シダは、日陰の庭をつくるときの代表的な植物です。
花がなくても葉そのものに存在感があり、ギボウシ、ツワブキ、アオキ、ヤブランなどとも組み合わせられます。
ただし
「シダなら暗い場所ほどよい」
「シダなら湿っていればよい」
「シダは全部常緑」
というわけではありません。
種類によって、葉の形、葉色、冬の姿、成長後の大きさ、好む水分条件がかなり違います。
この記事では、単に日陰に強い順ではなく、庭でどんな葉を楽しみたいかからシダを選びます。
まず葉の見た目から選ぶ
シダは一見似ているようでも、実際に比べると印象が違います。
新芽の色を楽しみたい
→ ベニシダ
繊細で軽い葉を楽しみたい
→ クジャクシダ
銀色を帯びた葉を楽しみたい
→ ニシキシダ
厚く力強い葉を楽しみたい
→ オニヤブソテツ
特徴的で整った葉形を楽しみたい
→ ジュウモンジシダ
大きな葉で存在感を出したい
→ リョウメンシダ
まず写真で好みの葉姿を見つけ、その後で自分の庭の条件に合うか確認すると選びやすくなります。
おすすめ6種を比較
| シダ | 冬の姿の目安 | 大きさの印象 | 葉の魅力 | 水分条件・主な注意 |
|---|---|---|---|---|
| ベニシダ | 常緑性 | 中 | 赤~銅色を帯びる新芽 | 適湿中心・冬葉は傷むことがある |
| クジャクシダ | 冬は地上部なし | 低~中 | 扇状の繊細な葉 | 適湿・乾燥に注意 |
| ニシキシダ | 冬は地上部なし | 低~中 | 銀灰色・紫を帯びる葉 | 適湿・葉色にはある程度の明るさも必要 |
| オニヤブソテツ | 常緑 | 中 | 厚く光沢のある葉 | 適湿中心・葉の存在感が強い |
| ジュウモンジシダ | 半常緑~常緑 | 中 | 特徴的で整った葉 | 適湿・冬姿は環境で変化 |
| リョウメンシダ | 常緑性 | 中~大 | 大きく柔らかな葉 | 適湿・成長後の葉張り |
※常緑性のシダでも、寒さや古葉の傷みによって冬の見た目は春~秋と同じとは限りません。
ベニシダ|新芽の色を楽しむ

ベニシダは、日本の庭でも使いやすい代表的なシダの一つです。
名前のとおり、新しく展開する葉が赤~銅色を帯びることがあり、緑一色になりやすい日陰に季節の変化を加えられます。
葉が成熟すると緑色になります。
関東平地では常緑性を楽しみやすいシダですが、冬の葉がまったく傷まないという意味ではありません。
古葉が傷んだ場合は、新芽が出る前に整理すると春の葉をきれいに見せやすくなります。
クジャクシダ|繊細な葉を楽しむ

クジャクシダは、細かな葉が扇状に広がる姿が特徴です。
大葉のギボウシやツワブキなどと組み合わせると、葉の大きさの違いを出しやすくなります。
冬は地上部がなくなるため、一年中葉を残したい場所では常緑植物と組み合わせます。
乾燥しすぎる場所は避け、適度な湿り気のある日陰~半日陰から検討します。
ニシキシダ|銀色を帯びた葉を楽しむ

ニシキシダは、銀灰色や紫色を帯びる葉が魅力です。
「シダ=緑」というイメージとは違う葉色を使えるため、暗く見えやすい庭にも変化をつけられます。
ただし、カラーリーフ全般と同じく、暗ければ暗いほど葉色がきれいになるという意味ではありません。
葉色を楽しむには、直射日光は強すぎなくても、ある程度の明るさがある場所から検討します。
冬は地上部がなくなります。
オニヤブソテツ|力強い常緑葉

オニヤブソテツは、厚く光沢のある葉が特徴の常緑シダです。
クジャクシダのような繊細さとは対照的で、力強い葉姿を楽しめます。
冬も葉を残したい場合の候補になります。
一方、葉がしっかりしていて存在感があるため、狭い場所では株の大きさや周囲とのバランスを考えます。
細葉のヤブランなどと組み合わせると葉形の違いを出しやすくなります。
ジュウモンジシダ|整った葉姿を楽しむ

ジュウモンジシダは、葉の基部付近が左右へ張り出し、全体として十字のように見える特徴的な姿をしています。
緑葉ですが葉形に個性があり、派手な葉色を使わず自然な雰囲気のシェードガーデンをつくりたい場合にも使えます。
暖地では冬も葉を残すことがありますが、寒さや環境によっては葉が傷んだり、地上部が少なくなったりします。
「常緑だから冬も春と同じ姿」とは考えず、必要に応じて傷んだ古葉を整理します。
リョウメンシダ|大きな葉で存在感を出す

リョウメンシダは、大きく広がる葉が特徴です。
名前の由来にもなっているように、葉の表裏の見た目の差が比較的小さいシダです。
ある程度まとまったスペースがあり、大きな葉で日陰らしい雰囲気をつくりたい場合の候補です。
常緑性がありますが、冬姿は環境によって変化します。
また、苗のときだけを見て植えると想像以上に場所を取ることがあります。
狭い庭では、成長後の葉張りを確認してから植えます。
→ シダ類の育て方|日陰の庭やグランドカバーに使える種類と選び方
常緑シダでも冬は同じ姿とは限らない
シダを冬の緑として使う場合は、常緑=一年中まったく同じ葉姿ではないことを覚えておきます。
常緑性のシダでも
寒さ
風
古葉の傷み
乾燥
などによって冬の葉が傷むことがあります。
春に新しい葉が展開するときれいになるため、必要に応じて古葉を整理します。
一方、クジャクシダやニシキシダのように冬に地上部がなくなるシダは、春の芽吹きを季節変化として楽しめます。
シダは「湿っていればよい」ではない
シダは湿った場所を好むイメージがありますが、種類によって必要な水分量は違います。
多くのシダは、極端な乾燥より適度な湿り気のある場所で育てやすくなります。
ただし
適度な湿り気があることと、
水が抜けず、常にじめじめしていること
は同じではありません。
水分条件については「乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法」で詳しく紹介しています。
自分の庭が半日陰・明るい日陰・暗めの日陰のどこに近いかは「半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び」で確認してください。
狭い庭では葉の広がりも確認する
シダは樹木ほど高くならないため、サイズを気にせず植えてしまいがちです。
しかし大型の種類では、葉が長く伸びてかなり横幅を取ります。
例えばリョウメンシダのような大型のシダを狭い通路沿いに植えると、葉が通路へ張り出すことがあります。
購入時のポットサイズではなく、成長した葉がどこまで広がるかを確認します。
シダとギボウシを組み合わせる
ギボウシの大きくまとまった葉と、シダの細かく分かれた葉は対照的です。
例えば、ギボウシ+クジャクシダなら、大葉と繊細な葉の違いを楽しめます。
どちらも冬に地上部がなくなる組み合わせなら、常緑植物を追加すると冬の骨格を残せます。
シダとツワブキを組み合わせる
ツワブキは丸みのある大きな常緑葉です。
そこへベニシダやジュウモンジシダなどを合わせると、丸い大葉+細かく分かれた葉という違いをつくれます。
ツワブキが常緑なので、落葉性シダと組み合わせても冬に葉が残ります。
シダとアオキを組み合わせる
アオキは常緑低木なので、シダより高い位置に葉を残せます。
例えば、背景:アオキ、中~足元:シダとすると、高さの違いをつくれます。
斑入りアオキなら、緑葉のシダとの葉色差も出せます。
シダと斑入りヤブランを組み合わせる
シダの広がる葉に、斑入りヤブランの細く直線的な葉を合わせる方法もあります。
白い斑が入るため、緑の多い植栽に明るさも加えられます。
日陰の植物を葉形・高さ・常緑性から組み合わせる方法は「シェードガーデンの作り方|日陰の植物をきれいに組み合わせる方法」で詳しく紹介しています。
ほかにも検討できるシダ
主要6種以外にも、庭で使えるシダはあります。
オシダ
比較的大きく育ち、力強い葉姿を楽しめます。
ある程度スペースのある日陰で候補になります。
トキワシノブ
細かく繊細な葉と、特徴的な根茎を楽しめます。
一般的な地植えシダとは少し違った使い方ができます。
クサソテツ
明るい緑色の葉を楽しめ、春の新芽はコゴミとしても知られます。
地下茎で広がるため、狭い庭では広がり方に注意します。
この記事では、まず比較しやすい6種を主要候補とし、この3種は目的が合う場合の追加候補として考えます。
シダを選ぶときの5つの確認
迷った場合は、次の5点を確認します。
1.どんな葉が好きか
繊細、大きい、銀色、新芽の色など、まず見た目から選びます。
2.冬も葉を残したいか
常緑性を求めるのか、冬に地上部がなくなってもよいのかを決めます。
3.成長後の大きさは収まるか
特に大型種では葉張りを確認します。
4.その場所の水分条件に合うか
乾燥、適湿、排水不良を分けて考えます。
5.その場所の明るさに合うか
「シダだから暗い場所ほどよい」とは考えず、その種類が葉姿や葉色を楽しめる明るさか確認します。
まとめ
日陰の庭にシダを取り入れると、花がなくても葉の形や色で変化をつけられます。
まず候補にしやすいのは、ベニシダ、クジャクシダ、ニシキシダ、オニヤブソテツ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダの6種です。
ただし
シダ=暗ければ暗いほどよい
シダ=湿っていればよい
シダ=全部常緑
ではありません。
葉の見た目だけでなく、冬の姿、成長後の葉張り、土の水分、その場所の明るさまで確認します。
最も日陰に強いシダを探すのではなく、自分が好きな葉姿を見つけ、その魅力を楽しめる場所へ植えることが、シダ選びのポイントです。
シェードガーデンシリーズ
このシリーズでは、半日陰・日陰の庭で植物を選ぶために、日当たりや水分条件の見分け方から、花・常緑植物・カラーリーフ・庭木・シダの選び方、植物の組み合わせ方、うまく育たないときの対処まで紹介しています。
最初から順番に読む必要はありません。
自分の庭で困っていることや、植えたい植物に合わせて、気になる記事から読んでみてください。
① 日陰でも育つ植物おすすめガイド|半日陰・明るい日陰・暗めの日陰から選ぶ
② 半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び
③ 半日陰・日陰でも花を楽しめる植物|明るさに合わせて選ぶおすすめ12種
⑤ 半日陰・日陰のカラーリーフ|暗い庭を葉色で明るくする植物14選
⑦ 乾いた日陰・湿った日陰に合う植物|庭の水分条件から選ぶ方法
⑧ 日陰の庭におすすめのシダ|常緑・落葉・大きさで選ぶ(当記事)


