ローズマリーは、細い葉から爽やかな香りを放つ常緑のハーブです。
料理に使う植物として有名ですが、一年中葉を楽しめる庭木として育てたり、鉢植えにしたり、青や紫、ピンク、白などの花を楽しんだりと、さまざまな使い方ができます。
ローズマリーには、上へ伸びる立性、横へ広がったり枝垂れたりするほふく性、その中間となる半ほふく性があり、品種によって庭での使い方がかなり変わります。
我が家には現在、立性のマリンブルーと、ほふく性のプロストラータスがあります。
この記事では、ローズマリーの特徴や育て方に加えて、日本で比較的よく流通している主な品種を、樹高や横への広がりも含めて比較します。
ローズマリーの特徴と基本情報
ローズマリーは、地中海沿岸を原産とするシソ科の常緑低木です。
日当たりと水はけのよい場所を好み、根付けば乾燥には比較的強い一方、長期間土が湿った状態や蒸れを苦手とします。
小さなポット苗で販売されていることが多いですが、品種によっては地植えすると樹高150~200cmほどまで大きくなることがあります。
基本情報・育て方早見表
| 項目 | 内容 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|---|
| ・タイプ | 常緑低木 | ・樹形 | 品種による |
| ・花期 | 秋~春中心※品種次第 | ・花色 | 青・紫・ピンクなど |
| ・日照 | 日なた | ・半日陰 | △ 明るければ育つこともある |
| ・耐暑性 | ◎ | ・耐寒性 | ○~◎ 品種による |
| ・乾燥 | ◎ | ・多湿 | △ 苦手 |
| ・地植え | ◎ | ・鉢植え | ◎ |
| ・植え付け | 春・秋 | ・植え替え | 根詰まりを見ながら |
| ・樹高 | 約30~200cm | ・横幅 | ほふく性や大型種は大きく広がる |
| ・剪定 | 必要に応じて | ・増やし方 | 挿し木など |
| ・利用 | 料理・香り・観賞など | ・栽培難易度 | 比較的育てやすい |
| ・蜜源 | ○ 花に昆虫が訪れる | ・香り | ◎ 葉や枝に強い香り |
ローズマリーの魅力
一年中緑の葉を楽しめる
ローズマリーは常緑なので、花のない時期にも葉を楽しめます。
地植えすれば低木として庭の景観を作ることもでき、鉢植えなら玄関やデッキなど身近な場所で育てられます。
葉の香りを楽しめる
葉や枝に触れると、ローズマリー特有の爽やかな香りが広がります。
料理だけでなく、剪定した枝をクラフトなどに利用できるのも魅力です。
品種によって大きさと樹形がかなり違う
ローズマリーを選ぶときに重要なのが、立性・半ほふく性・ほふく性の違いです。
立性は上へ伸び、ほふく性は枝が横へ伸びたり下へ垂れたりします。
さらに同じ立性でも、大型になる品種と比較的まとまりやすい品種があります。
そのため、購入するときは花色だけでなく、成長後の樹高と横への広がりまで確認することが大切です。
ローズマリーの主な品種
ローズマリーには非常に多くの品種があります。
ここでは珍しい品種まで網羅するのではなく、日本の園芸店や通販で比較的入手しやすく、品種を選ぶ意味が分かりやすい13品種を紹介します。
ローズマリー選びで比較したい13品種
| 品種 | 樹形 | 花色 | 樹高の目安 | 横幅の目安 | 選ぶポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| マリンブルー | 立性 | 青~青紫 | 100~200cm | 100cm前後~ | 丈夫で定番 |
| トスカナブルー | 立性 | 淡い青 | 100~200cm | 100cm前後~ | 料理利用 |
| レックス | 立性 | 青 | 100~200cm | 100cm前後~ | 大きな葉 |
| ミスジェサップ | 立性 | 淡い紫~青紫 | 100~200cm | 100cm前後 | 強健・大型 |
| アープ | 立性 | 淡い紫 | 100~150cm | 100cm前後 | 耐寒性 |
| ベネンデンブルー | 立性 | 淡い青 | 100~200cm | 100cm前後 | 細葉・香り |
| セイレム | 立性 | 濃い青 | 100~150cm | 100cm前後 | 濃い花色 |
| マジョルカピンク | 立性 | ピンク | 100~150cm | 100cm前後 | ピンク花 |
| ホワイト | 立性 | 白 | 100~150cm | 100cm前後 | 白花 |
| ディープブルー | 半ほふく性 | 濃い青紫 | 80~150cm | 100cm前後~ | 濃い花色 |
| モーツァルトブルー | 半ほふく性 | 濃い紫 | 50~200cm | 100cm前後~ | 濃い花 |
| プロストラータス | ほふく性 | 淡い青 | 約30cm | 100cm以上 | 低く広がる |
| サンタバーバラ | ほふく性 | 淡い青~青紫 | 50~100cm | 100cm前後~ | コンパクト |
樹高・横幅は地植えで十分に成長した場合のおおよその目安です。
剪定や栽培環境によって大きさがかなり変わります。
マリンブルー
日本でもよく流通している代表的な立性ローズマリーです。
丈夫で生育旺盛で、青から青紫系の花を咲かせます。
大型になる品種なので、地植えする場合は成長後のスペースも考えておきます。
我が家にある立性ローズマリーもマリンブルーです。
トスカナブルー
料理に使うローズマリーとしても人気のある大型の立性品種です。
葉はやや幅広く、香りがよいことでも知られています。
上方向へ伸びやすく、庭で高さを出したい場合にも向いています。
レックス
大型の立性品種で、幅広く大きな葉が特徴です。
上方向へ強く伸びやすいため、大きな葉を楽しみたい場合や、庭で存在感のあるローズマリーを育てたい場合に候補になります。
ミスジェサップ
立性で大型になるローズマリーです。
比較的細い葉を持ち、香りも楽しめます。
大きく育つ立性ローズマリーを探している場合の選択肢の一つです。
アープ
寒さへの強さで知られる立性品種です。
ローズマリーの中でも耐寒性を重視して選びたい場合に候補になります。
花は淡い紫系で、一般的な濃い青花のローズマリーとは少し違った雰囲気があります。
ベネンデンブルー
細めの葉と淡い青色の花が特徴の立性品種です。
香りのよいローズマリーとしても知られており、一般的な立性タイプとは少し違った葉姿を楽しみたい場合にも候補になります。
セイレム
立性で、濃い青色の花を咲かせます。
マリンブルーやトスカナブルーなどとともに、立性ローズマリーを選ぶときの候補になります。
マジョルカピンク
ローズマリーとしては珍しいピンク系の花を楽しめる品種です。
ローズマリーの花は青紫系が多いため、花色を重視して選びたい場合には分かりやすい選択肢です。
ホワイト
白い花を咲かせるローズマリーです。
こちらも花色で選ぶ品種で、青紫系とは違った明るい雰囲気を楽しめます。
ディープブルー
濃い青紫色の花が魅力の半ほふく性品種です。
上へ伸びるだけでなく横方向にも枝を伸ばします。
ローズマリーの花をしっかり観賞したい人にも面白い品種だと思います。
モーツァルトブルー
濃い紫色の花を楽しめる半ほふく性品種です。
立性とほふく性の中間的な樹形で、上へ伸びながら横方向にも広がります。
花色と樹形の両方を楽しみたい場合に候補になります。
プロストラータス
ほふく性ローズマリーの代表的な品種です。
樹高は30cm程度と低い一方、枝は横へ100cm以上伸びることがあります。
地面がなければ枝が下へ垂れるため、斜面、花壇の縁、高さのある鉢などで樹形を生かせます。
我が家にもある品種です。
サンタバーバラ
こちらも代表的なほふく性ローズマリーです。
高さより横方向への広がりが目立つため、低い位置を覆ったり、花壇や鉢の縁から枝を垂らしたりする使い方に向いています。
どれを選べばよい?
まず定番の立性ローズマリーを育てたいならマリンブルー。
料理にも積極的に利用したいならトスカナブルー。
大型で大きな葉を楽しみたいならレックス。
寒さへの強さを重視するならアープ。
花色を楽しみたいならマジョルカピンク、ホワイト、ディープブルー、モーツァルトブルー。
低く横へ広げたいならプロストラータスやサンタバーバラ。
ローズマリーは、樹形 → 樹高・横幅 → 花色 → 香り・用途
の順番で考えると、自分の庭に合った品種を選びやすいと思います。
ローズマリーの育て方
日当たり・植え場所
ローズマリーは基本的に日当たりのよい場所を好みます。
明るい半日陰でも育つことはありますが、日なたの方が株が充実しやすくなります。
また、日照と同じくらい重要なのが水はけと風通しです。
日照が少なく、土が湿りやすく、さらに風通しも悪い場所は避けた方が安心です。
水やり
ローズマリーは乾燥には比較的強い植物です。
地植えでは、根付いた後は極端な乾燥が続かない限り、頻繁な水やりは必要ありません。
鉢植えでは、土が乾いてからたっぷり水を与えます。
常に土が湿った状態にするのは避けます。
用土
水はけのよい土が向いています。
特に梅雨から夏は、高温と過湿が重ならないよう注意します。
肥料
たくさんの肥料を必要とする植物ではありません。
肥料を増やすことより、まず日当たり、水はけ、風通しのよい環境を作ることを優先します。
剪定
ローズマリーは成長すると枝が混み合ってきます。
混み合った枝を整理して風通しを確保します。
ただし、葉のない古い枝まで一気に強く切り戻すと、芽が出にくいことがあります。
日頃から若い枝を適度に剪定しながら形を整えていく方が管理しやすいです。
挿し木
ローズマリーは挿し木で増やすことができます。
剪定した枝を利用できるので、気に入った品種の予備苗を作っておく方法としても便利です。
植える前に知っておきたいこと
苗の大きさだけで植え場所を決めない
ローズマリーは小さなポット苗で販売されていますが、大型の立性品種では樹高150~200cmほどまで育つことがあります。
横幅も100cmを超えることがあるため「ハーブだから小さいだろう」と考えて植えると、予想以上に場所を取ることがあります。
購入するときは、現在の苗ではなく、成長後の樹高と横幅を確認することが大切です。
ほふく性は高さより横幅を見る
プロストラータスなどのほふく性ローズマリーは、樹高だけを見ると小さな植物に感じます。
しかし、枝は横方向へ大きく伸びます。
ほふく性では「高さ30cmだから小さい」と考えず、横へ広がるためのスペースがあるかまで考えて植え場所を決めます。
ローズマリーの利用方法
料理に使う
ローズマリーは、肉料理やジャガイモ料理などの香り付けによく利用されます。
ただし、観賞用として販売された苗では、使用された農薬などが分からない場合があります。
料理に利用することが目的なら、最初から食用・ハーブ用として販売されている苗を選ぶ方が安心です。
香りを楽しむ
枝や葉に触れるだけでも爽やかな香りが広がります。
人がよく通る場所やデッキなど、生活に近い場所へ置くと香りを楽しみやすくなります。
剪定した枝を利用する
剪定した枝は、料理やクラフトなどに利用できます。
育てながら収穫し、剪定した枝まで利用できるところもローズマリーの魅力です。
ローズマリーと蝶・昆虫
ローズマリーは花を咲かせると、蜜を求めてミツバチなどの昆虫が訪れ、蝶が訪れることもあります。
ただし、ブッドレアやランタナのように、蝶を呼ぶことを主目的に選ぶ代表的な蜜源植物とは少し位置づけが違います。
ローズマリーの場合は、常緑の葉や香り、料理などさまざまな楽しみ方があり、そのうえで花が昆虫にも利用される植物と考えるのが自然だと思います。
我が家のローズマリー
我が家には現在、マリンブルーとプロストラータスがあります。
プロストラータスはネットで購入した苗を、木の下の軽く日が差す場所へ地植えしましたが、枯れてしまいました。
日照不足が原因だったのか、水分や風通しなど別の条件が影響したのかは分かりません。
幸い、植える前に念のため挿し木をしていたので、現在も鉢植えのプロストラータスが残っています。
マリンブルーも鉢植えで、庭のデッキに置いています。
息子がデッキでタバコを吸うため、灰皿の横に置き、ローズマリーの爽やかな香りを楽しんでいます。
ローズマリーのよくある質問・心配
ローズマリーが枯れる原因は何ですか?
過湿、水はけの悪さ、蒸れ、日照不足、根詰まりなどが考えられます。
特に、土が長期間湿った状態には注意します。
半日陰でも育ちますか?
明るい半日陰なら育つことはありますが、基本的には日なたを好みます。
水はけや風通しも重要です。
地植えと鉢植えはどちらがよいですか?
どちらでも育てられます。
大きく育てたいなら地植え、サイズを抑えたい場合や置き場所を変えたい場合は鉢植えが便利です。
ローズマリーはどのくらい大きくなりますか?
品種によってかなり違います。
大型の立性品種では樹高150~200cmほどになることがあり、ほふく性品種では高さを抑えながら横へ100cm以上広がることがあります。
大きくなりすぎないローズマリーはありますか?
品種によって大きさは違いますが、ローズマリーは剪定によってある程度サイズを調整できます。
大型の立性品種を避ける方法もありますが、ほふく性でも横へ大きく広がるため、樹高だけでなく横幅も確認して選ぶことが大切です。
立性とほふく性はどちらがおすすめですか?
上へ育てて低木のように楽しみたいなら立性、斜面や花壇の縁、高い鉢から枝を垂らしたいならほふく性が向いています。
プロストラータスはグランドカバーにできますか?
低く横へ広がるため、グランドカバーとして利用できます。
ただし、芝生のように踏んで利用する植物ではなく、斜面や花壇の縁などで枝を広げて楽しむ使い方に向いています。
ローズマリーは挿し木できますか?
できます。剪定した枝を利用して増やせるので、気に入った品種の予備苗を作る方法としても使えます。
木質化したローズマリーは元に戻りますか?
木質化は、低木であるローズマリーの自然な成長です。
葉のない古い枝まで強く切り戻すより、普段から若い枝を適度に剪定して形を整える方が管理しやすくなります。
花が咲かないのはなぜですか?
株がまだ若い、日照不足、肥料の与えすぎ、剪定のタイミングなどが考えられます。
まずは日照などの栽培環境を確認します。
ローズマリーは一年中収穫できますか?
常緑なので、必要な分を少しずつ収穫できます。
一度に大量の枝を切らず、株の大きさに合わせて収穫します。
園芸店で買ったローズマリーは料理に使えますか?
観賞用として販売された苗では、使用された農薬などが分からない場合があります。
食べることが目的なら、食用・ハーブ用として販売されている苗を選ぶ方が安心です。
ローズマリーは虫よけになりますか?
ローズマリーには強い香りがありますが、庭に植えておくだけで蚊や害虫がいなくなるほどの効果を期待するのは難しいと思います。
虫よけだけを目的にするより、香りを楽しめるハーブとして考えた方がよいでしょう。
ローズマリーに蝶は来ますか?
花の蜜を利用する昆虫が訪れ、蝶が訪れることもあります。
ただし、蝶を呼ぶことが第一目的なら、より代表的な蜜源植物と組み合わせる方がよいと思います。
まとめ
ローズマリーは、一年中楽しめる常緑の葉、爽やかな香り、小さな花が魅力のハーブです。
一口にローズマリーといっても品種による違いは大きく、樹高150~200cmほどまで育つ立性品種から、高さを抑えながら横へ100cm以上広がるほふく性品種まであります。
そのため、品種を選ぶときは、樹形 → 樹高・横幅 → 花色 → 香り・用途
の順番で考えると、自分の庭に合ったローズマリーを選びやすくなります。
料理に使う、香りを楽しむ、花を見る、庭の景観に取り入れる。
ローズマリーは用途が幅広く、どの品種を、どこに植えて、どんな姿に育てるかを考えること自体も楽しめる植物だと思います。

