トウガラシは、少量で料理に辛みを添えられる野菜です。緑の実を薬味に使ったり、赤く熟した実を乾かして香辛料にしたりと、収穫後の楽しみも広がります。葉の間に白い花が咲き、実が緑から赤へ変わる姿も見どころです。
家庭では、春に苗を買って育てると始めやすくなります。この記事では、鷹の爪などの辛味がある食用トウガラシを中心に、庭の一角や鉢での植え付けから収穫・保存までを紹介します。
栽培の特徴
- 始め方:春に購入苗を植えると手軽
- 管理:夏の水切れと枝の折れに注意
- 収穫:青い実と赤く熟した実を使える
ガーデンネストの家庭菜園
ガーデンネストでは、無理なく野菜を育て、栽培から収穫まで楽しむことを大切にしています。この記事では、できるだけ手間をかけずに育てられるよう、基本は必要な作業に絞り、より本格的に育てたい方に向けた工夫も紹介します。
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苗を選ぶ前に、辛さと使い道を決めよう
トウガラシには、香辛料に使う辛味の強いものから、シシトウや甘長トウガラシのように野菜として食べるものまであります。見た目だけで辛さを判断せず、苗のラベルで食用であることと辛さを確かめて選びます。
| 選ぶタイプ | 主な使い道と選ぶ目安 |
|---|---|
| 鷹の爪などの辛味種 | 赤く熟した実を乾かし、炒め物や漬物の香辛料に。鷹の爪は小さな実が上向きに付くタイプ |
| 青い実を利用する辛味種 | 薬味や炒め物に。青い実の利用に向くものを選ぶ。青くても辛い |
| シシトウ・甘長など | 若い緑の実を順次収穫し、焼き物や炒め物に。辛さや採る長さは品種ごとに確かめる |
観賞用として販売されている苗は、食用として選ばないようにします。辛い料理に使う量は少ないため、初めは1株で育ち方と使い道を確かめるのもよいでしょう。
栽培カレンダーと基本情報

日本の一般地・中間地で、春に植えて露地で育てる目安です。購入苗は遅霜の心配がなくなり、暖かさが安定してから植えます。収穫のバーは青い実の収穫も含み、赤い実は十分に熟すまで待ちます。
| 作業 | 時期の目安 |
|---|---|
| 購入苗の植え付け | 5月上旬~中旬 |
| 収穫(青い実を含む) | 6~10月 |
寒冷地では植え付けが遅くなり、秋の収穫終了も早まります。品種や天候で実の色づく時期は変わるため、月だけでなく実の状態を見て収穫してください。
| 項目 | 基本情報 |
|---|---|
| 分類 | ナス科トウガラシ属 |
| 栽培場所 | 日当たりと水はけのよい庭・鉢・プランター |
| 生育適温 | 20~30℃程度 |
| 地植えの株間 | 約50cm |
| 鉢の例 | 10号(直径約30cm)の深鉢に1株 |
| 支え | 長さ約1mの支柱を目安に、茎や枝を支える |
| 収穫の判断 | 青い実は品種に合った大きさ、赤い実は全体の色づき |
| 連作を避ける目安 | ナス科を3~4年あける |
苗から育てる基本の手順
植える場所と土を準備する
日当たりがよく、雨の後に水がたまりにくい場所を選びます。地植えでは土をほぐし、大きな石や雑草の根を取り除きます。水がたまりやすい所は、植える部分の土を少し盛り上げて水はけをよくしてください。
庭の土には、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。鉢には市販の野菜用培養土を使うと手軽です。鉢底に排水穴がある深鉢を選び、土の上には水やり用の余白を残します。
苗を植え、支柱で支える
茎が太く、葉の色がよく、茎が細長く伸びすぎていない苗を選びます。最初の花が咲き始めるころの苗が、植え付けの目安です。
- 苗に水を与え、根を包んでいる土が入る大きさの穴を掘る。地植えで複数植える場合は約50cm離す。
- ポットから苗を土ごと抜き、根を包む土を崩さずに植える。土の表面が周囲とほぼ同じ高さになるようにし、茎を深く埋めない。
- 周囲の土を軽く押さえて水をたっぷり与える。鉢は底から水が流れるまで与える。
- 苗のそばに支柱を立て、茎をひもで緩く結ぶ。
トウガラシは枝が折れやすい野菜です。長さ約1mの支柱を一つの目安にし、生長に合わせて結ぶ位置を増やします。横へ張り出す枝が実の重さで垂れる場合は、その枝にも支柱を添えて支えましょう。
水やりは土の乾きを見て行う
植え付け直後は、根付くまで土を乾かしすぎないようにします。鉢では土の表面が乾いたら、底から流れるまで水を与え、受け皿にたまった水は捨てます。夏は乾きが早いため、朝の水やり後も、強くしおれているときは土の乾きを確かめてください。
地植えでは、根付いた後は雨も利用できます。晴天が続いて土が乾くときは株元へ十分に水を与えます。株元に敷きわらをすると、乾燥と泥はねを抑える助けになります。
枝の整理はタイプに合わせる
鷹の爪のように小さな実が上向きに付くタイプは、細かなわき芽取りをせずに育てられます。上へ伸びる先端を摘む作業も、基本には含めません。
シシトウや甘長などは、最初の花のすぐ下から伸びる元気な枝2本と、中心の茎を伸ばす3本仕立てが一つの方法です。それより下の小さなわき芽を取り、残した枝を支えます。苗の案内に仕立て方が指定されている場合は、そのタイプに合った方法を選びます。
よりよい生育・収穫を目指す工夫
土をふかふかにして水持ちをよくしたい場合は、植える前に完熟堆肥を混ぜる方法があります。実付きや株の生育をよくしたいなら、植え付け前に野菜用肥料を取り入れるのも一つの工夫です。肥料を含む培養土には、同じ目的の肥料を重ねて混ぜる必要はありません。
収穫を長く楽しみたい場合は、植え付けの2~3週間後から追肥を取り入れ、以後も2~3週間おきを目安に少量ずつ補う方法があります。量と使用間隔は使う肥料の表示に合わせ、株元へ集中させず株の周囲に施します。
青い実・赤い実の収穫方法
色と大きさを見て、一つずつ採る
青トウガラシとして使う場合は、実が品種に合った大きさに育ち、緑色で張りがあるうちに採ります。開花から20日程度が一つの目安です。シシトウや甘長は若い実を採り、硬くなるまで残さないようにします。
赤トウガラシは、実全体が赤く熟してから収穫します。開花から60日程度かかるものもあり、青い実より長く待ちます。鷹の爪では長さ3~6cmほどの実が赤くなる姿が目安になります。
実を引っ張ると枝が折れやすいため、ハサミで実のへたにつながる細い柄を切ります。葉や枝、これから育つ青い実は残してください。

収穫には手袋を使い、実や切り口に触れた手で目や顔を触らないようにします。調理で刻むときも同様に扱い、作業後は手と道具を洗ってください。
収穫を続けるときと、終えるとき
青い実を採る場合は、水やりの際などに育った実を確かめ、順次収穫します。赤い実を使う場合は、色づいたものから採れば、残した実の成熟を待ちながら収穫できます。青い実も使いたいときは、一部を青いうちに採り、赤くしたい実を株に残します。
秋に気温が下がり、新しい実が育ちにくくなったら終わりが近づきます。霜が降りる前に使える実を採って片付けましょう。鷹の爪では、株全体の実がおおむね赤くなった段階で株ごと抜き、雨の当たらない風通しのよい場所につるして乾燥させる方法もあります。
収穫したトウガラシの使い方と保存
生の実は冷蔵・冷凍で使いやすく
青い実は刻んで薬味や炒め物に、赤い実は炒め物や漬物などの辛み付けに使えます。辛さは品種や実によって違うため、料理には少量ずつ加えてください。
すぐ使う分は水気を拭き、袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。使い切れない分は、洗って水気をよく拭き、小分けにして冷凍用保存袋へ入れ、冷凍すると便利です。乾燥保存の仕上がりに迷うときも、生のうちに冷凍する方法を選べます。
赤い実を乾燥させて保存する
傷みのない赤い実を選び、雨の当たらない風通しのよい場所で乾かします。少量なら実が重ならないようにざるへ広げる方法もあります。乾燥日数は天候や実の厚さで変わるため、表面がしわになっただけで瓶に詰めないようにしましょう。
乾燥が不十分だと保存中にカビが生えます。十分に乾いたものを密閉容器へ入れ、湿気を避けて保存してください。保存中にカビが見つかった実は、カビの部分だけを取り除いて使わず、処分します。
うまく育たないとき・病害虫への対処
| 気になる状態 | 確かめることと初めの対応 |
|---|---|
| 葉がしおれる | 土が乾いていれば十分に水を与える。湿っているのにしおれる場合は、水を足し続けず、排水穴や水たまりを確認する。回復しない株は根の傷みや病気も疑う |
| 花が落ち、実が付きにくい | 低温・高温、乾燥、日照不足などが候補。早植えを避け、土の乾きと日当たりを確認する。肥料を増やすだけで解決しようとしない |
| 新芽や葉裏に小さな虫が集まる | アブラムシなどを確認し、少ないうちに取り除く。葉裏も調べ、広がる前に対処する |
| 実に穴が開く・中が食べられる | タバコガなどの幼虫を確認する。傷んだ実は取り除き、周囲の実も調べる |
| 葉に濃淡のまだら模様が続く | ウイルス病などの可能性がある。害虫の有無を確認し、症状が広がる株は抜き取ってほかの株から離す |
農薬を使う場合は、使用できる作物名と対象の病害虫、収穫前に使える日数や使用回数を、実際の製品表示で確認します。
栽培が終わったら
株と残った根を取り除き、支柱やひもを片付けます。トウガラシは連作を避けたい野菜で、同じ場所ではトマト・ナス・ピーマン・ジャガイモなども含め、ナス科を3~4年あけるのが目安です。
鉢の古い土は、病気が出ていなければ根やごみを取り除き、固まった部分をほぐして、別の科の野菜などに再利用できます。水が抜けにくくなった土には新しい野菜用培養土を混ぜる方法があります。病気が出た土はそのまま次の鉢に回さず、新しい土を使い、古い土は自治体の扱いに従ってください。
補足:種から苗を育てる場合
種から育てる場合は保温が必要で、発芽には25~30℃程度が適しています。育苗には種まきから65~80日ほどかかるため、地域別の種まき時期を種袋で確認してください。少数を育てる初心者には購入苗の方が手軽です。
ポットに培養土を入れ、種を少し離して3粒まき、約5mmの土をかぶせます。水を与えて保温し、発芽までは乾かさないようにします。本葉2枚のころまでに元気な1本を残し、その後は十分に日に当てて育てます。最初の花が咲くころまで育苗し、遅霜の心配がなくなってから植え付けます。
まとめ
トウガラシは、使いたい辛さと収穫する色を考えて苗を選ぶと、料理への取り入れ方も決めやすくなります。暖かくなってから植え、枝を支えながら夏の水切れに気を付けて育てましょう。緑の実が少しずつ赤く色づく変化も、家庭で育てる楽しみの一つです。


