です。

葉や株に異常が出た場合は、過湿、乾燥、強光など栽培環境も含めて原因を確認します。

増やし方

シダ類は胞子でも増えますが、家庭園芸では株分けできる種類なら株分けの方が取り組みやすい方法です。

株分けの適期や方法は種類によって異なるため、対象となるシダごとに確認してください。

数年後はどうなる? 植える前に確認したいこと

シダ類を植えるときに見落としやすいのが、苗ではなく成株の姿です。

大型種は一株でも場所を取る

オシダは草丈100~150cm程度、リョウメンシダも大型になります。

小さなポット苗だけを見て植えると、数年後に周囲の植物を覆うほど大きくなることがあります。

狭い植栽スペースでは、成株サイズを確認してから種類を選びましょう。

横へ広がる種類もある

クサソテツのように匍匐枝を伸ばして新しい株をつくるシダもあります。

自然な群落をつくりたい場所では魅力ですが、狭い場所や他の植物と混植する場所では、広がりを管理する必要が出ることがあります。

「よく広がる=管理が楽」とは限りません。

冬の景観まで考える

春から秋に葉が茂っていても、落葉性のシダでは冬に地上部がなくなります。

冬も緑を残したいなら常緑性の種類を選ぶか、常緑植物と組み合わせる方法があります。

一方、常緑性でも古葉が傷むため、一年中まったく同じ姿になるわけではありません。

春~秋の姿だけでなく、冬に何が残るのかまで確認して選ぶことが大切です。

地植えと鉢植え、どちらが向いている?

シダ類は地植えにも鉢植えにもできます。

日陰の下草やグランドカバーとして使うなら、本来の草姿や広がりを生かしやすい地植えが中心になります。

一方、広がりを制限したい場合や、葉色・葉形の美しい種類を近くで楽しみたい場合、適した地植え場所がない場合は鉢植えも選択肢です。

ただし鉢植えは地植えより土が乾きやすく、水やりの回数も増えやすくなります。

「鉢でも育てられる」と「鉢の方が管理しやすい」は同じではありません。

シダ類が向いている庭・向いていない庭

シダ類は、半日陰~日陰を緑化したい、樹木の下を自然な雰囲気にしたい、花だけでなく葉や草姿を楽しみたい、日陰にグランドカバーを取り入れたい、といった庭に向いています。

特に、人が踏まない植栽スペースを葉で覆いたい場合には有力な選択肢です。

一方、一日中強い日差しが当たる場所、西日が強く乾燥しやすい場所、芝生のように上を歩く場所、ごく低いカーペット状に地面を覆いたい場所では、シダ類以外の植物も比較した方がよいでしょう。

また、冬も緑を残したい場合は「シダなら何でもよい」のではなく、常緑性と冬の葉姿まで確認して種類を選ぶ必要があります。

シダ類についてよくある質問

シダは日が当たらない場所でも育ちますか?

日陰に強い種類は多くあります。
ただし、完全に光が入らない場所より、木漏れ日が入る場所や明るい日陰を好む種類もあります。
「日陰かどうか」だけでなく、明るさと土の湿り具合を確認して種類を選んでください。

シダはグランドカバーになりますか?

使えます。ただし、芝やクラピアのような低いカーペット型ではなく、葉を広げて地面を覆う下草型グランドカバーとして考えるのが適しています。
踏む場所には基本的に向きません。

シダは何cm間隔で植えればよいですか?

種類によります。小~中型の造園用シダでは20~30cm程度の間隔で植える例がありますが、大型種や横へ広がる種類にはそのまま当てはめられません。
苗の大きさだけでなく、成株の大きさと広がり方を確認して決めてください。

シダを植えれば雑草が生えなくなりますか?

葉が茂って地面への光を遮れば、雑草をある程度抑える効果は期待できますが、完全には防げません。
特に植え付け直後や株間には雑草が生えることがあります。

シダは冬も緑ですか?

種類によります。常緑性のベニシダやオニヤブソテツなどがある一方、クサソテツ、オシダ、ニシキシダ、クジャクシダなど冬に葉が枯れる種類もあります。
また、常緑性でも冬に古葉が傷んで見栄えが落ちることがあります。

シダは乾燥した日陰にも向いていますか?

日陰に強いことと、乾燥に強いことは別です。シダ類の多くは適度な湿り気を好むため、軒下や大木の根元など「暗いけれど土が乾燥する場所」では注意が必要です。

まとめ

シダ類は、花が少なくなりがちな日陰でも、葉の形や色、新芽、草姿を楽しめる植物です。

樹木の下や建物の北側などにも取り入れやすく、複数株を植えれば、日陰を自然な雰囲気で覆うグランドカバーとしても利用できます。

ただし、シダ類は一つの植物ではありません。

常緑か落葉か、成株の大きさ、横への広がり方、日照や水分への適性を確認して種類を選ぶことが大切です。

グランドカバーとしても、芝生のように踏める低いカーペットではなく、葉で地面を覆う「下草型」と考えると使い方をイメージしやすくなります。

また「日陰だからシダ」と決めるのではなく、その場所の明るさ、乾燥具合、使えるスペース、冬に求める景観まで考えて選びましょう。

条件に合った種類を選べば、花に頼らず、葉の美しさを生かした日陰の庭をつくることができます。

グランドカバーシリーズ

グランドカバーは、見た目だけでなく、日当たりや踏圧、冬の姿、雑草対策など、庭の条件によって向いている植物が変わります。
このシリーズでは、さまざまな角度からグランドカバーの選び方を紹介しています。

①グランドカバー ガイド|庭に合う植物の選び方とおすすめの探し方

②おすすめグランドカバー|写真と特徴から自分好みの植物を探す

③芝生の代わりになるグランドカバー|踏める植物を比較

④日陰・半日陰に強いグランドカバー|日照条件から選ぶ

⑤花がきれい・おしゃれなグランドカバー|見た目から選ぶ

⑥冬もきれいなグランドカバー|常緑性と冬の姿を比較

⑦雑草対策になるグランドカバー|草むしりと手入れを減らす選び方

⑧グランドカバーで後悔しないために|増えすぎ・撤去・よくある失敗

⑨庭の地面は何で覆う?グランドカバー・人工芝・砂利・レンガ小道等を比較

タイトルとURLをコピーしました