庭に植物を植えようと思ったとき
「今ある土にそのまま植えて大丈夫?」
「腐葉土や堆肥は入れた方がいい?」
「庭の土を全部入れ替えた方がいい?」
と迷うことがあります。
ホームセンターへ行くと、培養土、腐葉土、堆肥、石灰、さまざまな土壌改良材が並んでいるので、何を使えばよいのか分からなくなるかもしれません。
でも、庭の土づくりは、今ある土をすべて捨てて「理想の土」に入れ替えることではありません。
まず現在の土を見て、そのまま使えそうなのか、少し改善した方がよいのか、水はけなど別の対策が必要なのかを考えます。
この記事では、初めて庭へ植物を植える方に向けて、庭土の基本的な考え方と、必要に応じて土を改善する方法を紹介します。
庭の土は、そのまま使えることもある
植物を庭へ植えるからといって、必ず大がかりな土づくりが必要なわけではありません。
スコップが入り、土が極端に硬く締まっておらず、雨のあとにいつまでも水が残るような場所でなければ、今ある庭土を生かして植えられることもあります。
一方で、土が硬く締まっている、粘りが強い、砂っぽくてすぐ乾く、石が多い、といった場合は、植物の根が伸びやすい状態に整えることを考えます。
まずは次の3つに分けて考えてみましょう。
大きな問題がなさそう
→ 今ある庭土を生かす
少し改善した方がよさそう
→ 必要な範囲を土壌改良する
水がなかなか引かない、極端に乾きやすいなどの問題がある
→ 原因を確認してから対策を考える

庭づくりを始める前に確認したい土の硬さ、水はけ、粘り気などについては、「庭づくりを始める前の環境チェック」でも紹介しています。
→ 庭づくりを始める前の環境チェック|日当たり・水はけ・風・土など何を見る?
土づくりは「何を混ぜるか」より「何を改善したいか」
土づくりというと「腐葉土を入れる」「堆肥を混ぜる」といった作業を思い浮かべるかもしれません。
でも、その前に考えたいのが、今の土の何を改善したいのかです。
たとえば、硬く締まった土なら、植物の根が伸びやすく、空気や水が通りやすい状態に整える必要があります。
反対に、水が抜けやすく乾燥しやすい土なら、水分をある程度保てる状態に近づけたい場合もあります。
同じ「土づくり」でも、もとの土によって必要なことは違います。
そのため「何を混ぜればいい?」ではなく「今の土の何を改善したい?」と考えることが、土づくりの出発点になります。
庭土を改善するときに使う主な資材
庭土を改善するときには、腐葉土や堆肥などの資材を使うことがあります。
ただし、どれも「入れておけば必ずよくなる」というものではありません。
それぞれの役割を簡単に知っておきましょう。
腐葉土
腐葉土は、落ち葉などを腐熟させたものです。
庭土に混ぜることで有機物を補い、硬い土をほぐしやすくしたり、通気性や水持ちなどを改善したりするために使われます。
庭土そのものを腐葉土へ置き換えるのではなく、今ある土へ混ぜて使います。
堆肥
堆肥も、土に有機物を補い、土の状態を整えるために使われます。
ただし「堆肥」といっても原料や製品によって性質は同じではありません。
牛ふん堆肥などには肥料成分も含まれており、その量も製品によって違います。
そのため、堆肥を土壌改良に使う場合でも「たくさん入れればよい」とは考えず、製品の表示や使用量を確認して使いましょう。
そのほかの土壌改良材
土の状態によっては、パーライトなどの土壌改良材を使うこともあります。
ホームセンターにはさまざまな資材がありますが、初心者のうちからすべてを使い分ける必要はありません。
まず現在の庭土の状態を確認し、改善したい目的に合ったものを必要な量だけ使うと考えると分かりやすいでしょう。
また、市販の培養土には、植物を育てやすいように複数の用土や肥料などが配合されているものがあります。
庭植えだからといって、今ある土をすべて取り除いて培養土へ入れ替える必要はありません。
製品によっては庭土の改良に利用できるものもあるため、用途や使用方法を確認して使います。
「腐葉土を○割、堆肥を○割入れれば、どんな庭でもよい土になる」という万能な配合があるわけではありません。
もとの土や植える植物、使用する資材に合わせて考えましょう。
どこまで土づくりすればいい?
土づくりというと、庭全体を掘り返さなければならないように感じるかもしれません。
しかし、庭全体を一度に改良する必要はありません。
すでにある庭へ1株を追加するのであれば、まず植える場所を中心に必要な範囲を整えます。
一方、何も植わっていない場所を新しく花壇にするのであれば、これから植物を植える範囲をまとめて耕し、土を整える方法があります。
土を耕したときに、大きな石や古い根、植物の生育を妨げそうな異物などが出てきた場合は、取り除いておきます。
草花を植える一般的な花壇では、20~30cm程度の深さまで土を耕して土壌改良材などを混ぜる方法もありますが、これはあくまで一つの目安です。
必要な深さや範囲は、植える植物や現在の土の状態によっても変わります。
「必ず○cm掘る」と覚えるより、これから植物の根が伸びる範囲の土を整えると考えると分かりやすいでしょう。

実際にポット苗を植えるときの植え穴や植え付け高さ、根鉢の扱いなどについては「庭植えの基本」で紹介しています。
→ 庭植えの基本|ポット苗を庭に植える手順を初心者向けに解説
土づくりだけでは解決しないこともある
庭の状態によっては、腐葉土や堆肥などを混ぜるだけでは解決しないこともあります。
水はけが悪い場所
雨が降ったあと、なかなか水が引かない場合は、土が粘りやすいことだけが原因とは限りません。
地面が周囲より低くなっていたり、土の下に硬い層があったり、水の逃げ道そのものがなかったりすることもあります。
このような場所では、植えるところだけに土壌改良材を混ぜても、根本的な原因が残っていれば十分な改善にならないことがあります。
まず、雨のあとにどのくらい水が残るのか、周囲から水が集まっていないかなどを確認してみましょう。
乾きやすい場所
反対に、土がすぐ乾く場所もあります。
砂っぽい土など、土そのものが乾きやすい場合もありますが、軒下で雨が届きにくい、大きな庭木の根が水分を吸っている、風がよく通るといったことが原因になる場合もあります。
そのため「乾くから保水性の高い土をたくさん混ぜればよい」と決める前に、なぜ乾きやすいのかを確認することが大切です。
土づくりで気を付けたいこと
土をよくしようとして、さまざまな資材をたくさん入れればよいわけではありません。
石灰やpH調整は毎回必要ではない
土づくりの方法を調べると「苦土石灰をまく」という作業を見かけることがあります。
石灰資材は、酸性に傾いた土のpHを調整するときなどに使われます。
ただし、庭の土づくりをするたびに、必ず石灰を入れなければならないわけではありません。
植物によって適したpHは異なりますし、現在の土の状態によっても必要性は変わります。
気になる場合は市販の測定用品などでpHを確認し、育てる植物に合わせて必要な場合に調整しましょう。
土壌改良材と肥料は同じではない
大まかに考えると、土壌改良材は植物の根が育ちやすいように土の状態を整えるために使い、肥料は植物の生育に必要な養分を補うために使います。
ただし、堆肥のように土づくりに利用されながら肥料成分も含んでいるものがあります。
そのため、土壌改良材と肥料をすべて別々に足していけばよいわけではありません。
入れすぎにも注意する
腐葉土や堆肥、肥料などは、多ければ多いほど植物によいわけではありません。
必要以上の堆肥や肥料を加えれば、土の養分バランスを崩すことがあります。
石灰資材についても、必要かどうかを確認せずに毎回加えるものではありません。
土づくりの目的は「理想の土」をつくることではなく、その場所で植物の根が育ちやすい環境を整えることです。
今ある土を生かせるところは生かし、必要なところだけ改善していきましょう。
植物によって好む土は違う
ここまで庭土の基本的な考え方を紹介してきましたが、すべての植物が同じ土を好むわけではありません。
水はけのよい土を好む植物もあれば、ある程度湿り気のある場所を好む植物もあります。
また、適したpHなども植物によって異なります。
実際に植える植物が決まったら、その植物がどのような土を好むのかも確認してみてください。
ガーデンネストの植物詳細記事でも、それぞれの植物に合った植え場所や土の条件を紹介していきます。
土が整ったら、植物を植えてみよう
植える場所の土を確認し、必要な土づくりができたら、次は実際に苗を植えていきます。
ポット苗を庭へ植えるときには、根鉢の状態や植え付ける高さなど、土づくりとは別に確認したいポイントがあります。
実際の植え付け手順については「庭植えの基本」で順番に紹介しています。
→ 庭植えの基本|ポット苗を庭に植える手順を初心者向けに解説
土づくりも、最初に一度行えばそれで終わりというわけではありません。
植物を育てているうちに土の状態も少しずつ変わります。
植え替えや新しく植物を加える機会などに土の状態を見て、必要であれば再び整えていけば十分です。
庭の土づくりでよくある質問
庭の土は全部入れ替えた方がいいですか?
必ずしも全部入れ替える必要はありません。
スコップが入り、極端に固くなく、雨のあとも水が長く残らないようなら、今ある庭土を生かせることもあります。
土をすべて新しくするのではなく、まず現在の状態を確認し、必要な場所だけ改善するところから考えてみましょう。
土が固いときは、腐葉土を混ぜれば大丈夫ですか?
腐葉土などの有機物を混ぜることで、土の通気性や保水性などの改善が期待できます。
ただし、非常に固い粘土質の土や、下の層まで締め固められている場所では、腐葉土を混ぜるだけで解決するとは限りません。
特に雨のあとに水が長く残る場合は、土そのものだけでなく、水が抜ける場所があるかどうかも確認する必要があります。
腐葉土と堆肥は両方入れた方がいいですか?
必ず両方を入れる必要はありません。
腐葉土や堆肥にはそれぞれ特徴があり、製品によっても性質が異なります。
「土づくりだから、とりあえずいろいろ混ぜる」のではなく、今の土の何を改善したいのかを考えて選ぶことが大切です。
土づくりのときは石灰も必ず入れますか?
石灰は、土づくりのたびに必ず入れるものではありません。
石灰には土のpHを調整する目的などがありますが、必要以上に使えば土がアルカリ性に傾くこともあります。
「庭土は酸性になりやすいから、とりあえず石灰を入れる」と考えるのではなく、育てる植物や現在の土の状態に応じて判断しましょう。
土壌改良材を入れたら、肥料はいらないですか?
土壌改良と施肥は、基本的には目的が異なります。
土壌改良材は、土の通気性や保水性などを整えて根が育ちやすい環境をつくるために使います。
一方、肥料は植物の生育に必要な養分を補うために使います。
ただし、堆肥などの中には肥料成分を含むものもあります。
使用する資材や肥料の表示を確認し、必要以上に重ねて使わないようにしましょう。
庭土に石が混じっています。全部取り除いた方がいいですか?
小さな石まで完全に取り除く必要はありません。
ただし、植え穴を掘るときに邪魔になる大きな石や、根が伸びるのを妨げそうなものは取り除いておくと作業しやすくなります。
庭全体の石をすべて取り除こうとすると大仕事になります。
植物を植える場所から、必要な範囲を少しずつ整えていけば十分です。
土づくりが難しそうです。もっと簡単に始めても大丈夫ですか?
大丈夫です。
ここまで土づくりの基本を紹介してきましたが、最初からすべてを理解して、完璧な土をつくる必要はありません。
鉢やプランターで始めるなら、ホームセンターなどで売られている植物に合った培養土を使えば、初心者でも気軽に始められます。
庭に植える場合も、今ある土に大きな問題がなければ、庭全体の土を入れ替える必要はありません。
植える場所を中心に土をほぐし、必要に応じて土壌改良材などを使って整えるところから始めれば十分です。
土づくりを難しく考えすぎて、ガーデニングや家庭菜園を始めるのをためらう必要はありません。
まずは小さな花壇や鉢・プランターなど、無理なく管理できる範囲から始めてみましょう。
育てながら自分の庭の土の特徴が分かってきたら、そのとき必要な改善をしていけば大丈夫です。
まとめ|今ある土を見て、必要なところから整えよう
庭の土づくりでは、最初から理想の土をつくろうとする必要はありません。
まずは今ある土の状態を確認し、大きな問題がなければその土を生かします。
固すぎる、粘りやすい、乾きやすいなど気になる点があれば、必要な範囲だけ改善していきましょう。
腐葉土や堆肥などの資材も「土づくりだからとりあえず入れる」のではなく、何を改善したいのかを考えて選ぶことが大切です。
また、水がなかなか引かない、極端に乾きやすいといった問題は、土壌改良材を混ぜるだけでは解決しないこともあります。
その場合は、原因を確認してから対策を考えます。
土づくりを難しく考えすぎて、ガーデニングや家庭菜園を始めるのをためらう必要はありません。
庭なら、まずは植えたい場所から必要なところだけ整える。
鉢やプランターなら、市販の培養土を使って小さく始める方法もあります。
最初から完璧を目指さず、植物を育てながら自分の庭の土を知り、必要になったときに少しずつ整えていけば大丈夫です。
庭づくりガイド
庭づくりをこれから始める方や、基本から確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
初めての庭づくりロードマップ
庭づくりで何を考え、どんな順番で進めればよいかをまとめています。
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