パクチーは、タイ料理やベトナム料理でおなじみの香味野菜です。独特の香りが好きなら、料理に使う分だけ庭やプランターから摘めるのはうれしいもの。葉を収穫した後も、花を咲かせてコリアンダーシードを採る楽しみがあります。
春まきでは気温が上がるととう立ちしやすいため、葉を長期間採り続けられるとは限りません。種まきから収穫までの基本と、春まき・秋まきの違いを紹介します。
栽培の特徴
- 時期: 春・秋まき。春はとう立ちが早い
- 場所: 庭やプランターで育てられる
- 収穫: 葉のほか、花や種も楽しめる
ガーデンネストの家庭菜園
ガーデンネストでは、無理なく野菜を育て、栽培から収穫まで楽しむことを大切にしています。この記事では、できるだけ手間をかけずに育てられるよう、基本は必要な作業に絞り、より本格的に育てたい方に向けた工夫も紹介します。
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パクチーはどんな野菜?
パクチーはセリ科の一年草で、コリアンダー、コエンドロ、香菜(シャンツァイ)とも呼ばれます。家庭菜園では主に葉や茎を食べますが、柔らかい蕾や花、根、熟した種も料理に利用できます。種を乾燥させたものが、スパイスのコリアンダーシードです。
栽培は種から始めるのが手軽です。大きな支柱や誘引は不要ですが、発芽までの乾燥と高温には注意します。太い根がまっすぐ伸びるため、育てる場所へ直接種をまく方法が扱いやすく、苗から始める場合は若いうちに根を崩さず植え付けます。
パクチーの栽培時期と基本情報
一般的な平地では、春は4~5月、秋は9~10月ごろが種まきの目安です。生育適温は15~25℃程度。暑さが苦手なので、初めてなら春か秋の涼しい時期を選びましょう。地域や品種によって適期は変わるため、購入した種袋の種まき適期も確認します。

※一般的な平地の目安です。気温や種まき時期によって前後します。秋まきは寒さによって葉の収穫が減る・止まることがあり、暖かな地域では冬も収穫できる場合があります。翌春の再開時期も地域や冬の管理で異なります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 科・栽培期間 | セリ科・一年草 |
| 種まき | 春4~5月/秋9~10月ごろ |
| 生育適温 | 15~25℃程度 |
| 日当たり | 日なた~半日陰 |
| 栽培場所 | 地植え・プランター |
| 株間 | 葉の収穫なら10~20cm程度/種採りなら30cm程度 |
| 容器 | 深さ20cm以上を目安 |
| 葉の収穫 | 種まき後50~60日程度、草丈20cm以上が目安 |
春まき・秋まきの時期の目安
| 栽培 | 種まき | 葉の収穫 | とう立ち・開花 | 種採り |
|---|---|---|---|---|
| 春まき | 4~5月 | 5~6月ごろ | 5~7月ごろ | 7~8月ごろ |
| 秋まき | 9~10月 | 10月以降、寒さで鈍化。翌春も可能 | 翌4~6月ごろ | 翌6~7月ごろ |
※月は平地での大まかな目安です。葉の収穫は一度の種まきで表示期間中ずっと続くという意味ではありません。秋まきの冬の収穫量や翌春の再開時期には地域差があります。
春まきと秋まきの違い
春まきは気温の上昇とともに育ちますが、種まき後50~60日ほどでとう立ちすることがあります。葉を長く残そうとせず、食べごろになった株から収穫する方法が向いています。とう立ちの時期は品種や気温によって変わります。
秋まきは気温が下がるにつれて成長がゆっくりになり、冬を越すと翌春に再び生育が進みます。葉を収穫する時期も春まきとは異なり、翌春にはとう立ち・開花へ向かいます。
種の選び方
初めてなら「パクチー」「コリアンダー」として販売されている種で始められます。春まきで葉の収穫を重視するなら、とう立ちが比較的遅いタイプも選択肢です。たとえばサカタのタネの「ぱくぱく」は、春まきでの収量性を特徴としています。特定品種を探さなくても、まずは種袋にある種まき時期を確認すれば十分です。
土と栽培場所を準備する
水はけと水持ちのバランスがよい場所を選び、庭では土をほぐして種をまける状態にします。庭の土を使う場合は、種まきの1~2週間ほど前に苦土石灰を混ぜておく方法があります。プランターなら、市販の野菜用培養土を使うと手軽です。
野菜用培養土なら、まずはそのまま種をまいて育てられます。庭の土では、よりよい生育を目指して種まき前に野菜用肥料を少量混ぜる方法もあります。水がたまる場所は避けます。
パクチーの種まき
パクチーの丸い粒は果実で、通常は2つの種子を含みます。そのまままいても発芽します。発芽をそろえたい場合は、板などで軽く押して粒に割れ目を入れるか、二つに分ける方法があります。細かく砕かず、種子を傷つけないようにします。湿らせたティッシュなどに数時間から一晩置いて吸水させる方法もあります。

地植えでは、15~20cmほど間隔を空けて小さなくぼみを作り、1か所に3~4粒ずつまきます。発芽後は混み合う苗を間引き、1か所1株を目安に残します。プランターでは、浅い溝に1~2cm間隔で種を並べてまく方法もあります。こちらも育つにつれて間引き、最終的な株間を10~20cm程度にします。土は5mm程度と薄くかけ、発芽まで乾かさないように水やりします。
発芽まで2~3週間かかることもあるので、すぐに芽が出なくても土の乾き具合を見ながら待ちましょう。
発芽後の間引きと管理
芽が混み合ってきたら、育ちのよい株を残して少しずつ間引きます。浅い溝にまいた場合は、本葉2~3枚で5~6cm程度に、その後10cm程度を目安に間引きます。1か所に数粒まいた場合は、その場所で元気な1株を残します。大きく育てたい場合は株間10~20cm程度、花や種を採る株は30cm程度を目安にします。残す株の根を傷めないよう、不要な苗を地際で切る方法もあります。間引いた小さな葉も料理に使えます。
水やりと日当たり
地植えは根付いたら雨に任せられることが多いですが、土が乾く日が続けば水を与えます。プランターでは土の表面が乾いたら鉢底から水が出るまで与え、いつも湿りっぱなしにしないようにします。
日なたから半日陰で育てられます。高温や強い西日を避けられる場所があれば、暑い時期の管理がしやすくなります。
肥料
葉を繰り返し摘み取って長く育てるなら、液体肥料などで少量の追肥をする方法があります。使う場合は製品表示の濃度・間隔を守ります。短期間で株ごと収穫するなら、まずは追肥をせずに育てる方法もあります。
ベランダやプランターでも育てられる
深さ20cm以上の容器が一つの目安です。幅60cm・容量20L程度のプランターなら3~4株を育てる例があります。少数だけ育てたいなら、小さな鉢で始めることもできます。ベランダは土が乾きやすいので、水やりと高温時の日差しに気を配りましょう。
パクチーの収穫方法
本格的な葉の収穫は、種まき後50~60日ほど、草丈20cm以上になったころが目安です。小さな葉を少量ずつ利用することもできます。収穫方法は、外葉を摘む方法と、株ごと採る方法の2つです。
外葉から必要な分を摘む
外側の大きな葉を株元から切り、中心の新しい葉を残します。必要な分だけ使いたい場合に向いています。ただし、次の葉が育つまでには時間がかかるため、毎日同じ量を採れるわけではありません。
株ごと収穫する
根元を持って抜き取るか、株元から切って収穫します。春まきでは、とう立ちする前に育った株から採ると利用しやすいでしょう。

一度に収穫が集中しないよう、種まきを数回に分ける方法もあります。
とう立ちしたら、花や種も楽しめる
茎が伸びて花芽がつく「とう立ち」が始まると、葉は硬くなり、葉を収穫する栽培は終わりに近づきます。葉を食べることが目的なら早めに収穫しましょう。そのまま育てれば、柔らかい蕾や小さな花を料理に使ったり、種を採ったりできます。

種を採る場合は花を咲かせ、実が茶色く熟すまで待ちます。開花後50日ほどが一つの目安ですが、日数だけでなく実の色で判断します。茶色くなったら株ごと刈り取り、雨の当たらない場所で十分に乾かして種を採ります。乾燥した種はコリアンダーシードとして料理に利用できます。
病害虫とよくあるトラブル
アブラムシやヨトウムシ、ハダニなどがつくことがあります。葉の裏もときどき見て、害虫が少ないうちに取り除きます。苗を混み合わせず、風通しを保ち、土を過湿にしないことは立枯病やうどんこ病などの予防にもつながります。
葉がしおれる
まず土を確認します。乾いていれば水不足が考えられますが、湿り続けているなら根が傷んでいる可能性もあります。土が乾いているときは水を与え、湿りすぎなら水やりを控えて風通しを確保します。
暑い時期に育たない・早くとう立ちする
パクチーは高温が苦手で、春まきでは気温上昇とともにとう立ちしやすくなります。プランターなら強い西日を避けられる場所へ移し、葉を食べたい株は早めに収穫します。とう立ちした株は、花や種を楽しむ方向へ切り替えてもよいでしょう。
収穫したパクチーの利用と保存
葉や茎はサラダ、スープ、麺類、肉料理の薬味などに使えます。すぐに使う分は乾燥を防いで冷蔵し、使い切れない分は刻んで冷凍する方法もあります。冷凍保存は1か月程度が一つの目安です。乾燥させた種はスパイスとして保存できます。
パクチーは好みや使う頻度によって必要量が大きく変わります。食べる頻度に合わせて収穫量を調整すると、使い切りやすくなります。
栽培が終わったら
葉を採り終えた株、または種を採り終えた株を片付けます。パクチーはセリ科なので、同じ場所でセリ科の野菜を続けて育てるのは避け、できれば別の場所で育てます。病気が出た土は、そのまま同じ栽培に使い回さないようにします。プランターの古い土を使う場合は、根などを取り除いて状態を整えましょう。
まとめ|葉だけで終わらないパクチー栽培
パクチーは、庭の一角やプランターで種から育てられる香味野菜です。春まきは気温が上がるととう立ちしやすいため、葉を使うなら育った株から収穫します。
葉の収穫で終えてもよいですし、花を楽しみ、種が熟すまで育てても構いません。食べたい量と楽しみたい段階に合わせて、小さく始めてみてください。


