日陰に合う植物を一つずつ選んでも、それだけできれいな庭になるとは限りません。
ギボウシ、ヤブラン、ツワブキ、シダ、アオキなど、それぞれは魅力的でも、似た植物を並べるだけでは単調に見えることがあります。
反対に、たくさんの種類を一株ずつ植えると、まとまりのない庭になることもあります。
シェードガーデンでは、花の多さだけに頼らず
葉の大きさ、葉色、高さ、冬の姿、花の時期
を組み合わせることがポイントです。
この記事では、日陰向き植物の選び方ではなく、選んだ植物をどう組み合わせればきれいに見えるかを考えます。
- 植物を組み合わせる前に「光」と「水分」を確認する
- シェードガーデンをきれいに見せる5つの基本
- 1.葉の大きさを変える
- 2.葉色を変える
- 3.高さを変える
- 4.常緑+季節植物を組み合わせる
- 5.花の時期をずらす
- 同じ植物を繰り返すと庭がまとまりやすい
- 「3株ずつ植える」などのルールに縛られなくてよい
- 植えた直後の隙間を怖がらない
- 例1|明るい半日陰を葉色で明るくする
- 例2|落ち着いた自然な日陰にする
- 例3|半日陰で花を楽しむ
- 例4|暗めの日陰は葉を主役にする
- 例5|乾いた日陰を組み合わせる
- 明るい素材を使う方法もある
- 雑草を減らしたいならデザインとは別に考える
- よくある失敗1|似た葉ばかりになる
- よくある失敗2|明るくしたいのに暗い葉ばかり使う
- よくある失敗3|冬に全部なくなる
- よくある失敗4|苗の大きさで隙間なく植える
- よくある失敗5|見た目だけで組み合わせる
- 庭木が育つと日陰も変わる
- 植物がうまく育たないならデザインより環境を見直す
- シェードガーデンは花の多さで決まらない
- まとめ
- シェードガーデンシリーズ
植物を組み合わせる前に「光」と「水分」を確認する
デザインを考える前に、その場所で植物が育つ条件を確認します。
まず
半日陰、明るい日陰、暗めの日陰
のどこに近いかを確認します。
次に
乾いた日陰、適度な湿り気のある日陰、水はけの悪い日陰
のどれに近いかを見ます。
見た目の相性がよくても、生育条件が大きく違う植物を同じ場所へ植えるとうまく育ちません。
日当たりについては「半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び」、水分については「乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法」で確認してください。
シェードガーデンをきれいに見せる5つの基本
組み合わせでは、次の5点を意識します。
1.葉の大きさを変える
2.葉色を変える
3.高さを変える
4.常緑+季節植物を組み合わせる
5.花の時期をずらす
全部を必ず使う必要はありません。
2~3個意識するだけでも、同じような緑一色の植栽から変化をつけやすくなります。
1.葉の大きさを変える
日陰の庭では、花が咲いていない期間の方が長くなります。
そのため、葉の形や大きさの違いが重要です。
例えば
大葉:ギボウシ、ツワブキ、ハラン
細葉:ヤブラン、リュウノヒゲ、フウチソウ
細かく分かれる葉:シダ類
があります。
ギボウシ+シダ
ギボウシの大きな葉に、クジャクシダなどの細かな葉を合わせると、葉形の違いがはっきりします。
ツワブキ+ヤブラン
ツワブキの丸みのある大葉と、ヤブランの細い葉を組み合わせても対比ができます。
花が咲いていない時期にも形の違いが残ります。
2.葉色を変える
日陰では緑葉だけを集めると、庭全体が暗く見えることがあります。
そこで、白斑、黄色・ライム、銀色などを少し加えます。
例えば、斑入りヤブラン、斑入りアオキ、銀葉のブルンネラ、ニシキシダなどです。
ただし、カラーリーフを多く使えばよいわけではありません。
緑葉を背景にして明るい葉をポイントとして使うと、葉色が目立ちやすくなります。
詳しくは「半日陰・日陰のカラーリーフ|暗い庭を葉色で明るくする植物14選」で紹介しています。
3.高さを変える
すべて同じ高さの植物を並べると、庭が平面的に見えやすくなります。
大まかに、背景、中景、足元を考えます。
例えば、背景:アオキ、中景:ツワブキ、足元:ヤブラン・フッキソウのように配置します。
必ず3段にする必要はありません。
狭い場所なら、高い植物+低い植物の2段だけでも十分です。
4.常緑+季節植物を組み合わせる
ギボウシ、アスチルベ、クジャクシダなどは、冬に地上部がなくなります。
これらだけを植えると、春~秋はきれいでも冬は何もない場所が増えます。
そこで、アオキ、ツワブキ、ヤブラン、ハラン、フッキソウなどの常緑植物を組み合わせます。
例えば、ツワブキ+アスチルベなら、冬はツワブキの葉が残り、春からアスチルベが育って季節の変化が加わります。
すべて常緑にする必要も、すべて季節植物にする必要もありません。
冬に残るもの+春に戻ってくるものを組み合わせます。
5.花の時期をずらす
日陰でも花を楽しめる植物はあります。
例えば
冬~早春:クリスマスローズ
春:プルモナリア、ブルンネラ、シャガ
初夏:アジサイ、アスチルベ
夏:ギボウシ
晩夏~秋:ヤブラン、ホトトギス
秋:ツワブキ
のように時期をずらせます。
一年中必ず花が咲いている庭にする必要はありません。
花がない時期は葉を楽しみ、季節ごとに一部の植物が咲くようにすると無理なく変化をつけられます。
同じ植物を繰り返すと庭がまとまりやすい
植物をたくさん知ると、せっかくだから一種類ずつ植えたいと思うことがあります。
しかし、Aを1株、Bを1株、Cを1株、Dを1株と並べると、植物コレクションのように見えることがあります。
例えばヤブランを数か所に繰り返したり、同じギボウシを複数配置したりすると、庭に共通する要素ができます。
種類を増やすことより、気に入った植物を繰り返すことも庭をまとめる方法です。
「3株ずつ植える」などのルールに縛られなくてよい
植栽デザインでは、同じ植物は3株、5株など奇数で植えるといった方法が紹介されることがあります。まとまりをつくる一つの方法ではありますが、家庭の庭で必ず守る必要はありません。
植物によって成長後の大きさも広がり方も違います。
一株で大きくなるギボウシと、低く広がるフッキソウでは適切な株数も違います。
株数より、成長したときにどのくらいの面積を占めるかを考えます。
植えた直後の隙間を怖がらない
庭をつくった直後は、植物と植物の間に土が見えることがあります。
そこで最初から隙間なく植えると、数年後に混み合う可能性があります。
植物は成長します。
特に、アオキ、アジサイ、ギボウシ、ツワブキ、大型になるシダ類などは、苗のときよりかなり存在感が出ます。
植えた当日ではなく、2~3年後の姿を想像して配置します。
完成形は植え付け当日ではありません。
例1|明るい半日陰を葉色で明るくする
例えば
背景:斑入りアオキ
中景:明るい葉色のギボウシ
足元:斑入りヤブラン
アクセント:ニシキシダ
という組み合わせです。
斑入りアオキとヤブランの白~黄色系、ギボウシの明色葉、ニシキシダの銀灰色を使えます。
ただし、明るい葉ばかりで埋めず、周囲には緑葉も残します。
緑葉を背景にして明るい葉をポイントとして使う方が、まとまりやすくなります。
例2|落ち着いた自然な日陰にする
派手な葉色をあまり使わないなら
背景:アオキまたはハラン
中景:ツワブキ
足元:ベニシダ+フッキソウ
などが考えられます。
大葉、シダ葉、低い葉という形の違いで変化をつけます。
緑を中心にしても、葉形を変えれば単調になりにくくなります。
例3|半日陰で花を楽しむ
花を増やしたいなら
背景:アジサイまたはヤマアジサイ
中景:アスチルベ
中~足元:ギボウシ
足元:ティアレラ
などが候補になります。
花期が完全に同じではないため、季節ごとに見どころが変わります。
ただし、冬に地上部がなくなる植物が多い組み合わせです。
冬も何か残したい場合は、ヤブラン、ツワブキ、フッキソウなどの常緑植物を加えます。
例4|暗めの日陰は葉を主役にする
暗めの日陰では、花数を無理に増やすより葉を主役にした方が安定しやすくなります。
例えば
背景:アオキ
中景:ハラン
中~足元:ヤブラン
足元:フッキソウ
アクセント:条件に合うシダ
などです。
大葉、細葉、シダ葉を組み合わせて変化をつけます。
暗めの日陰では、まずその環境で安定して育つことを優先します。
例5|乾いた日陰を組み合わせる
軒下や庭木の下など、乾燥しやすい日陰では、ハラン、ヤブランなどから組み合わせを考えられます。
乾いた日陰では植物の種類を増やすことより、まず水分条件に合う植物を選ぶことを優先します。
植え付け直後は、乾燥に比較的強い植物でも根付くまで水分管理が必要です。
明るい素材を使う方法もある
日陰を明るく見せる方法は植物だけではありません。
例えば、明るい色の砂利、淡い色の敷石、明るい壁やフェンス、鉢などを使う方法があります。
植物だけで無理に白斑や黄色葉を増やさなくても、背景や地面を明るくすると庭全体の印象を変えられます。
また、植物が育ちにくいほど暗い場所まで、無理に植物だけで埋める必要はありません。
石、砂利、園路、鉢などを組み合わせて余白をつくることも、シェードガーデンを整えて見せる方法です。
雑草を減らしたいならデザインとは別に考える
きれいな植栽と、雑草を抑える植栽は完全に同じではありません。
植物同士の間隔を取れば、植え付け直後は土が見えるため雑草が生えることがあります。
反対に、地面を早く覆う植物ばかり選ぶと、広がりすぎて管理が必要になる場合があります。
雑草抑制を重視する場合は、既存記事「日陰・半日陰に強いグランドカバー|日照条件から選ぶ」で、広がり方、雑草抑制、冬の姿、管理負担まで比較してください。
よくある失敗1|似た葉ばかりになる
同じくらいの大きさ、同じ緑色、同じ高さの葉ばかり集めると、植物の境目が分かりにくくなります。
色を増やしたくない場合でも、大葉+細葉+シダ葉のように形を変えるだけで違いを出せます。
よくある失敗2|明るくしたいのに暗い葉ばかり使う
紫葉や黒葉は魅力的ですが、暗めの日陰では背景に沈むことがあります。
コクリュウなどは、白斑や明るい緑との対比として使う方が特徴を出しやすくなります。
よくある失敗3|冬に全部なくなる
春~秋の写真だけを見て植物を選ぶと、冬に地上部がなくなる植物ばかりになることがあります。
植える前に、常緑か、冬に地上部がなくなるかを確認します。
一部に常緑植物を入れておけば、冬も庭の骨格を残せます。
よくある失敗4|苗の大きさで隙間なく植える
小さなポット苗を基準にすると、植え付け直後は隙間が気になります。
しかし、その隙間をすべて埋めると、成長後に混み合います。
完成形は植え付け当日ではありません。
数年後の株幅を基準に配置します。
よくある失敗5|見た目だけで組み合わせる
例えば、葉色が合うからという理由だけで、乾燥を好む植物と湿り気を好む植物を同じ場所へ植えるとうまくいかないことがあります。
デザインより先に、光+水分を合わせます。
庭木が育つと日陰も変わる
植えたときには明るい半日陰でも、庭木が成長すると数年後には暗くなることがあります。
枝葉が広がれば、日照時間が減る、雨が入りにくくなる、木の根が水分を吸うという変化も起こります。
庭は完成した瞬間から変化し続けます。
今の状態だけでなく、庭木や低木が大きくなった後の光と水分も考えます。
植物がうまく育たないならデザインより環境を見直す
植栽の組み合わせを変えても、植物そのものが弱っているなら庭はきれいに見えません。
例えば、花が咲かない、徒長する、葉色が悪い、夏に枯れる、根腐れするといった場合は、配置を変える前に、光、水分、排水、暑さ、肥料などを確認します。
詳しくは「日陰向き植物が育たない原因|光・水・土・肥料をチェック」で紹介しています。
シェードガーデンは花の多さで決まらない
日当たりのよい花壇と同じように、たくさんの花を咲かせようとする必要はありません。
日陰には、大きな葉、細い葉、シダの葉、斑入り葉、銀葉、常緑葉という楽しみ方があります。
花は季節のアクセントとして加えれば十分です。
葉を主役にできることは、シェードガーデンならではの魅力です。
まとめ
シェードガーデンをきれいに見せる基本は
葉の大きさを変える
葉色を変える
高さを変える
常緑+季節植物を組み合わせる
花の時期をずらす
ことです。
さらに、同じ植物を何か所かで繰り返すと、種類を増やしすぎなくても庭にまとまりをつくれます。
植え付け直後の完成度を求めず、2~3年後に植物が育った姿を考えて間隔を取ることも重要です。
そして何より、デザインの前に、光+水分が植物に合っていることを確認します。
日陰を「花が咲かない不利な場所」と考えるのではなく、葉の大きさ、形、色、季節変化を楽しめる場所として考えると、シェードガーデンの植物選びはずっと面白くなります。
シェードガーデンシリーズ
このシリーズでは、半日陰・日陰の庭で植物を選ぶために、日当たりや水分条件の見分け方から、花・常緑植物・カラーリーフ・庭木・シダの選び方、植物の組み合わせ方、うまく育たないときの対処まで紹介しています。
最初から順番に読む必要はありません。
自分の庭で困っていることや、植えたい植物に合わせて、気になる記事から読んでみてください。
① 日陰でも育つ植物おすすめガイド|半日陰・明るい日陰・暗めの日陰から選ぶ
② 半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び
③ 半日陰・日陰でも花を楽しめる植物|明るさに合わせて選ぶおすすめ12種
⑤ 半日陰・日陰のカラーリーフ|暗い庭を葉色で明るくする植物14選
⑦ 乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法
⑨ シェードガーデンの作り方|日陰の植物をきれいに組み合わせる方法(当記事)


