高麗芝の育て方|芝生の手入れ・冬の姿・TM9との違い

高麗芝 植物ガイド

高麗芝は、庭の地面を緑のじゅうたんのように覆い、花壇や樹木を引き立てながら、庭全体をすっきり見せてくれる日本芝です。

春から秋にかけて広がる芝生らしい緑の景観は、ほかのグランドカバーとはまた違った魅力があります。
観賞するだけでなく、人が歩いたり庭で過ごしたりするスペースにも利用できます。

一方で、きれいな状態を維持するには芝刈りや除草などの管理が必要です。
また、冬には休眠して褐色になるため、一年中緑の芝生になるわけではありません。

我が家でも10年以上前に高麗芝を植え、その後、管理負担を減らすためTM9へ切り替えたこともあります。
しかし、手入れがそれなりに必要だったこと、冬の姿があまり好みではなかったこと、思った以上に雑草が生えたこと、ほかの植物も植えたくなったことなどから、最終的には芝生をやめました。

高麗芝には芝生ならではの魅力がありますが、植える前に「どんな庭にしたいか」「数年後も芝生として使い続けたいか」まで考えておくと、自分の庭に合うか判断しやすくなります。

高麗芝とは?庭を緑で覆える定番の日本芝

高麗芝(コウライシバ)は、日本で広く利用されている暖地型の日本芝です。
地表近くを横へ伸びるほふく茎によって広がり、密な芝生をつくります。

生育期には細かな葉が地面を覆い、刈り込むことで均一な緑の面をつくれるのが大きな特徴です。

庭の背景として花木や宿根草を引き立てるほか、観賞するだけでなく、人が庭で過ごすスペースの緑化にも利用できます。
ただし、同じ場所を頻繁に踏み続けるような使い方では芝が傷むことがあります。

また、高麗芝は常緑ではありません。気温が下がると休眠して葉が褐色になり、春になると再び芽吹きます。

高麗芝

高麗芝の基本情報

項目内容
科・属イネ科シバ属
分類多年草・暖地型芝草
草丈芝刈りによって管理するため、仕上げ方によって変わる
広がり方ほふく茎などで横へ広がり、面状に芝生をつくる
芝張り方法切芝を使った全面張りなど
日照日なた向き
半日陰生育する場合はあるが、日照不足では密度が低下しやすい
真夏の強い日差し比較的強い
耐暑性強い
耐寒性冬は休眠して葉が褐色になる。春に再び芽吹く
乾燥活着後は比較的耐えるが、芝張り直後は乾燥させない
過湿長期間の過湿を避け、水はけのよい環境にする
冬の状態休眠して葉が褐色になる
芝張り適期春。特に3~4月頃が適期
芝刈り生育期に必要
水やり芝張り直後は十分に行い、活着後は乾燥状態を見て行う
肥料生育期を中心に施す
主な管理芝刈り、除草、施肥、必要に応じて目土・サッチ除去など
主な害虫シバツトガ、スジキリヨトウ、コガネムシ類の幼虫など
主な注意点日照不足、雑草、冬の褐色化、継続的な管理

※生育時期や管理方法は地域・気候・芝生の状態によって変わります。

高麗芝を植える場所|日当たりと水はけが重要

高麗芝できれいな芝生をつくるには、日当たりのよい場所が基本です。

半日陰でも生育することはありますが、日照が不足すると芝の密度が低下しやすくなります。

「枯れずに育つか」だけではなく、芝生として十分な密度を維持できるかで植え場所を判断することが大切です。

水はけも重要です。雨のたびに水がたまる場所では生育が悪くなりやすいため、芝張り前に土の状態を確認し、水たまりができないよう地面を整えておきます。

高麗芝は人が庭で過ごす場所にも使えますが、同じ場所を繰り返し強く踏むと傷むことがあります。
よく歩く場所には飛び石などを組み合わせる方法もあります。

高麗芝の植え付け方|芝張りの手順

高麗芝は、家庭の庭では切芝を購入して張る方法が一般的です。
我が家でも切芝を購入し、地面へ一枚ずつ並べて芝生をつくりました。

【管理人宅実写写真:高麗芝の植え付け】

芝張り

芝張りは、おおむね次の流れで行います。

1.地面を整える

雑草や石などを取り除き、土をほぐして芝が根を伸ばせる状態にします。
地面に大きな凹凸があると、芝を張った後にもその形が残ったり、水たまりができたりします。
芝を張ってから下の地面を直すのは難しいため、最初の整地を丁寧に行うことが重要です。

2.切芝を並べる

整地した地面へ切芝を並べます。家庭の庭で早く均一な芝生にしたい場合は、隙間を大きく空けずに張る全面張りが分かりやすい方法です。

3.目土を入れる

芝を張ったら目土を入れ、芝と地面をなじませます。切芝同士の継ぎ目にも土が入るようにします。

4.十分に水を与える

芝張り直後は、まだ根が下の土へ十分に伸びていません。
活着するまでは下の土までしっかり水が届くように与え、乾燥させないよう管理します。

芝張り

切芝を並べたところで終わりではなく、きちんと根付かせるところまでが芝張りです。

高麗芝の育て方|きれいな芝生を維持する管理

水やり

芝張り直後は乾燥に注意し、下の土まで十分に水が届くようにします。
活着した後は、毎日少量ずつ与え続けるのではなく、雨量や土の乾き方、芝の状態を見ながら水やりします。
乾燥が進むと葉が巻いて細く見えることもあるため、芝の様子も判断材料になります。
冬の休眠期には、通常は生育期と同じような水やりは必要ありません。

芝刈り

高麗芝を芝生らしい状態に維持するうえで、芝刈りは重要な作業です。
生育期には芝が伸びるため、定期的に刈って高さを整えます。

注意したいのが、伸びすぎた芝を一度に短く刈ることです。
緑の葉の部分を越えて茎に近いところまで刈る「軸刈り」になると、芝生が茶色く見え、回復にも時間がかかります。
伸びすぎた場合は、一度に低くせず段階的に刈る方が安全です。

どこまで頻繁に刈るかは、求める仕上がりによっても変わります。
均一できれいな芝生を求めるほど管理回数は増えるため、高麗芝の管理負担は、どの程度の仕上がりを求めるかによって変わります。

肥料

高麗芝は、生育期を中心に必要に応じて肥料を与えることで、葉色や密度を維持しやすくなります。
ただし、多く与えればよいわけではありません。
肥料が多すぎれば生育が旺盛になり、その分芝刈りの負担が増えることもあります。

雑草対策

密な芝生を維持できれば、裸地のままにしておくより雑草を抑えやすくなります。

それでも雑草がまったく生えなくなるわけではありません。
少ないうちは手で取り除き、必要であれば芝生に使用できる除草剤を検討する方法もあります。
除草剤を使用する場合は、対象となる芝や雑草への適用、周囲の植物への影響などを必ず確認してください。

目土・サッチ除去など

長く芝生を維持していると、枯れた葉や茎などが芝の中にたまります。
状態に応じてサッチを取り除いたり、目土を入れて地面の凹凸を整えたりします。
毎回必要な作業ではありませんが、芝生を長期間きれいに維持する場合には、芝刈りや除草以外にもこうしたメンテナンスがあります。

病害虫

高麗芝にも病気や害虫が発生することがあります。
害虫ではシバツトガ、スジキリヨトウ、コガネムシ類の幼虫などが芝を傷めることがあります。
芝の一部だけ不自然に変色したり、枯れ込みが広がったりした場合は、水不足や肥料不足だけと決めつけず、病害虫の可能性も確認しましょう。

冬の高麗芝はどうなる?褐色になることも知っておきたい

高麗芝は常緑ではありません。
秋から気温が下がるにつれて生育が止まり、休眠すると葉が褐色になります。翌春に気温が上がると再び芽吹き、緑の芝生へ戻っていきます。

高麗芝 冬

上の写真は、我が家で育てていた高麗芝の初冬の状態です。

私は春から秋の緑の芝生は好きでしたが、冬に褐色になった姿はあまり好みではありませんでした。
これも、最終的に芝生をやめた理由の一つです。

もちろん、冬枯れした芝生をどう感じるかは好みがあります。

重要なのは、高麗芝を選んでも一年中緑の庭になるわけではないと知ったうえで植えることです。

高麗芝でも雑草は生える?実際に育てて感じたこと

高麗芝を雑草対策として検討する場合は「雑草を抑える」と「雑草が生えない」を区別して考える必要があります。

高麗芝が密に地面を覆えば、雑草が入り込める場所を減らせます。
一方、芝がまだ十分に広がっていない場所や、密度が低くなった部分などでは雑草が発生します。

我が家でも高麗芝を育てていましたが、思っていた以上に芝の隙間から雑草が生えました。
芝生にしたことで、除草作業そのものがなくなることはありませんでした。

そのため、雑草対策を主な目的として高麗芝を検討している場合は、

「芝生にすれば雑草がなくなる」のではなく「密な芝生を維持することで雑草を抑えやすくする」

と考えた方が実態に近いでしょう。

TM9なら管理は楽になる?普通の高麗芝との違い

高麗芝の管理、特に芝刈りの負担を減らしたい場合、選択肢の一つになるのが「TM9」です。
TM9はトヨタ自動車が開発したコウライシバの品種で、一般的な高麗芝より草丈が低く、芝刈り回数や施肥量を抑えやすいことを特徴としています。

TM9は芝刈りの負担を減らしやすい

TM9は一般的な高麗芝より伸びにくく、省管理で育てる場合には、芝刈りを年1~2回程度に抑えることも想定されています。
肥料も一般的な高麗芝より少なく管理できます。

「芝生はほしいけれど、頻繁な芝刈りは避けたい」という場合には大きなメリットです。

ただし、TM9なら何もしなくてよいわけではありません。

高密度で整った芝生を求めれば、それに応じて芝刈りや施肥などの管理も増えます。
また、耐陰性や耐踏圧性などが大幅に向上した芝というわけでもありません。

そして、TM9もコウライシバなので冬には休眠して褐色になります。

つまりTM9は

「高麗芝の管理負担を減らしやすい品種」

ではありますが

「高麗芝そのものの性質をすべて変えた品種」

ではありません。

我が家でも高麗芝からTM9へ切り替えました

我が家でも、高麗芝の管理負担を減らせればと考えてTM9へ切り替えたことがあります。

それでも、冬に褐色になることや雑草管理など、高麗芝について気になっていたことがすべて解消されるわけではありませんでした。

さらに、ほかに植えたい植物が増えてきたこともあり、最終的にはTM9を含めて芝生そのものをやめました。

TM9を検討する場合は「普通の高麗芝の何を負担に感じているのか」を考えてみるとよいでしょう。

芝刈りの回数を減らしたいのであればTM9は有力な選択肢です。
一方、冬の褐色化を避けたい、除草そのものをなくしたい、といった希望をTM9だけですべて解決することはできません。

高麗芝をやめるとき|剥がした芝の処分まで考えておく

高麗芝を植えるときにはあまり考えないかもしれませんが、数年後に庭の使い方が変わることもあります。

我が家でも、ほかの植物を植えたいと思うようになり、高麗芝を撤去しました。

【高麗芝を剥がしているところ】

芝はがし

実際にやってみると、芝を剥がす作業そのものは、私が思っていたほど大変ではありませんでした。

むしろ大変だったのは、その後です。
剥がした芝には土が付いているため結構な重さがあり、面積があると大量に出ます。
我が家では、剥がした芝を処分する作業の方が大変に感じました。

これは我が家での経験なので、芝生の面積や土質、根の張り方などによって作業負担は変わります。

それでも将来芝生を別の植栽へ変更する可能性があるなら「剥がせるか」だけでなく「剥がした芝をどう処分するか」まで考えておくとよいでしょう。

また、撤去後に別の植物を植える場合は、土中に残ったほふく茎などから芝が再生することがあるため、できるだけ取り除いておきます。

高麗芝が向いている庭・ほかの選択肢も考えたい庭

高麗芝は、春から秋に芝生らしい緑の面を庭につくりたい人には魅力的なグランドカバーです。

特に、日当たりのよい場所があり、芝刈りや除草などを庭仕事の一つとして続けられる人には向いています。
観賞するだけでなく、人が庭で過ごすスペースを緑にしたい場合にも利用できます。

一方で

  • できるだけ管理作業を減らしたい
  • 冬も緑の地面を保ちたい
  • 芝生の中の除草も極力したくない
  • 日当たりがあまりよくない
  • 将来いろいろな宿根草や低木を植えたい

という場合は、高麗芝以外のグランドカバーも比較してから決めた方がよいでしょう。

我が家では高麗芝からTM9へ変更したこともありましたが、最終的には芝生をやめました。

これは高麗芝そのものが悪かったからではなく、庭に求めるものが変わった結果です。

芝生のある庭を長く楽しめるかどうかは「高麗芝を育てられるか」だけではなく、数年後もその場所を芝生として使いたいか、そのための管理を続けられるかまで考えて判断することが大切です。

高麗芝以外も含めて検討したい場合は、グランドカバーシリーズの記事も参考にしてください。

高麗芝のよくある質問

高麗芝は植えっぱなしでも大丈夫ですか?

高麗芝が育つことと、きれいな芝生を維持できることは別です。
芝生らしい状態を維持するには、芝刈りや除草などの管理が必要です。

高麗芝を植えれば雑草は生えなくなりますか?

雑草を抑える効果は期待できますが、まったく生えなくなるわけではありません。
芝の密度が低い場所や隙間などから雑草が出ることがあります。

高麗芝は日陰でも育ちますか?

ある程度育つ場合はありますが、基本的には日当たりを好みます。
日照不足では芝の密度が低下しやすいため、きれいな芝生をつくりたい場合は日当たりのよい場所が向いています。

高麗芝は冬も緑ですか?

いいえ。高麗芝は冬に休眠し、葉が褐色になります。春になって気温が上がると再び芽吹きます。

TM9なら芝刈りをしなくても大丈夫ですか?

TM9は一般的な高麗芝より伸びにくく、芝刈りの負担を減らしやすい品種です。
ただし、芝刈りが完全に不要になるわけではありません。求める仕上がりや生育状態に応じて管理します。

高麗芝は簡単に撤去できますか?

我が家では、芝を剥がす作業そのものは思ったほど大変ではありませんでした。
ただし、土が付いた芝は重く、面積があると大量に出るため、その後の処分には苦労しました。作業量は芝生の面積や土の状態などによっても変わります。

グランドカバーシリーズ

グランドカバーは、見た目だけでなく、日当たりや踏圧、冬の姿、雑草対策など、庭の条件によって向いている植物が変わります。
このシリーズでは、さまざまな角度からグランドカバーの選び方を紹介しています。

①グランドカバー ガイド|庭に合う植物の選び方とおすすめの探し方

②おすすめグランドカバー|写真と特徴から自分好みの植物を探す

③芝生の代わりになるグランドカバー|踏める植物を比較

④日陰・半日陰に強いグランドカバー|日照条件から選ぶ

⑤花がきれい・おしゃれなグランドカバー|見た目から選ぶ

⑥冬もきれいなグランドカバー|常緑性と冬の姿を比較

⑦雑草対策になるグランドカバー|草むしりと手入れを減らす選び方

⑧グランドカバーで後悔しないために|増えすぎ・撤去・よくある失敗

⑨庭の地面は何で覆う?グランドカバー・人工芝・砂利・レンガ小道等を比較

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