小さな実が少しずつ丸く育ち、やがて甘い香りをまとって収穫を迎えるメロン。庭で育てると、店頭では見られない実の成長も楽しめます。
雨や寒さへの対策、つるの整理、開花した朝の授粉などに手がかかる野菜です。この記事では、家庭で取り組みやすい露地向けのノーネットメロンを、購入苗から地面につるを這わせて育てる方法を基本に紹介します。
栽培の特徴
- 苗選び:初めてなら露地向けノーネットを選ぶ
- 場所:日なたと、つるを広げる空間が必要
- 管理:つるの整理と開花した朝の授粉が要点
ガーデンネストの家庭菜園
ガーデンネストでは、無理なく野菜を育て、栽培から収穫まで楽しむことを大切にしています。この記事では、できるだけ手間をかけずに育てられるよう、基本は必要な作業に絞り、より本格的に育てたい方に向けた工夫も紹介します。
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メロンのタイプと苗の選び方
メロンはウリ科の一年草で、つるを伸ばして育ちます。果皮に網目が入る「ネットメロン」と、入らない「ノーネットメロン」があり、果肉の色とは別の区分です。
| タイプ | 選ぶときのポイント |
|---|---|
| 露地向けノーネットメロン | ネットメロンより早く収穫でき、家庭菜園で取り組みやすい。プリンスなどが代表例 |
| 家庭菜園向けの小型ネットメロン | 容器で育てられる品種もある。小型でも、支えや実の落下対策が必要 |
| 温室向けの大玉ネットメロン | 温度・水分・整枝の管理が細かい。初めて屋外で育てる基本例には選ばない |
苗は葉に傷みや虫が少なく、茎がしっかりしたものを選びます。少数株なら、温度管理が必要な育苗を省ける購入苗が便利です。接ぎ木苗は土から伝わる病気への対策として選べますが、連作を続けてよいという意味ではありません。
容器で育てたい場合は、購入時に「容器栽培向き」と確認できる苗を選びます。具体例は記事後半にまとめました。
メロンの栽培時期と基本情報
一般地・中間地では、春に苗を植え、初夏から夏の収穫を目指します。植え付けは遅霜の心配がなくなり、夜の冷え込みが弱まってから。早植えには保温が必要です。
栽培カレンダー

南関東のノーネットメロンを、トンネルで保温・雨よけして育てる例です。植え付け例は4月中旬または5月上旬、収穫期の目安は6月下旬~7月中旬です。一般地でも内陸など冷え込む場所では、遅霜と夜の気温を優先してください。
| 作業 | 南関東の栽培例 |
|---|---|
| 苗の植え付け | 4月中旬/5月上旬 |
| 収穫 | 6月下旬~7月中旬 |
基本情報
| 項目 | 目安・内容 |
|---|---|
| 分類 | ウリ科・一年草 |
| 場所 | 日当たり・風通し・水はけのよい場所 |
| 植え付ける苗 | 本葉3~4枚程度 |
| 植え付け時の温度 | 最低気温14℃、地温16~18℃以上が目安 |
| 株間 | 地這いでは約75cm |
| つるを広げる空間 | 株間とは別に、幅2m程度の広がりを見込む |
| 仕立て方 | 基本例は子づる3本。孫づるに実を付ける |
| 収穫まで | プリンスの例では雌花の開花後40~45日程度 |
| 連作 | ウリ科を続けず、3年以上あけることを目安にする |
メロンの育て方
1.日当たりと水はけのよい場所を用意する
庭の土をほぐし、雨の後に水がたまる場所を避けて植えます。水が流れにくい場所では植える部分の土を周囲より高くし、根の周りに水が居続けないようにします。
地這いでは、植える位置だけでなく、伸びたつるを広げる場所も確保してください。狭い隙間へ詰め込むと、葉が重なり、手入れや実の確認が難しくなります。
庭の土には植え付けの2週間ほど前に苦土石灰を混ぜておく方法があります。容器で市販の野菜用培養土を使う場合は、石灰を加えずに使えます。
2.苗を浅めに植え、寒さと雨を避ける
暖かく風の弱い日の午前中に、苗に水を与えてから植えます。根を包んでいる土を崩さず、土の表面が周囲より少し高くなる程度に浅く植え、株元へ水を与えてなじませます。接ぎ木苗のつなぎ目は埋めません。
苗が小さい時期は、園芸用の支柱に透明なビニールをかけたトンネルなどで保温します。晴れた日には内部が急に暑くなるため、朝に裾を開け、風を通してください。日中30℃以上になるようなら換気し、夜の冷え込みが続く間は夕方に閉じます。
暖かくなった後も、上部のビニールを雨よけとして使うと、葉や株元が長くぬれるのを減らせます。裾は開けて蒸れを防ぎ、つるが伸びる場所へはわらや乾いた刈り草を敷きます。覆いの開閉が難しい場合は、寒い時期の早植えを避けてください。
3.親づるを摘み、子づると孫づるを整理する
最初に株の中心から伸びるのが「親づる」、その葉の付け根から伸びるのが「子づる」、子づるの葉の付け根から伸びるのが「孫づる」です。葉を支える葉柄と、先に新しい葉が増えていくつるを見分けて作業します。

露地向けノーネットメロンの基本例は、次の流れです。
- 本葉が5~6枚開いたころ、親づるの先を本葉5枚を残して摘みます。
- 伸びた子づるのうち、勢いのそろった3本を残し、ほかの子づるは付け根から取り除きます。残したつるは葉が重ならない方向へ広げます。
- 子づるの根元から葉の付く位置を数え、7枚目までの葉の付け根から出る孫づるは、小さいうちに付け根から取ります。8枚目以降から出る孫づるを伸ばし、実を付けます。
- 子づるが20枚程度の葉を付けるまで伸びたら、先端を摘みます。
葉そのものは残し、不要なつるだけを取ります。つるが長く絡み合う前に整理すると、どこから伸びた枝かを追いやすくなります。品種によって残す本数や実を付ける位置が異なるため、苗に専用の整枝案内が付いている場合は、その方法を一貫して使ってください。
4.雌花が咲いた朝に人工授粉する
実を付ける花は、花のすぐ下に小さなメロンのような膨らみがあります。雄花にはこの膨らみがありません。自然に受粉することもありますが、確実に実を付けたいときは人工授粉します。
その日に開いた雄花を摘み、花びらを取り除いて、中央のおしべを露出させます。雌花の中央にあるめしべの先へ、花粉を優しく付けてください。花が開いた当日の朝に行い、授粉日を書いたラベルを近くに付けておくと、収穫を見込む手がかりになります。

数日後に膨らみが大きくなってくれば、結実が進んでいます。週末中心で育てる場合も、雌花の咲く時期には平日の朝に作業できるかを見込んでおきましょう。
5.水やりをし、実の数と置き場所を整える
根付くまでは土を乾かしすぎず、その後は過湿を避けます。地植えで雨が届く場所は、決まった回数で水を与えるより、晴天が続いて土が乾いたときに株元へたっぷり与えます。雨よけの下は雨が届きにくいため、土の乾きを見て補ってください。
実が太る時期に極端に乾かしたり、その後に急に多量の水を与えたりする管理は避けます。甘くしようとして、株がしおれるほど水を断つ必要はありません。
実がピンポン玉~卵ほどになったら、形の悪いものや育ちの遅いものを取り除きます。基本のノーネットメロンでは1株8個程度が一つの目安ですが、株が小さいのに数をそろえようとせず、よく育っている実を残します。
実の下にはわらやメロン用の敷きマットを置き、湿った土に直接触れないようにします。黄色い花の下にあった膨らみが、日ごとに丸く育つ様子を観察できる時期です。
よりよく育てる工夫:肥料を控えめに補う
よりよい生育や収穫を目指すなら、植え付けの1週間ほど前に野菜用肥料を土に混ぜる方法や、実が卵ほどに育つころに追肥する方法があります。使う肥料の量・間隔は製品表示に合わせます。
肥料を多く与えると、つるや葉が茂りすぎて実が付きにくくなることがあります。少量を基本にし、粒状肥料は茎へ直接触れないよう、株元から離して施します。
メロンの収穫と食べごろ
収穫までの日数は品種によって違います。プリンスでは雌花の開花後40~45日程度が目安です。授粉日の記録とあわせ、果皮の色や香り、へたの周りにできるひびなどを見て判断します。
ノーネットメロンの中には、熟すと実と柄の境目に離れる層ができ、外れやすくなる品種があります。一方、すべてのメロンが同じように外れるわけではありません。日数に達しただけで採らず、購入した品種の収穫サインも確認してください。
収穫するときは実を手で支え、無理に引っ張らず、実の上の柄をハサミで切ります。熟して外れかけた実は落下する前に収穫します。
収穫後に果肉が柔らかくなり、香りが増す品種もあります。丸ごとは直射日光の当たらない場所に置き、香りとお尻側の軽い弾力を目安に食べごろを見ます。追熟で糖度が増すわけではないため、つるに付いている間に十分熟してから採ることが大切です。食べる少し前に冷やし、自分で育てた一玉を切る楽しみを味わってください。
うまく育たないときは?
| 困りごと | 考えられる原因と最初の対応 |
|---|---|
| 苗が伸びない・葉がしおれる | 寒さ、乾燥、過湿による根の傷みなど。まず土の乾きと水たまり、夜の冷え込みを確認する |
| 花が咲くのに実が太らない | 雄花だけの時期や受粉不良が考えられる。膨らみのある花を見分け、次に咲いた朝に授粉する |
| 葉やつるばかり茂る | 肥料過多や混み合いなど。追加の肥料を控え、不要なつるを整理する |
| 実が割れる・傷む | 水分の急変や湿った土との接触など。極端な乾湿差を避け、実の下を覆う |
葉の食害・病気にも注意する
小さな苗ではウリハムシなどの食害が生育に響きます。虫を見つけたら取り除き、被害が続く場合は苗の時期に防虫ネットで覆う方法があります。開花期は授粉作業ができるように開けます。
白い粉をまぶしたような葉はうどんこ病、葉脈に囲まれた角張った斑点はべと病の可能性があります。混み合いを減らし、ひどく傷んだ葉を取り除いてください。水を与えても株全体がしおれ続ける場合は、肥料で立て直そうとせず、株元の傷みや病気を疑います。
薬剤を使う場合は、メロンへの登録と対象の病害虫、収穫前日数・使用回数を製品表示で確認します。
収穫したメロンの保存方法
切ったメロンは種とわたを取り、切り口をラップで覆って冷蔵し、早めに食べ切ります。切った後は常温に置いて追熟させません。
食べ切れない果肉は、皮を外して一口大に切り、重ならないように凍らせてから冷凍用保存袋へ入れます。半解凍でシャーベットのように楽しんだり、スムージーに使ったりできます。
栽培が終わったら
残した実の収穫が終わり、葉が枯れて新しい実を育てる力がなくなったら、つると根を片付けます。雨よけのビニールや敷きマットも回収します。
メロンの後に、キュウリ・スイカ・カボチャなどのウリ科を続けるのは避けます。同じ場所へ戻すまで3年以上あけることを目安にし、病気が出た場所では年数だけで安心しないでください。容器の土も、次のメロンへそのまま続けて使うのは避け、病気が疑われる土は交換します。
補足:容器で育てる場合
容器向け小型ネットメロンの具体例に「ころたん」があります。1株なら直径30cm以上・土容量16L以上の容器がメーカーの目安です。市販の野菜用培養土を使い、長さ150cm以上の丈夫な支柱とネットを倒れないよう固定して、伸びるつるをひもで緩く結びます。日当たりと風通しがよく、雨よけのある場所に置きます。
ころたんは本葉5~6枚のころに4~5枚を残して親づるを摘み、容器では子づるを1~2本残します。各子づるの8枚目までに出る孫づるを取り、9枚目以降の孫づるに実を付ける方法です。先の孫づるは伸ばしておき、全てのつるの先端を一度に摘みません。本文のノーネットメロンとは、この整枝方法を区別してください。
容器は表面の土が乾いたら、底から流れるまで水を与えます。実がピンポン玉ほどになったら形のよいものを1株2~3個残します。実が重くなったらネットの袋などで一玉ずつ受け、丈夫な支えへ結んで落下と枝折れを防ぎます。ころたんの収穫は雌花の開花後55~60日程度で、果皮の黄金色や、へたの周囲にひびが入り、実と柄の境目が離れ始める状態を目安にします。
よりよい生育を目指すなら、植え付けの約2週間後から液肥を取り入れる方法があります。量・薄め方・間隔は使う液肥の容器栽培向け表示に合わせてください。
補足:種から苗を育てる場合
種から育てる場合は発芽に25~30℃程度の温度が必要で、春先は保温できる環境を用意します。育苗期間は約1か月が目安です。
直径9cm程度のポットに種まき用の土を入れ、深さ約1cmに3~4粒まきます。発芽後は本葉1~2枚のころに2本、本葉3枚で1本を残します。本葉3~4枚に育ち、屋外の植え付け条件が整ってから、根を包む土を崩さず植えます。
まとめ
メロンは、苗や栽培方法を選ぶところから楽しみが始まります。露地向けのタイプで基本を押さえ、つるの分岐と実の育ちを見ながら、一玉の収穫を目指してみてください。


