「日陰は土が湿っている」と思われがちですが、実際の庭ではそうとは限りません。
例えば、軒下、大きな庭木の下、建物沿いなどは、日陰なのに土がかなり乾燥することがあります。
反対に、水はけの悪い場所では日陰によって土が乾きにくく、長時間じめじめすることがあります。
日陰の植物選びでは、光だけでなく、乾いた日陰、適度な湿り気のある日陰、水はけの悪い過湿な日陰を分けて考えることが大切です。
日陰を3つの水分条件に分ける
大まかには次のように考えます。
| 水分条件 | 庭での状態 | 植物選び |
|---|---|---|
| 乾いた日陰 | 雨後も比較的早く乾く | 耐陰性+乾燥への対応力を見る |
| 適度な湿り気のある日陰 | 湿り気はあるが水はたまらない | シェード植物の選択肢が広い |
| 過湿な日陰 | 雨後も長くじめじめする | 植物選びの前に排水を確認 |
特に重要なのが「湿り気を好む」=「水はけの悪い土を好む」ではないということです。

日陰でも乾燥する理由
日陰では直射日光が少ないため、土も乾きにくいと思うかもしれません。
しかし実際には、日陰になっている原因によって乾燥することがあります。
軒下
屋根や庇によって雨が入りにくくなります。
日が当たらないのに土は乾いている、という場所ができます。
大きな庭木の下
木の葉で雨が遮られるうえ、樹木の根が水分を吸います。
特に常緑樹の下では、暗い+乾燥という条件になることがあります。
建物沿い
雨の方向や軒の出方によって、想像以上に雨が届かない場所があります。
「日陰だから水やりは少なくてよい」と決めつけないことが大切です。
反対に、日陰だから乾かない場所もある
水はけの悪い土では、日陰によって蒸発が遅くなり、雨の後も長く水分が残ることがあります。
例えば
粘土質で水が抜けにくい
周囲より低くなっている
土が踏み固められている
排水先がない
といった場所です。
この場合は「湿った日陰向き植物を植えれば解決」とは限りません。
根が長期間過湿状態になるほど排水が悪ければ、植物選びより先に土や排水条件を見直します。
「適湿」と「過湿」は別
シェードガーデン向き植物には乾燥を嫌い、適度な湿り気を好むものが多くあります。
しかし、それをじめじめした土ほどよいと解釈しないことが重要です。
適湿とは、必要な水分はあるが、余分な水は抜ける状態と考えると分かりやすくなります。
水が抜けず、根の周囲に長く残る状態とは違います。
自分の庭の水分条件を調べる
難しい測定器がなくても、まず簡単に確認できます。
1.雨の翌日に見る
しっかり雨が降った翌日、土の状態を確認します。
表面だけでなく、数cmほど掘って中の土も見ます。
2.晴天が2~3日続いた後にも見る
同じ場所をもう一度確認します。
すぐ乾いているなら乾燥しやすい場所、内部まで湿ったままなら水分が残りやすい場所です。
3.実際に雨が入っているか見る
軒下や木の下では、雨が降った=その場所の土も濡れたとは限りません。
雨の直後に確認すると分かりやすくなります。
4.水たまりが残らないか見る
雨の後に長時間水がたまるなら、単なる「湿った場所」ではなく排水不良の可能性があります。
土の表面だけで判断しない
土の表面が乾いていても、数cm下は湿っている場合があります。
反対に、表面だけ雨で濡れて、その下まで水が届いていないこともあります。
特に庭木の下や軒下では、見た目だけでは分かりにくいことがあります。
植物を植える場所を決める前に、一度土を少し掘って確認すると判断しやすくなります。
乾いた日陰で候補にしやすい植物
乾いた日陰では、耐陰性+ある程度の乾燥への対応力を持つ植物から考えます。
ヤブラン
半日陰~日陰で使いやすく、比較的乾燥にも対応しやすい植物です。
細い常緑葉を楽しめ、斑入り品種なら日陰に明るさも加えられます。
我が家でも、ほとんど直射日光の当たらない明るい日陰に斑入りヤブランを植えています。
→ ヤブランの育て方|日陰や狭い場所にも使いやすい常緑多年草
ハラン
耐陰性が高く、大きな常緑葉を楽しめます。
比較的乾燥する日陰でも候補にしやすい植物です。
「多少乾燥に耐える」と「乾いた日陰向き」は分ける
ツワブキ、シャガ、フッキソウなども、ある程度幅広い条件で育てられます。
しかし、多少の乾燥に耐えられることと、
非常に乾燥する日陰の代表植物としてすすめられることは別です。
軒下や大木の根元など、かなり乾燥する場所では、乾燥への適性をより重視して選びます。
適度な湿り気のある日陰では選択肢が広がる
土が乾燥しすぎず、かといって水がたまらない場所では、シェードガーデン向き植物の選択肢がかなり広がります。
ギボウシ
半日陰~明るい日陰で、大きな葉を楽しめます。
乾燥しすぎる場所より、適度な湿り気がある場所の方が使いやすくなります。
→ ギボウシ(ホスタ)の育て方|半日陰・日陰を彩る葉と植え場所・品種選び
アスチルベ
半日陰で花を楽しめます。
乾燥を苦手とするため、適度な湿り気を保てる場所に向きます。
プルモナリア
春の花と銀斑葉を楽しめます。
夏の高温だけでなく乾燥にも注意します。
ブルンネラ
春の花と銀葉を楽しめる品種があります。
半日陰~明るい日陰で、乾燥しすぎない場所から検討します。
ティアレラ
春の花と葉模様を楽しめます。
強い日差しと乾燥を避け、適度な湿り気のある半日陰~明るい日陰が候補になります。
ユキノシタ
日陰~半日陰で使いやすく、湿り気のある場所にも向きます。
ただし、水が抜けない状態を好むという意味ではありません。
→ ユキノシタの育て方|日陰のグランドカバーにも使える常緑多年草
ラミウム
半日陰~明るい日陰で、銀斑や斑入り葉を楽しめます。
乾燥しすぎない場所で使いやすく、低い位置を覆う用途にも使えます。
→ ラミウム(マクラツム)の育て方|半日陰で楽しむ斑入り葉のグランドカバー
アオキは「乾いた日陰の代表」にはしない
アオキは耐陰性が高いため、暗い場所の候補としてよく使われます。
しかし、自生環境を考えても、極端に乾いた場所を好む植物ではありません。
そのため、このシリーズではアオキを「乾いた日陰に強い代表植物」としては扱いません。
耐陰性と乾燥耐性は別に評価します。
シダも「湿った日陰なら何でもよい」ではない
シダは、暗くて湿った場所なら何でも育つと思われがちです。
しかし種類によって、必要な明るさ、好む湿り気、乾燥への強さ、夏の暑さへの強さは違います。
また、適度な湿り気を好む種類でも、根が長期間水につかるような過湿を好むとは限りません。
シダの種類選びは、関連記事「日陰の庭におすすめのシダ|常緑・落葉・大きさで選ぶ」で詳しく紹介します。
→ シダ類の育て方|日陰の庭やグランドカバーに使える種類と選び方
最後は「光×水分×日陰の原因」で考える
日陰の庭では、植物を単純に、日陰に強いかだけで選ばない方がうまくいきます。
自分の庭が半日陰・明るい日陰・暗めの日陰のどこに近いか分からない場合は「半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び」で見分け方を紹介しています。
例えば、半日陰+適湿、明るい日陰+乾燥、暗めの日陰+乾燥、明るい日陰+適湿、暗めの日陰+排水不良では、条件がまったく違います。
さらに、建物の北側、軒下、常緑樹の下、落葉樹の下など、日陰になっている原因も確認します。
最終的には、光 × 水分 × 日陰になっている理由で植物を選びます。
日陰の条件を確認したうえで具体的な植物を探したい場合は「日陰でも育つ植物おすすめガイド|半日陰・明るい日陰・暗めの日陰から選ぶ」で、花・常緑植物・カラーリーフ・庭木・シダなどから選べます。
まとめ
日陰だからといって、土が湿っているとは限りません。
軒下や庭木の下では、日陰なのに乾燥することがあります。
反対に排水の悪い場所では、日陰だからさらに乾きにくいことがあります。
まず自分の庭を、乾いた日陰、適度な湿り気のある日陰、過湿な日陰のどこに近いか確認します。
乾いた日陰ならヤブラン、ハランなどから検討し、適度な湿り気があるならギボウシ、アスチルベ、プルモナリア、ブルンネラなど選択肢が広がります。
ただし、適湿=過湿ではありません。
水が抜けないほど湿っている場合は、植物を選ぶ前に土や排水を確認します。
日陰の植物選びでは、耐陰性だけではなく、光・水分・日陰になっている理由をセットで見ることが大切です。
シェードガーデンシリーズ
このシリーズでは、半日陰・日陰の庭で植物を選ぶために、日当たりや水分条件の見分け方から、花・常緑植物・カラーリーフ・庭木・シダの選び方、植物の組み合わせ方、うまく育たないときの対処まで紹介しています。
最初から順番に読む必要はありません。
自分の庭で困っていることや、植えたい植物に合わせて、気になる記事から読んでみてください。
① 日陰でも育つ植物おすすめガイド|半日陰・明るい日陰・暗めの日陰から選ぶ
② 半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び
③ 半日陰・日陰でも花を楽しめる植物|明るさに合わせて選ぶおすすめ12種
⑤ 半日陰・日陰のカラーリーフ|暗い庭を葉色で明るくする植物14選
⑦ 乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法(当記事)


