パプリカは、緑の実が赤や黄色に変わっていく様子を楽しめる野菜です。肉厚の果肉はサラダにも炒め物にも使え、庭や鉢で育てた実が食卓の彩りになります。
ただし、色づくまで株に実をつけておくため、ピーマンより収穫を待つ時間が長く、水やりや枝の支えにも気を配ります。初めてなら苗を購入し、1~2株から始めると管理しやすいでしょう。この記事では、日本の一般地・中間地で、春に苗を植えて屋外で育てる方法を紹介します。
栽培の特徴
- 始め方:春に購入苗を植えて育てる
- 管理:水切れ対策と枝の支えが大切
- 収穫:夏から秋に色づいた実を順次採る
ガーデンネストの家庭菜園
ガーデンネストでは、無理なく野菜を育て、栽培から収穫まで楽しむことを大切にしています。この記事では、できるだけ手間をかけずに育てられるよう、基本は必要な作業に絞り、より本格的に育てたい方に向けた工夫も紹介します。
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大きな実を楽しむ?ミニタイプを選ぶ?
スーパーで見かけるような大きく肉厚の実を育てたいなら大果タイプ、少量ずつ料理に使いたいならミニパプリカが候補になります。ミニタイプには色づきの早さやコンパクトな株姿を特徴とする品種もあり、鉢で育てたい人にも向いています。
赤・黄・オレンジは品種による完熟色の違いです。同じ株で好みの色を選べるわけではないので、苗のラベルで色と実の大きさを確認します。葉に張りがあり、茎が細長く伸びすぎず、虫や斑点のない苗を選びましょう。最初の花やつぼみがついた苗なら、植え付け後の管理へ進みやすくなります。
種から育てるには春先の保温と長い育苗期間が必要です。少数栽培では苗から始める方法を勧め、種からの育苗は記事末尾で補足します。
栽培カレンダーと基本情報

一般地・中間地の屋外栽培の目安です。遅霜が終わり、夜の最低気温が10℃を下回らなくなってから植えます。寒い地域では植え付けが遅くなり、秋の収穫終了も早まります。
| 作業 | 時期の目安 |
|---|---|
| 購入苗の植え付け | 5月 |
| 色づいた実の収穫 | 7~10月 |
| 項目 | 基本情報 |
|---|---|
| 分類 | ナス科トウガラシ属 |
| 場所 | 日当たりと水はけがよく、強風を避けられる場所 |
| 地植えの株間 | 約50cm |
| 容器の例 | 土が20L以上入る鉢に1株 |
| 支え | 支柱とひもで茎・枝を支える |
| 収穫の判断 | 品種の完熟色になり、実に張りがあるころ |
| 注意点 | 乾燥、実のつけすぎ、枝折れ、ナス科の連作 |
苗から育てる基本の手順
1.場所と土を準備する
庭では土をほぐし、雨のあとに水がたまる場所は周囲より少し高く盛って植えます。2株なら約50cm離して並べられる場所を確保してください。庭の土には、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。
鉢は土が20L以上入るものに1株が目安です。市販の野菜用培養土を使うと手軽で、苦土石灰を加えずに使えます。土は縁いっぱいにせず、水やりで水をためられる余白を残します。
2.深植えせず、支柱で支える
苗にあらかじめ水を与え、根を包んでいる土を崩さずにポットから取り出します。その土の表面と植え付け先の地面がほぼ同じ高さになるように植え、隙間を埋めてたっぷり水を与えます。
植え付け後は茎が倒れないように支えます。長さ約1.2mの支柱を基本に、茎と支柱をひもで8の字に緩く結んでください。株が育ち、実をつける枝が広がったら、枝の近くにも支柱を足して支えます。大きく育つ品種では、苗の栽培案内に合わせて長い支柱を使います。
3.水切れを防ぎながら育てる
鉢では土の表面が乾いてきたら、底から流れるまで水を与えます。夏は朝に与えても夕方までに乾くことがあるため、再び乾いていれば追加します。受け皿に水をためたままにしないでください。
庭では根付くまで乾燥に注意し、その後は雨の様子と土の乾きを見て水やりします。雨が少なく土が乾き続けるときは、株元へ十分に与えましょう。
4.枝を整え、最初の花を取る
最初の花は摘み、まず株を育てます。枝の整え方は、最初の花の位置で分かれる2本の枝と、そのすぐ下の勢いのよいわき芽1本を伸ばす、合計3本を基本例にします。それより下に出る小さなわき芽は、葉を残して付け根から取ります。

伸ばす枝はそれぞれ支え、上の枝が混み合ってきたら内向きの細い枝などを少し整理して、光と風を通します。実を覆う葉まで一度に落とさないようにしましょう。整枝を少なくできる品種を選んだ場合は、苗に付属する育て方を優先してください。
実をすべて色づかせようとすると株に負担がかかります。実が多くついて新しい枝の伸びが鈍くなったら、一部を緑のうちに収穫して負担を減らします。緑の実もピーマンのように料理へ使えます。
よりよく育てる工夫:肥料で収穫を充実させる
大きな実を育て、夏から秋まで収穫を楽しみたい場合は、肥料で養分を補うとよいでしょう。庭では植え付けの1週間ほど前に野菜用肥料を混ぜる方法があります。元肥入りの培養土には、植え付け時の肥料を重ねる必要はありません。
追肥を取り入れるなら、植え付けから約1カ月後を目安に始めます。実のなる野菜用の粒状肥料を使うなら、月に1~2回程度を基本に、製品の使用間隔・量に合わせて株元から少し離して与えます。長く効く肥料を使っている場合は、その肥料の使用間隔を優先します。
色づいた実の収穫方法
実が品種本来の赤・黄・オレンジに色づき、張りのあるうちに収穫します。開花から色づくまでは約50~60日が一つの目安ですが、気温や品種で変わるので、実の色を見て判断してください。
実を片手で支え、へたの上の柄を清潔なハサミで切ります。引っ張ってもぎ取ると枝が裂けやすいため、周囲の葉や枝を巻き込まない位置に刃を入れましょう。

同じ株に残した小さな実が育ち、色づいたものから順番に採れます。毎日同じ量が採れる野菜ではなく、実のつき方によって収穫がまとまることもあります。柔らかくなるまで放置せず、水やりの際に実の裏側も見ておくと採り遅れを防げます。
秋に冷え込み、実がなかなか色づかなくなったら、残る緑の実を収穫して栽培を終えます。
うまく育たないとき・病害虫への対処
| 気になる状態 | 確認することと初期対応 |
|---|---|
| 緑の実が色づかない | まず成熟に時間がかかることを踏まえ、実の張りや色の変化を見る。低温・日照不足・実のつけすぎでも遅れるため、日当たりを確保し、実が多ければ一部を若どりする |
| 花が落ち、実がつかない | 日照不足、水切れ、実のつけすぎ、虫の被害などを確認する。日当たりと水やりを見直し、実が多く残っていれば若どりして株の負担を減らす |
| 葉がしおれる・伸びが悪い | 土の乾きと、鉢底から水が抜けるかを確認する。乾いていれば水やりし、湿り続けるなら水を足すのを控えて排水を改善する。追肥の時期と量も確認する |
| 実のお尻が黒くへこむ | 尻腐れ症の可能性。乾燥やカルシウムの吸収不足などが関係する。傷んだ実を取り、水切れと肥料の与えすぎを見直す |
| 新芽や葉裏に小さな虫がいる | アブラムシ・コナジラミなどを疑い、少数なら捕って取り除く。葉裏まで見て、被害が広がる前に対応する |
| 葉に白い粉状の斑点が広がる | うどんこ病などの可能性。被害葉を取り除き、混み合った部分の風通しをよくする |
| 実に穴が開き、ふんがある | オオタバコガなどの幼虫を探す。被害果と幼虫を取り除く |
農薬を使う場合は、パプリカへの適用と対象の病害虫、収穫前日数、使用回数などを製品表示で確認します。
収穫したパプリカの使い方・保存
使う前に洗い、へたと種を取ります。色づいた実は細切りにしてサラダへ、厚めに切って炒め物やグリルへ使えます。緑で採った実は、炒め物などにすると使いやすいでしょう。
丸ごとの実は水気を拭き、1個ずつキッチンペーパーで包んで袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。切った実はへたと種を除き、切り口を覆って冷蔵し、早めに使います。
食べ切れない分は使いやすく切り、水気を拭いて冷凍用保存袋で冷凍できます。約1カ月を使い切りの目安にし、凍ったまま炒め物やスープなどの加熱料理へ。生のときの歯ざわりとは変わるので、サラダ用は冷蔵分から使いましょう。
栽培が終わったら
残った実を収穫し、茎葉と太い根を片付けます。支柱やひもも外し、次の栽培に使えるようにしておきましょう。
パプリカはナス科なので、翌年は同じ場所にトマト・ナス・ピーマン・ジャガイモなどを続けて植えないようにします。地植えではナス科を3~5年ほど休むのが一つの目安ですが、年数だけで病気を防げるわけではありません。
鉢の古い土は、残った根を取り除き、固まった部分をほぐしておきます。病害のなかった土は、別の科の植物を育てるときに再利用を考えられます。水が抜けにくい土には新しい培養土を混ぜ、次の植物に合う土に整えましょう。病気が疑われた株の土は健康な土と混ぜず、そのまま次の栽培へ使い回さないでください。
補足:種から苗を育てたい場合
種からなら、選んだ品種の種袋にある地域別のまき時を確認して始めます。発芽適温は25~30℃程度で、春先には保温・加温が必要になります。ポットに2~3粒を約5mmの深さにまき、本葉1~2枚のころまでに元気な1本を残します。
発芽後は十分に日に当て、夜の冷え込みを避けて育てます。植え付けられる苗になるまで2カ月以上かかることがあるので、春に種をまいてすぐ庭へ植える育て方とは分けて考えましょう。最初の花が咲くころまで育て、屋外が暖かくなってから植え付けます。
まとめ
パプリカは、色づく実を待ちながら夏から秋まで育てる野菜です。苗と育てる色を選んだら、日当たり、水やり、枝の支えを整え、実をつけすぎないように管理します。赤や黄色に変わった実を一つずつ収穫し、料理で味わう楽しみにつなげてみてください。


