サツマイモは、春から初夏につる苗を植え、秋に土の中のイモを掘り上げる野菜です。夏につるや葉が広がり、収穫では土の下から大小のイモが現れる楽しみがあります。焼きイモや天ぷら、サツマイモご飯など、使い道が多いのも魅力です。
根付いた後の地植えは水やりの負担を抑えやすい一方、秋まで場所を使い、つるが周囲へ広がります。庭の一角でも深型プランターでも育てられますが、植える場所とつるを伸ばす場所を合わせて考えておきましょう。
栽培の特徴
- 期間:春から初夏に植え、秋まで場所を使う
- 管理:根付くまでの水やりとつるの整理が要点
- 収穫:秋に株ごと掘り、まとめて収穫を楽しむ
ガーデンネストの家庭菜園
ガーデンネストでは、無理なく野菜を育て、栽培から収穫まで楽しむことを大切にしています。この記事では、できるだけ手間をかけずに育てられるよう、基本は必要な作業に絞り、より本格的に育てたい方に向けた工夫も紹介します。
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サツマイモはつる苗から始めよう
食べるイモは、茎ではなく根が太った部分です。栽培では、つるを切り取った「つる苗(切り苗・挿し穂)」を土に挿し、節から根を出させて育てます。この記事では、購入したつる苗を使う方法を基本に紹介します。
長さ25~30cm程度で、茎がしっかりし、葉が元気な苗を選びます。根が付いていなくても植えられます。茎の根元が黒いものや腐ったものは使わず、購入時に消毒済みか確認しましょう。未消毒なら、販売店や地域の農業相談窓口で基腐病対策の苗消毒について確認してから植えます。
ポット苗には、つるを伸ばして切り苗を採るための親株もあります。すぐに植えられる苗か、採苗用の親株かを購入時に確認すると迷いません。
品種は食感の好みで選ぶ
ホクホクした食感が好みなら「ベニアズマ」、しっとり・ねっとりした焼きイモが好みなら「べにはるか」が候補になります。同じ品種でも、収穫後の貯蔵期間や加熱方法で食感と甘さは変わります。
苗の束売りでは、育てられる本数を超えて買わないことも大切です。少数栽培では、必要本数を購入できる販売単位を選びましょう。
サツマイモの栽培カレンダーと基本情報

日本の一般地・中間地を想定した目安です。植え付けは5月中旬~6月中旬、収穫は10月上旬~11月中旬を基本に、地域の初霜より前に掘り終えます。寒冷地や暖地では適期が変わります。
| 項目 | 目安・条件 |
|---|---|
| 科名 | ヒルガオ科 |
| 始め方 | 購入したつる苗を植える |
| 植え付け | 5月中旬~6月中旬。遅霜の心配がなく、十分暖かくなってから |
| 収穫 | 10月上旬~11月中旬。初霜前に終了 |
| 収穫まで | 植え付け後120~140日程度が試し掘りの目安。品種・天候で変わる |
| 栽培場所 | 日当たりと水はけのよい庭の一角・深型プランター |
| 地植えの株間 | 30~35cm程度 |
| 容器の一例 | 幅約65×奥行約45×高さ約38cmの深型プランターに2株 |
| 植え方 | 茎を斜めに挿し、3~4節を土に埋める。葉と先端は地上へ |
| 主な管理 | 根付くまでの水やり、初期の除草、つるの整理 |
収穫期間は、一株から少しずつ長く採り続ける期間ではありません。植えた時期や品種に合わせ、株ごと掘り上げる時期の幅です。
植える場所と土を整える
庭では日当たりと水はけを優先する
土をほぐして石や大きな根を取り除き、植える列に沿って土を盛ります。高さ20~30cm程度の盛り土にすると、根が広がりやすく、雨の後の過湿も避けやすくなります。雨水が長くたまる場所は避けましょう。
つるは植えた列の外へも伸びます。通路や隣の植物を覆わないよう、空いている側へ伸ばせる場所を選びます。少数栽培でも、苗の株間だけで必要な広さを判断しないことが大切です。
サツマイモは酸性寄りの土でも育つため、苦土石灰を一律に加える必要はありません。市販の野菜用培養土は、石灰を追加せずに使えます。
プランターは土が多く入る深型を使う
容器では土の中にイモが育つ空間を確保します。幅約65×奥行約45×高さ約38cmの深型プランターに2株が一例です。中央の列に約30cm間隔で植え、茎の下にも土が残るようにします。
市販の野菜用培養土を使い、水やりの水があふれないよう、縁より少し下まで入れます。底の排水穴をふさがず、受け皿に水をためないようにしましょう。容器の外につるを伸ばす余地も必要です。
よりよく育てる工夫|肥料は控えめに
庭では、肥料を追加せずに育てることもできます。よりよい生育や収穫を目指すなら、植え付け前にイモ類向けの肥料を少量混ぜる方法があります。元肥入りの野菜用培養土なら、新たな元肥は加えずに始められます。
窒素肥料が多いと、つるや葉ばかり茂ってイモが太りにくい「つるぼけ」の原因になります。追肥は通常行わず、肥料を使う場合はサツマイモ向けの使用量を守ります。
土の通気性を整えたい場合は、植え付けの1か月以上前に完熟堆肥を混ぜる工夫もあります。植える直前に堆肥を足すことや、未熟な堆肥の使用は避けます。
つる苗を植え付ける
植え付けは、暑い日中を避け、曇りの日や夕方に行うと苗が乾きにくくなります。苗がしおれていたら、切り口を水につけて吸水させてから植えましょう。
- 土が乾いていれば、あらかじめ水を与えて湿らせる。
- 庭では30~35cm程度の間隔を取り、茎を斜めに挿せる穴をあける。
- 葉の付け根にある茎の節を確認し、切り口側の3~4節を土の中へ入れる。
- 葉の広い部分とつるの先端は地上に出し、茎の周りの土を軽く押さえる。
- 株元へたっぷり水を与える。

図は3節を埋めた例です。
黒いマルチを使うと、植え付け初期の保温や乾燥防止、除草の軽減に役立ちます。必須ではなく、使わない場合はつるが地面を覆うまで雑草を取り、株元の土が崩れたら寄せて整えます。
根付いてから秋までの管理
水やりは植え付け直後を丁寧に
植え付け後1週間ほどは、まだ根が十分に出ていません。土の表面が乾いたら水を与え、苗が根付くまで乾かしすぎないようにします。先端が起き上がり、新しい葉が動き始めれば、根付きが進んだ目安です。
根付いた後の地植えは、通常は雨を利用し、日照りが続いて朝も葉がしおれる場合に水を補います。プランターは乾きやすいため、土の表面が乾いたら底から流れるまで水を与えます。暑い日の昼だけのしおれで決めず、朝の葉と土の乾きを確認しましょう。
つるは切り詰めず、伸ばす方向を整える
夏になると、葉が重なりながらつるが広がります。通路やほかの植物へ伸びたつるは、折らないよう持ち上げ、空いている方向へ移します。葉はイモを太らせるために働くので、場所からはみ出すたびに大きく刈り込む管理は避けましょう。
地面に根付いたつるを持ち上げる「つる返し」は、通常の品種で定期的に行う必須作業ではありません。つるを移す必要があるときに整理すればよく、株元まで引き抜かないようにします。
サツマイモがうまく育たないときは?
| 気になる状態 | 確認と対処 |
|---|---|
| 植えた苗がしおれる | 植え付け直後は一時的にしおれることがある。土が乾いていれば水を与える。茎まで黒く腐るものは別に確認する |
| 葉ばかり茂り、イモが小さい | 日照不足、過湿、肥料の多さなどが原因候補。追加の肥料や強い刈り込みを避け、収穫期に試し掘りする |
| 夏に葉が黄ばみ、生育が弱い | まず乾燥や水のたまりを確認。水分を整えても改善せず、茎に黒変がなければ、少量のイモ類向け肥料を補う方法がある |
| 葉に大きな穴が開く | ヨトウムシ類やエビガラスズメの幼虫などを探し、見つけたら取り除く。葉裏や株元も確認する |
株元が黒くなり、株が枯れる場合
茎の地際が黒~暗褐色になり、葉が黄変してしおれる場合は、基腐病などの疑いがあります。見た目だけで病名を決めず、地域の農業相談窓口へ相談してください。病気の疑いがあるつるやイモは、苗づくりや堆肥に回さないようにします。
秋になったら試し掘りして収穫する
日数とイモの大きさを合わせて判断する
植え付けから120~140日程度を一つの目安に、収穫期に入ったら一株を試し掘りします。葉が黄色くなることも目安になりますが、青い葉が残っていてもイモが育っている場合があります。
株元の周囲を掘って、使いやすい大きさまで太っているか確認しましょう。まだ小さければ、残りの株は霜が来る前まで育てます。苗の購入日ではなく、実際に植えた日を控えておくと収穫を考えやすくなります。
遅くまで置きすぎると、イモの形や品質が悪くなることがあります。霜に当てると保存性も落ちるため、葉がすべて枯れるまで待つ必要はありません。
イモを傷つけずに掘り上げる
土が乾きやすい晴天の日を選びます。つるを株元で切り、庭では株から30~40cmほど離れた外側から土を崩して近づきます。イモが見えたら手で周囲の土を除き、つながりを確かめながら掘り上げます。
プランターでも、茎だけを強く引っ張らず、周囲の土を少しずつ取り除きます。皮が薄く傷つきやすいので、スコップをイモの近くへ突き刺さないようにしましょう。
収穫量は品種や土量、日当たりで変わります。掘るまで分からない形や大きさを楽しみつつ、傷のあるイモと保存に回すイモを分けておきます。
収穫後の保存と食べ方
掘ったイモは表面を乾かし、土を軽く落として、洗わずに保存します。傷や折れのあるものは長期保存に回さず、傷みがないうちに早めに調理します。
健全なイモは、寒すぎず風通しのある日陰で2~3週間置くと、収穫直後より甘みが増します。掘りたてと少し置いたものを、同じ調理法で食べ比べるのも楽しみ方の一つです。
その後は新聞紙などで包み、密閉しない箱に入れ、13~15℃程度を目安に保存します。10℃以下になる場所や冷蔵庫は避け、暖房の熱風や直射日光も当てないようにしましょう。家庭では温湿度が一定になりにくいため、ときどき状態を確認し、傷みが出る前に使い切ります。
焼きイモ、蒸しイモのほか、天ぷらや味噌汁、サツマイモご飯にも使えます。カビや腐敗、異臭のあるものは食べないでください。
栽培が終わったら|片付けと次の作付け
残ったつるや細い根、掘り残したイモを取り除きます。病気の疑いがある残さは土へ戻さず、相談先の案内に従って処分しましょう。
サツマイモは連作障害が出にくい野菜ですが、毎年同じ場所で育てると土壌病害虫が増えることがあります。できるだけ別の場所へ移し、同じヒルガオ科のエンツァイ(空芯菜)も続けないようにします。病気が出た場所では、年数だけで再開を決めず、病名に応じた輪作と処置を相談してください。
容器の土は毎回すべて捨てる必要はありません。病気がなければ残った根を取り、固まりをほぐして水はけを整え、次の野菜に合わせて利用できます。次作は栽培場所の日当たりと植えられる時期に合わせて選びます。
まとめ|つるを伸ばす場所を決め、秋のイモ掘りを楽しもう
サツマイモは、健全なつる苗を暖かくなってから植え、根付くまでの水を切らさないことが出発点です。夏はつるの伸びる方向を整え、秋は試し掘りで育ち具合を確かめます。
長く場所を使う野菜ですが、その先にはイモ掘りと、保存しながら味わう楽しみがあります。庭や容器の広さに合う本数から始めてみましょう。


