半日陰や日陰でも植えられる庭木はあります。
ただし草花と違い、庭木は植えてから数年、十数年と育ちます。
苗のときは小さくても、思った以上に高くなる、横へ広がる、通路にはみ出す、毎年剪定が必要になることがあります。
そのため、庭木では「日陰でも育つか」だけでなく、成長後の高さ、横幅、成長速度、剪定の必要性、常緑か落葉かまで確認して選ぶことが重要です。
この記事では、耐陰性ランキングではなく、庭でどのくらいの高さがほしいかから候補を選びます。
- まず「どのくらいの高さがほしいか」を決める
- 日陰・半日陰で育てやすい庭木を比較
- ヤブコウジ|低い常緑+赤い実
- サルココッカ|常緑低木+早春の香り
- ジンチョウゲ|香りを楽しむ低木
- アオキ|暗めの日陰にも使いやすい常緑低木
- ヤツデ|大きな常緑葉で日陰に存在感を出せる
- アセビ|常緑葉と春の花を楽しむ
- ヒイラギナンテン類|常緑の葉姿を楽しむ
- マンリョウ・センリョウ|冬の赤い実を楽しむ
- アジサイ類|半日陰で初夏の花を楽しむ
- ヤマアジサイ|繊細な花姿を楽しむ
- ナンテン|葉・実・季節の葉色を楽しむ
- ソヨゴ|常緑のシンボルツリー候補
- エゴノキ|明るい半日陰側から考える落葉樹
- トキワエゴノキは普通のエゴノキとは別に考える
- アオダモやヤマボウシはどうする?
- 狭い庭では高さより横幅が問題になることもある
- 「剪定すれば小さくできる」を前提にしない
- 庭木の下に何を植えるかも考える
- 迷ったらこの順番で選ぶ
- まとめ
- シェードガーデンシリーズ
まず「どのくらいの高さがほしいか」を決める
庭木を選ぶときは「低木」「中木」「高木」という分類だけで考えるより、実際の庭でどのくらいの高さがほしいか考える方が分かりやすくなります。
低く抑えたい
ヤブコウジ
サルココッカ
ジンチョウゲ
低~中程度の高さで使いたい
アオキ
アセビ
ヒイラギナンテン類
マンリョウ・センリョウ
アジサイ類
ヤマアジサイ
ナンテン
ヤツデ
シンボルツリーとして高さがほしい
ソヨゴ
エゴノキ
実際の樹高は種類・品種・環境・剪定などで変わります。
数字だけでなく、数年後にその場所へ収まりそうかを確認します。
日陰・半日陰で育てやすい庭木を比較
| 庭木 | 光の目安 | 主な魅力 | 大きさの考え方 | 主な注意 |
|---|---|---|---|---|
| ヤブコウジ | 明るい日陰~日陰 | 常緑葉・赤い実 | 非常に低い | 地下茎で広がる |
| サルココッカ | 半日陰~日陰 | 常緑・早春の香り | 低木 | 極端な乾燥 |
| ジンチョウゲ | 半日陰 | 常緑・香りの花 | 比較的コンパクト | 移植・根傷み |
| アオキ | 半日陰~暗めの日陰 | 常緑・斑入り葉 | 中型化する | 将来の横幅 |
| アセビ | 半日陰~明るい日陰 | 常緑・春花 | 低~中木 | 有毒植物 |
| ヒイラギナンテン類 | 半日陰~日陰 | 常緑・葉姿 | 種類差が大きい | 葉の鋭さ・サイズ |
| マンリョウ・センリョウ | 明るい日陰~半日陰 | 常緑葉・赤い実 | 低~中 | 別の植物・実付き |
| アジサイ類 | 半日陰 | 初夏の花 | 中型化する | 剪定・西日 |
| ヤマアジサイ | 半日陰~明るい日陰 | 繊細な花姿 | 比較的小型が多い | 品種差 |
| ナンテン | 半日陰中心 | 葉・実・紅葉 | 中型化する | 暗すぎる場所は避ける |
| ヤツデ | 半日陰~日陰 | 大きな常緑葉・存在感 | 中程度以上を想定 | 将来の高さ・横幅を確認 |
| ソヨゴ | 半日陰~明るい場所 | 常緑・自然な樹形 | 将来は高くなる | 乾燥・西日・雌雄 |
| エゴノキ | 日向~半日陰 | 白花・自然樹形 | 将来は高くなる | 日向を好む・将来サイズ |
ヤブコウジ|低い常緑+赤い実

こんな人に:背を高くせず、低い位置に常緑葉と冬の実を入れたい人
ヤブコウジは低い常緑低木で、日陰の足元に使いやすい植物です。
冬には赤い実も楽しめます。
ただし、日陰で生育できることと、毎年たくさん実を付けることは同じではありません。
光、開花、受粉、株の状態などによって実付きは変わります。
サルココッカ|常緑低木+早春の香り

こんな人に:日陰に低めの常緑樹を植え、早春の香りも楽しみたい人
サルココッカは、半日陰~日陰で使える常緑低木です。
派手な花ではありませんが、冬~早春に香りのある花を楽しめる種類があります。
大きな庭木ほど場所を取らず、草花だけでは冬に高さがなくなる場所で骨格をつくる候補になります。
極端に乾燥する場所では、水分条件も確認します。
ジンチョウゲ|香りを楽しむ低木

こんな人に:比較的コンパクトな常緑低木で香りの花を楽しみたい人
ジンチョウゲは、早春の強い香りで知られる常緑低木です。
半日陰でも育てられ、比較的コンパクトに使いやすいことが魅力です。
一方、移植や根を傷めることを嫌うため、植え付け場所は慎重に決めます。
「後で移動すればよい」と考えるより、最初から長く育てられる場所へ植える方が向いています。
アオキ|暗めの日陰にも使いやすい常緑低木

こんな人に:日陰でもある程度の高さに常緑の葉を残したい人
アオキは耐陰性の高い常緑低木です。
冬もある程度の高さに葉が残るため、シェードガーデンの背景として使いやすい植物です。
我が家では斑入りのアオキ‘サルフレア’を育てています。
斑入り品種なら葉色にも変化をつけられます。
ただし低い草花とは違い、成長するとそれなりの大きさになります。
苗の大きさではなく、数年後の高さと横幅を考えて植えます。
ヤツデ|大きな常緑葉で日陰に存在感を出せる

ヤツデは、大きな葉が特徴の常緑低木です。半日陰~日陰でも育てやすく、花が少ない場所でも葉の大きさと形で存在感を出せます。
ただし、苗のうちは小さくても、育つと高さだけでなく横幅も出ます。
狭い場所では、剪定で抑え続けることを前提にせず、数年後の大きさを考えて植え場所を決めたい庭木です。
アセビ|常緑葉と春の花を楽しむ

こんな人に:常緑の庭木で春の花も楽しみたい人
アセビは常緑で、春には房状の花を咲かせます。
半日陰~明るい日陰で候補になります。
低木~中木として使えますが、成長後の大きさを確認して植えます。
また、有毒植物なので、小さな子どもやペットがいる庭では扱いにも注意します。
ヒイラギナンテン類|常緑の葉姿を楽しむ

こんな人に:日陰でも高さのある常緑の葉姿を残したい人
ヒイラギナンテン類は、半日陰~日陰で使える常緑低木です。
草花より高い位置に葉を残せるため、冬のシェードガーデンの背景にも使えます。
ただし「ヒイラギナンテン類」として流通する植物には、大きさや葉姿の違いがあります。
葉先が鋭いタイプもあるため、狭い通路や人が頻繁に触れる場所では配置に注意します。
マンリョウ・センリョウ|冬の赤い実を楽しむ
【マンリョウ】↓

【センリョウ】↓

こんな人に:日陰~半日陰で冬の赤い実を楽しみたい人
マンリョウとセンリョウは、どちらも冬の赤い実で知られています。
名前や使われ方は似ていますが、別の植物です。
日陰~半日陰の庭で冬の実を楽しみたい場合の候補になりますが、その場所で株が育つことと、毎年十分に実が付くことは分けて考えます。
光、開花、受粉、株の状態などによって実付きは変わります。
「冬に赤い実がほしい」という目的から比較する2候補として考えると分かりやすくなります。
アジサイ類|半日陰で初夏の花を楽しむ

こんな人に:半日陰にある程度存在感のある花木を植えたい人
アジサイ類は、半日陰で花木を楽しみたい場合の代表候補です。
初夏に大きな花を楽しめます。
ただし成長すると高さだけでなく横幅も出ます。
剪定の時期によって翌年の花付きに影響する種類もあり、夏の強い西日にも注意します。
ヤマアジサイ|繊細な花姿を楽しむ

こんな人に:半日陰に繊細な花姿の庭木を取り入れたい人
ヤマアジサイは、半日陰~明るい日陰で候補になる落葉低木です。
一般的なアジサイ類と比べて比較的小型のものも多く、繊細な花姿を楽しめます。
ただし品種による大きさの違いがあるため「ヤマアジサイなら必ず小さい」と決めず、選んだ品種の将来サイズを確認します。
ナンテン|葉・実・季節の葉色を楽しむ

こんな人に:ある程度明るい半日陰で、葉・実・季節変化を楽しみたい人
ナンテンは、葉、実、季節による葉色の変化を楽しめる庭木です。
半日陰でも使えますが、暗い場所の代表植物として扱うより、ある程度明るさのある半日陰から検討する方がよいでしょう。
実付きや葉色も光条件の影響を受けます。
株立ち状に育つため、成長後の高さと横幅も確認します。
ソヨゴ|常緑のシンボルツリー候補

こんな人に:明るさのある半日陰に常緑のシンボルツリーを植えたい人
日陰・半日陰の庭でも、低木だけでなく高さのある常緑樹を使いたい場合があります。
ソヨゴは、そのような場所でシンボルツリー候補として検討できる庭木です。
自然な樹形を楽しみやすい一方、成長すれば高さが出ます。
乾燥や強い西日にも注意し、実を楽しみたい場合は雌雄についても確認して選びます。
エゴノキ|明るい半日陰側から考える落葉樹

こんな人に:明るい半日陰で、白い花と自然な樹形を楽しみたい人
エゴノキは、春~初夏の白い花と自然な樹形を楽しめる落葉樹です。
本来は日当たりのよい場所を好みますが、半日陰でも生育できるため、明るさのある半日陰側から検討できる落葉樹です。
日陰に非常に強い庭木として紹介する植物ではありません。
自然な樹形を楽しみやすい一方、成長するとかなり高さが出ます。
苗木だけを見て狭い場所へ植えず、将来の樹高と枝張りを考えます。
我が家でも普通のエゴノキを育てていますが、植えているのは半日陰ではなく日当たりのある場所です。
トキワエゴノキは普通のエゴノキとは別に考える
我が家では、普通の落葉性エゴノキとは別にトキワエゴノキも育てています。
国内では常緑性で、関東以南の庭植え、日向~半日陰向きとして流通しています。
一方、国内での栽培実績がまだ浅いとする販売情報もあり、寒さによって葉を落とす場合もあります。
そのため、この記事では普通のエゴノキと同じ植物のようには扱わず、補足候補とします。
今後、我が家での成長も観察していきたい庭木です。
アオダモやヤマボウシはどうする?
シンボルツリーとして人気のアオダモやヤマボウシも候補に思えるかもしれません。
しかし、どちらも基本的には日当たりを好むため、今回の「日陰・半日陰でも育つ庭木」の主要候補には入れていません。
ある程度明るい半日陰なら検討できる場合がありますが
日陰の庭木を探している読者へ最初にすすめる植物
とは分けて考えます。
庭木では「少し耐えられる」と「その場所に積極的にすすめたい」を区別することが大切です。
狭い庭では高さより横幅が問題になることもある
庭木を選ぶときは、樹高ばかり見てしまいがちです。
しかし一般家庭では、通路にはみ出す、隣地側へ枝が伸びる、窓を覆う、ほかの植物へ覆いかぶさるなど、横幅の方が問題になることがあります。
特にアオキ、アジサイ類などは、低~中程度の高さでも横へ広がります。
植栽スペースでは、高さ+横幅の両方を確認します。
「剪定すれば小さくできる」を前提にしない
大きくなる庭木でも「毎年切れば小さく維持できる」と考えることはできます。
しかし、低メンテナンスを目指すなら、それを前提に植物を選ばない方が楽です。
本来大きくなる植物を狭い場所へ植えると、毎年強く切る、樹形が崩れる、剪定枝が大量に出るといった管理が必要になる場合があります。
最初から、その場所に収まりやすい庭木を選ぶ方が管理負担を減らせます。
庭木の下に何を植えるかも考える
庭木を一本植えると、その木自体が新しい日陰をつくります。
さらに根が育つことで、足元の土が乾燥することもあります。
つまり庭木は
今ある環境に適応する植物であるだけでなく
数年後の庭の光と水分条件を変える植物でもあります。
庭木の下へ宿根草やグランドカバーを植える予定なら、成長後の木陰まで考えます。
水分条件については「乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法」、植物の組み合わせについては「シェードガーデンの作り方|日陰の植物をきれいに組み合わせる方法」で紹介しています。
迷ったらこの順番で選ぶ
庭木では、次の順番で考えると候補を絞りやすくなります。
① どのくらいの高さがほしいか
↓
② 常緑か落葉か
↓
③ その場所の光で育てられるか
↓
④ 成長後の横幅は収まるか
↓
⑤ どのくらい剪定が必要か
↓
⑥ 花・葉・実など何を楽しみたいか
「日陰に一番強い木」から探すのではなく、庭に必要な高さと役割から選ぶのがポイントです。
まとめ
日陰・半日陰でも庭木を選ぶことはできます。
低い場所なら
・ヤブコウジ
・サルココッカ
・ジンチョウゲ
ある程度高さがほしいなら
・アオキ
・アセビ
・ヒイラギナンテン類
・アジサイ類
・ヤマアジサイ
・ヤツデ
などが候補になります。
さらに明るさのある半日陰でシンボルツリーを考えるなら、常緑のソヨゴや落葉性のエゴノキなども検討できます。
ただし庭木で最も注意したいのは、植えたときの大きさではなく、数年後の姿を見ること。
高さだけでなく横幅、剪定の必要性、その木が将来つくる日陰まで考えて選ぶと、植えた後の管理負担を減らしやすくなります。
シェードガーデンシリーズ
このシリーズでは、半日陰・日陰の庭で植物を選ぶために、日当たりや水分条件の見分け方から、花・常緑植物・カラーリーフ・庭木・シダの選び方、植物の組み合わせ方、うまく育たないときの対処まで紹介しています。
最初から順番に読む必要はありません。
自分の庭で困っていることや、植えたい植物に合わせて、気になる記事から読んでみてください。
① 日陰でも育つ植物おすすめガイド|半日陰・明るい日陰・暗めの日陰から選ぶ
② 半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び
③ 半日陰・日陰でも花を楽しめる植物|明るさに合わせて選ぶおすすめ12種
⑤ 半日陰・日陰のカラーリーフ|暗い庭を葉色で明るくする植物14選
⑥ 日陰・半日陰でも育つ庭木|高さと管理しやすさで選ぶ(当記事)
⑦ 乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法


