庭の花や緑は楽しみたいけれど、毎日の水やりや、伸び続ける枝、抜いても生えてくる雑草に追われるのは大変。仕事や家事で忙しく、庭の手入れは主に週末という方もいるのではないでしょうか。
そんなときに考えたいのが、ローメンテナンスの庭づくりです。手入れをまったくしない庭ではなく、植物選びや配置、地面の仕上げ方などを工夫して、管理の負担を無理なく減らしていきます。
私も会社員で、庭の管理は主に週末です。横浜市の自宅で芝生やクラピア、家庭菜園などを経験しながら、暮らしや好みに合わせて庭を変えてきました。今も、水やりなどの負担を減らしながら、花や緑を楽しめる庭を目指しています。
この記事では、実際の庭づくりの経験と園芸情報をもとに、これから庭をつくる方にも、今ある庭を少し楽にしたい方にも取り入れやすい方法を紹介します。
まずは「減らしたい手入れ」と「残したい楽しみ」を考える
庭の手入れで何を負担に感じるかは、人によって違います。毎日の水やりが大変な人もいれば、庭木の剪定や夏の草取りに困っている人もいるでしょう。
最初からすべてを変えようとせず、まず一番負担な作業を選んでみてください。その作業に関係する場所から見直すと、取り組みやすくなります。
| 負担に感じる作業 | 最初に見直したいこと |
|---|---|
| 水やり | 鉢の数、土の乾き方、植物と場所の相性、給水方法 |
| 剪定・刈り込み | 成長後の大きさ、植える位置、維持したい樹形 |
| 雑草抜き | 土が露出している場所、雑草の種類、地面の覆い方 |
| 落ち葉の掃除 | 葉が落ちる場所と、その下の地面 |
| 花がら摘み | 花後の姿、品種の性質、どこまで手入れするか |
同時に、庭で残したい楽しみも考えておきましょう。好きな花を育てること、蝶を呼ぶこと、季節の変化を眺めることまで減らしてしまうと、庭を持つ楽しさも薄れてしまいます。
我が家でも、蝶を呼ぶために育てているブッドレアなどには花がらの手入れをしています。すべての作業をなくすより、楽しみのために続けたい作業と、できれば省きたい作業を分けると考えやすくなります。
植える量と配置を工夫して、手入れしやすくする
庭いっぱいに植物を植えなくてもいい
植物を増やすと、成長後には水やりや剪定、株分けなどの管理も増えることがあります。庭の広さだけでなく、自分が管理できる量を考えることが大切です。
花や葉を楽しむ植栽部分があり、歩くための小道や、椅子を置いて過ごす場所がある。そんな組み合わせでも、花と緑のある庭は十分に楽しめます。
季節の花を植え替える場所も、庭全体へ広げる必要はありません。玄関前などの小さな一角に絞れば、好みの花を取り入れながら、植え替えの量を調整できます。
成長後も手が届く余裕を残す
植え付け直後は余裕があっても、数年後には枝葉が重なり、奥の植物へ手が届かなくなることがあります。小さな苗を植えるときほど、将来の高さと横幅を確認しておきましょう。
草取りや剪定のたびに、ほかの植物をかき分ける配置は負担になります。通路から手が届くか、必要な場所へ入れるかも考えておくと、その後の作業がしやすくなります。
我が家では、人が歩く場所にレンガやコンクリート製の枕木を使っています。植物を楽しむ部分と歩く部分を分けることも、庭を使いやすくする方法の一つです。
庭の配置を考える基本は、こちらの記事で紹介しています。
→ 庭のゾーニング・配置の考え方|初心者でもできる庭の分け方
植物は「丈夫さ」と「管理のしやすさ」を分けて選ぶ
その場所に合い、無理なく収まる植物を選ぶ
丈夫な植物でも、その場所に合わなければ管理が難しくなります。乾燥しやすい場所へ水を好む植物を植えたり、狭い場所へ大きくなる庭木を植えたりすると、水やりや剪定で補い続けることになるかもしれません。
植物を選ぶときは、日当たりや水はけに加え、成長後の高さ・横幅、広がり方を確認しましょう。同じ植物でも、コンパクトに育つ品種が選択肢になる場合があります。
常緑植物なら手入れが少ないとも限りません。常緑樹も葉を落としますし、成長が速ければ剪定が必要です。常緑か落葉かだけでなく、その植物を自分の庭でどう管理するかまで考えます。
植え替えが減っても、別の管理が残ることはある
多年草や宿根草、低木を取り入れると、一年草を季節ごとに植え替える作業を減らせます。ただし、株分けや切り戻し、広がりすぎた部分の整理が必要になるものもあります。
「植えっぱなし」という言葉だけで決めず、どの作業が減り、何が残るのかを確認すると、植えた後をイメージしやすくなります。
グランドカバーも同じです。よく広がる性質は土を覆うときには役立ちますが、通路や隣の植物へ入り込めば、その整理が必要になります。
実際に起こりやすい失敗や、植えた後の管理については、こちらの記事で紹介しています。
→ グランドカバーで後悔しないために|増えすぎ・撤去・よくある失敗
肥料は、必要な植物へ必要な分を与える
元気に育ってほしいからと、肥料を多く与えればよいわけではありません。植物によっては茂りすぎて、切り戻しや整理の手間が増えることもあります。
肥料は植物の種類や生育に合わせ、資材の表示も確認して使いましょう。すべての植物へ同じ頻度で与えるのではなく、その植物に必要な管理を選ぶことも省力化につながります。
水やりの負担を減らす方法
鉢を減らし、地植えできるものを検討する
鉢植えは置き場所を変えられる一方、根が使える土の量が限られるため、水やりの管理が必要になりやすい育て方です。
庭に植えられる植物なら、地植えへの変更も選択肢になります。鉢のまま楽しみたいものと、庭へ植えられるものを分けて考えてみましょう。
私が庭仕事で最も負担に感じているのも水やりです。そのため、鉢植えを極力減らし、地植えや半地植えを進めることを考えています。
半地植えは方法や根の伸び方によって管理が変わるため、ここでは我が家の取り組みとして挙げています。初めて庭づくりをする方は、まず通常の地植えにできるかを考えるところからで十分です。
地植えは、根付くまでと、その後を分けて考える
地植えでも、植え付け直後は根が周囲の土へ十分に伸びていないため、水やりが必要です。一方、その場所に合う植物が根付いた後は、雨を中心に育てられる場合もあります。
「夏だから毎日、庭全体へ水をまく」と決める前に、土の乾き方や植物の様子を見てみましょう。必要な株へ水を与えるようにすると、不要な水やりを減らせることがあります。
ただし、雨が少ない時期や、軒下など雨が届きにくい場所、水を多く必要とする植物は別です。地植えだから一律に水やりをやめるのではなく、根付くまでの手入れと、その後に必要な手入れを分けて考えます。
水やりについては、別の記事で詳しく紹介しています。
→庭の水やりの基本|地植えは毎日必要?タイミングと与え方
残す鉢は、大きさ・置き場所・まとまり方を見直す
鉢を残す場合も、乾き方や水やりのしやすさを変えられることがあります。
小さく浅い鉢は乾きやすいため、植物の根に合った容量を確保できているか確認してみましょう。ただし、小さな苗を急に大きすぎる鉢へ植えると、土が乾きにくくなる場合もあります。
素焼き鉢などの材質や、強い西日、風の当たり方も乾燥に関係します。植物に必要な日照を保ちながら、乾きすぎない置き場所を探してみてください。
また、水やりが必要な鉢をあちこちへ分散させず、確認しやすい場所へまとめると、見回りや給水の移動を減らせます。
水の必要量が近い植物をまとめる
乾燥を好む植物と、水を多く必要とする植物が混在すると、水やりの調整が難しくなります。新しく植えるときは、水分の好みが近い植物をまとめることも考えてみましょう。
これは自動散水を取り入れる場合にも役立ちます。鉢と地植え、日なたと日陰など、乾き方が大きく違う場所を同じ設定にすると、過不足が出ることがあるためです。
水を与えるときは、表面をさっとぬらすだけでなく、根のある土へゆっくり届かせます。雨の後でも、葉に遮られて土が十分にぬれていない場合があるため、天気だけで判断しないことも大切です。
土を覆う方法や、給水を助ける鉢も選択肢
土の表面をバークやウッドチップなどで覆う「マルチング」は、水分の蒸発と雑草の発生を抑える方法です。必須ではありませんが、乾燥や草取りが気になる一角で試せます。
先に雑草を取り除き、幹や株元へ資材を密着させないようにします。有機物は分解するため、必要に応じた補充も考えておきましょう。
鉢植えでは、底に貯水部分を備えた給水式の鉢も選択肢です。普通の鉢の受け皿へ水をため続ける方法とは違うため、植物に合うか、製品の使い方を確認します。
保水剤や簡易給水器も、水やりを完全になくすものではありません。まずは鉢の数や置き場所を見直し、それでも負担が残る場合に補助する方法として考えるとよいでしょう。
自動散水は、負担の大きい場所から取り入れる
毎日の水やりそのものが負担なら、タイマー式の自動散水も有力な方法です。広く散水する方式のほか、株元へ少しずつ給水する点滴式などがあります。
導入するときは、まず「どの場所の水やりを任せたいか」を決めてみましょう。庭全体を一度に自動化する必要はありません。
設置後は、必要な場所まで水が届くか、土がどこまでぬれるかを確認します。季節に合わせた設定変更や、接続部・電池などの点検も必要です。雨センサーを使う場合も、雨が当たらない軒下の鉢などは別に考えます。
我が家でも、自動散水を取り入れる構想があります。水やりの負担を減らすために、今後進めていきたい改善の一つです。

植物の根元付近へ給水チューブを配置したイメージ。実際の設置は製品の説明に従います。
剪定は、植物選びと維持したい姿から考える
大きくなる植物を、小さく保ち続ける負担を考える
剪定を減らすには、大きくなる植物を繰り返し小さく切るより、植える場所に合う大きさの植物を選ぶ方が考えやすくなります。
自然な樹形で楽しめる植物なら、毎回同じ形へ刈りそろえる必要があるかも見直してみましょう。一方、形を整えた生垣を楽しみたい場合は、その剪定も含めて選びます。
剪定の必要性や適した時期は植物によって違います。回数を減らそうとして一度に強く切る方法が、どの植物にも使えるわけではありません。
我が家でも、水やりの次に負担に感じているのが剪定です。ただ、育てたい植物によって必要になると考えています。好きな植物をすべて諦めるのではなく、成長の速い植物や大きくなる植物をどれだけ取り入れるか、庭全体で調整する方法もあります。
切った枝を片付けるところまで考える
剪定では、枝を切るだけでなく、拾い集めたり運んだりする作業もあります。植物を配置するときは、枝へ手が届くかに加え、切った枝を回収できるかも見ておきましょう。
作業の際は、使える場所なら下にシートを敷いて枝を受けたり、集める容器を近くへ置いたりすると、片付けの移動を減らせます。
高い場所の作業などは、必要なところだけ専門業者へ頼む選択肢もあります。庭の管理をすべて自分で行うことを前提にせず、続けやすい方法を選んで構いません。
雑草対策は「今ある草への対応」と「生えにくくする工夫」を組み合わせる
グランドカバーは、今ある雑草を消す植物ではない
グランドカバーは、育った葉や茎で土を覆い、雑草が生える隙間を減らすために使います。雑草が多い場所へ植えるだけで、草取りがなくなるわけではありません。
特に、地下茎などで繰り返し生える雑草は、先に対処しておいた方が、その後の管理をしやすくなります。グランドカバーが広がった後では、植えた植物の間から雑草を取り除くことになるためです。
また、植えた植物が広がるまでの間にも草取りは必要です。成長後の大きさを無視して密植するより、隙間を一時的にマルチングするなど、育つ途中の管理も考えます。
我が家でも、今後は植物を植えるなどして、少しずつ雑草が生えにくい状態へ整えていくつもりです。
雑草対策として選ぶ際のポイントは、こちらの記事で紹介しています。
→ 雑草対策になるグランドカバー|草むしりと手入れを減らす選び方
歩く場所と、植物で覆う場所を分ける
庭の地面を、すべて植物で覆う必要はありません。人がよく歩く場所にはレンガや平板などを使い、その周囲で植物を楽しむ方法もあります。
砂利や人工芝、防草シートなども選択肢ですが、それぞれに掃除や補修、将来の交換といった管理が残ります。草取りだけを減らした結果、歩きにくくなったり、落ち葉を取りにくくなったりしないかも考えておきましょう。
特に、落ち葉が多く落ちる場所を砂利にする場合は、石の間へ入った葉の掃除まで想像してみると、選びやすくなります。
素材ごとの違いは、こちらの記事で比較しています。
→ 庭の地面は何で覆う?グランドカバー・人工芝・砂利・レンガ小道等を比較
小さな一年草の雑草は、大きくなる前に処理する
小さな一年草の雑草なら、大きくなってから抜くより、早めに処理する方が作業を小さくできます。植物の根を傷めない場所では、乾いた日に草削り用の道具で土の表面を浅く削る方法もあります。
一方、地下茎などで増える多年草は、地上部を取るだけでは再び生えてくることがあります。雑草の種類によって対処を変え、種を付けるものは、その前に処理することも意識しましょう。
我が家でも、クズや笹、ドクダミなどの対策に取り組んできました。雑草対策は、一つの方法ですべてを終わらせるより、今ある雑草への対応と、その後の予防を組み合わせて考えます。
なお、ネットで見かける塩などを使った自作の除草法は、これから植物を育てる庭にはおすすめしません。雑草以外の植物や土にも影響するため「身近な材料だから安心」とは考えない方がよいでしょう。
落ち葉や花がらは、片付けを省ける工夫をする
落ち葉が落ちる場所まで考える
落ち葉の負担は、木の種類だけでなく、落ちる場所でも変わります。通路や芝生の上、砂利の隙間へ落ちれば、掃除が必要になりやすいでしょう。
一方、植栽部分の土へ落ちた葉は、そのまま分解させて利用できる場合があります。落ち葉をすべて庭の外へ持ち出すことを前提にせず、残せる場所をつくる考え方です。
我が家では、落ち葉が落ちるところを土にするなど、基本的に片付けなくてもよい配置を考えています。掃除の道具を工夫するだけでなく、掃除しなくても気にならない場所へ落ちるようにする方法です。
ただし、小さな植物が厚い落ち葉で埋まる場合や、病気にかかった葉、通路へ積もった葉などは、必要に応じて整理します。

花の大きさだけでなく、花後の姿や品種を見る
花がら摘みを減らしたいなら、花後の姿が気になりにくい植物や、花がらが自然に落ちる「セルフクリーニング」の品種も選択肢になります。
ただし、花がら摘みが不要でも、姿を整える切り戻しなどが必要な場合はあります。こぼれ種を増やしたくない植物では、種ができる前に花を取る意味もあります。
我が家では、蝶を呼ぶためのブッドレアなど一部を除き、小さな花がらの植物を選ぶなどして、基本的に花がらの処理をしなくても楽しめるようにしています。
小花なら必ず手入れ不要という意味ではありません。花後の姿を自分がどこまで気にするかも含めて選ぶと、楽しみ方に合う植物を見つけやすくなります。
今ある庭は、負担の大きい一か所から変えていこう
ローメンテナンスの庭にするために、今ある植物をすべて抜いたり、大きな工事をしたりする必要はありません。
水やりが大変なら、まず乾きやすい鉢の置き場所を変える。草取りが負担なら、土が露出している一角の覆い方を考える。奥の植物へ手が届かないなら、通れる場所を整える。そんな小さな改善から始められます。
新しい設備や資材を使う場合は、導入時の費用や作業だけでなく、点検・補充・交換まで考えておきましょう。毎日の作業が減っても、別の管理が必要になることはあります。
一つ変えたら、季節を通して使いやすさを見て、必要なら直していく。庭を育てながら、自分の暮らしに合う管理の仕方を探していけば十分です。
まとめ|楽しみを残しながら、続けられる庭へ
ローメンテナンスの庭づくりでは、手間のかからない植物を探すだけでなく、植える量や配置、地面、給水方法まで組み合わせて考えます。
大切なのは、自分が負担に感じている作業を減らしながら、花や緑を楽しめることです。好きな植物の手入れまで、すべてなくす必要はありません。
まずは「庭仕事で何が一番大変か」を一つ選び、その作業に関係する小さな場所から見直してみてください。庭全体を一度に変えなくても、少しずつ続けやすい庭へ近づけていけます。
庭づくり全体をどの順番で進めるか迷う方は、こちらの記事から確認できます。


