庭づくりを始めようとすると「花壇はどこにつくろう?」「小道はどこを通そう?」「庭木はどこに植えよう?」と、配置で迷うことがあります。
植えたい植物や置きたいものから考え始めると、それぞれはよくても、庭全体では使いにくくなってしまうかもしれません。
そこで、植物や設備を細かく決める前に考えておきたいのが、庭のゾーニングです。
ゾーニングというと少し難しそうですが、専門的な図面をつくる必要はありません。
紙に家と庭の形を大まかに描き「ここは植物を植える場所」「ここは歩く場所」「ここは庭で過ごす場所」というように、庭の使い方を考えていくだけでも十分です。
ゾーニングを考えるときに材料になるのが、庭の環境と「どんな庭にしたいか」という希望です。
日当たりがよいから花壇にする、と一つの条件だけで決めるのではなく、普段どこを歩くのか、庭で何をしたいのか、室内からどう見えるのかなども組み合わせて考えていきます。
この記事では、庭の環境と自分がやりたいことをもとに「庭のどこを何に使うか」を大まかに整理する方法を紹介します。
庭のゾーニングとは?まず「どこを何に使うか」を考えよう
庭のゾーニングとは、庭を使い方や役割によって大まかに分けることです。
たとえば
- 植物を楽しむ場所
- 人が歩く場所
- 椅子やテーブルを置いてくつろぐ場所
- 自由に使える広場
- 家庭菜園をする場所
- 目隠しや背景として緑を配置する場所
などに分けて考えます。
それぞれを完全に区切る必要はありません。
歩く場所の両側に植物を植えたり、くつろぐ場所から植栽を眺めたりするように、それぞれの場所はつながっています。
ここで大切なのは、最初から「この植物をどこに植えよう?」と考えるのではなく、まず「この場所を何に使おう?」と考えることです。
庭の環境と自分がしたいことを整理し、庭の大まかな使い方を決めてから、花壇の形や植える植物などを考えていきます。
STEP1|庭の見取り図を用意する
まず、ゾーニングを考えるための簡単な見取り図を用意します。
「庭づくりを始める前の環境チェック」の記事で見取り図を作った方は、その図をそのまま使えます。
当記事から読み始めた場合は、紙に家と庭の形を大まかに描いてみましょう。
家、庭の外周、庭への出入口、窓、物置、立水栓、既存の大きな庭木など、簡単には動かせないものが分かれば十分です。
庭の大きさが分かっていれば、おおよその寸法も書いておくと配置を考えやすくなりますが、最初から正確な縮尺で描く必要はありません。
きれいな図面をつくることが目的ではありません。
庭のどこに何があるのかを、一枚の紙の上で確認できる状態にすることが目的です。
STEP2|環境チェックの結果を確認する
次に、庭の環境を確認します。
「庭づくりを始める前の環境チェック」の記事で環境チェックをした方は、そこで確認した内容や見取り図をそのまま使いましょう。
日当たりや水はけ、風、土、既存の植物、建物や設備、高低差、現在の動線などは、これから「庭のどこを何に使うか」を考えるための材料になります。
ここで注意したいのは「日当たりがよい場所」「水が残りやすい場所」「風が強い場所」などは、それ自体がゾーンではないということです。
庭の環境はゾーニングを考えるための条件であり、ゾーニングではその条件をもとに「この場所を何に使うか」を考えます。
まだ庭の環境を確認していない場合は、先にこちらの記事でチェックしてみてください。
→ 庭づくりを始める前の環境チェック|日当たり・水はけ・風・土など何を見る?
STEP3|どんな庭にしたいか、やりたいことを書き出す
庭の環境を確認したら、次は「この庭で何をしたいのか」を考えてみましょう。
「初めての庭づくりロードマップ」の記事のSTEP2で「どんな庭にしたいか」を考えた方は、そこで思い浮かべたことを使います。
たとえば
- 花や緑を楽しみたい
- 家庭菜園をしたい
- 椅子やテーブルを置いてくつろぎたい
- 庭を歩きながら植物を楽しみたい
- 室内から花や緑を眺めたい
- 目隠しになる緑がほしい
- 自由に使えるスペースを残したい
などです。
ここでは、まだ細かな配置まで決める必要はありません。
まず「この庭で何をしたいのか」を並べ、そのあとで「それをどこでするのがよいか」を考えていきます。
やりたいことがたくさんある場合は「ぜひ取り入れたい」「できれば取り入れたい」というように、簡単に優先順位をつけておくと考えやすくなります。
庭の広さには限りがあるため、すべてを無理に入れる必要はありません。
庭全体の使い方がまだ決まらなければ、まず「ここはくつろぐ場所にしたい」など、優先したい場所や用途から考えても大丈夫です。
ここまでで
庭の環境 + どんな庭にしたいか、庭で何をしたいか →どこを何に使うか考える
というゾーニングの材料がそろいます。
庭の条件だけで配置を決めるのでも、やりたいことだけで決めるのでもありません。
その二つを組み合わせることが、ゾーニングの出発点です。
STEP4|現在の動線をもとに、これからの動線を考える
「庭づくりを始める前の環境チェック」の記事では、現在よく歩いている場所や、庭がどのように使われているかも確認しました。
ここでは、それをもとに、これからつくる庭ではどこを通るのかを考えてみましょう。
庭での動線とは、人が移動する経路のことです。
現在よく通っている場所を、そのまま通路として残した方が使いやすいこともあります。
一方で、これから家庭菜園やくつろぐ場所をつくるなら、そこへ行きやすい新しい動線が必要になることもあります。
たとえば
- 家から庭へ出る
- 玄関から庭へ回る
- 物置や立水栓へ行く
- 家庭菜園へ収穫に行く
- くつろぐ場所へ行く
- 庭の奥まで植物を見に行く
といった移動を考えてみます。
見取り図に、これからよく歩きそうな経路を線や矢印で書き込んでみましょう。
この段階では、小道の形や素材を決める必要はありません。
まず確認したいのは、庭を使うときに、人が自然にどこを通るのかということです。
植物が育てやすそうな場所でも、毎日のように通る重要な動線なら、植栽スペースにせず通路として残すことがあります。
反対に、ほとんど通らない場所まで広い通路にする必要はないかもしれません。
庭の環境だけでなく、人の動きも配置を決める大切な条件になります。
STEP5|庭を用途ごとのゾーンに分ける
ここまでで、庭の環境、庭でしたいこと、これからの動線が見えてきました。
いよいよ、それらをもとに「庭のどこを何に使うか」を大まかに分けてみましょう。
たとえば
- 花や庭木などを楽しむ植栽ゾーン
- 生垣などで目隠しや背景をつくるゾーン
- 芝生など自由に使える広場・多目的スペース
- 人がよく通る動線ゾーン
- 椅子やテーブルを置くくつろぎゾーン
といった分け方が考えられます。
庭によっては、家庭菜園のための場所を設けてもよいでしょう。
ただし、これらをすべての庭につくる必要はありません。
庭の広さや環境、そこで何をしたいのかによって、必要なゾーンは変わります。
また、それぞれを完全に切り離して考える必要もありません。
くつろぎゾーンから植栽を眺めたり、動線の両側に植物を配置したりするように、複数のゾーンをつなげて楽しむこともできます。
ここで大切なのは、環境がよい場所をすべて植栽に使う必要はないということです。
たとえば、日当たりのよい場所でも、庭で過ごしたり自由に使ったりしたいなら、広場やくつろぎスペースとして残すことができます。
反対に、植物が育てやすそうな場所でも、そこが重要な動線なら通路として残すことがあります。
その場所の環境と、そこで何をしたいのか。その両方を組み合わせて用途を決めることがポイントです。
また、植栽ゾーンを広くすれば、その分だけ手入れする場所も増えます。
どこまで植物を植えるかは、このあとの「無理なく管理できる量を考える」という段階でも調整していきましょう。
最初から花壇の細かな形や小道の素材、植える植物まで決める必要はありません。
まずは紙の上で「植栽」「広場」「動線」「くつろぎ」などと大まかに分けられれば十分です。

この図は「庭づくりを始める前の環境チェック」の記事で環境を確認したのと同じ架空の庭を、今度は「どこを何に使うか」という視点でゾーニングした例です。
午前・午後の日当たりや風などの情報も残していますが、これらはゾーンではありません。
庭の使い方を考えるために確認した環境条件です。
図の例では、植栽ゾーンのほか、目隠し・背景ゾーン、広場ゾーン、動線ゾーン、くつろぎゾーンなどに分けています。
これは一つの例であり、同じように分ける必要はありません。
「庭づくりを始める前の環境チェック」の記事で庭を観察し、そこで分かったことに「こんな庭にしたい」という希望を重ねると、このように庭の使い方へつなげて考えることができます。
STEP6|室内から庭がどう見えるか確認する
庭を大まかにゾーニングしたら、庭の中だけでなく、室内からどう見えるかも確認してみましょう。
庭は、外に出ているときだけ楽しむものではありません。
リビングやダイニングなど、普段よく過ごす場所から庭を眺めることもあります。
窓の前に立って
- 普段過ごす場所から庭のどこがよく見えるか
- 花や緑を見せたい場所が見えているか
- 物置や室外機など、あまり目立たせたくないものが気にならないか
- 庭木などが大きくなったときに、窓からの景色を大きく遮らないか
などを確認してみましょう。
たとえば、室内からよく見える場所を植栽ゾーンにしたり、物置などが気になる場所に目隠し・背景ゾーンを設けたりすることも考えられます。
一方で、庭へ出やすい場所なら、くつろぐスペースにつなげるという考え方もできます。
庭の中でどう使うかだけでなく、家の中から庭をどう楽しみたいか。
その視点も加えると、暮らしに合った配置を考えやすくなります。
ここまでできれば、庭の大まかなゾーニングはできあがりです。
庭木など大きくなるものは将来の姿も考えよう
ゾーニングができたら、庭木など大きなものを配置するときのことも少し考えておきましょう。
この段階で、具体的にどの植物を植えるかまで決める必要はありません。
ただし、大きく育つものを置く予定の場所は、今の空きスペースだけで判断しないことが大切です。
たとえば
- 大きくなったときに通路へ張り出さないか
- 窓を大きく覆わないか
- ほかのゾーンを狭くしないか
- 隣家や道路側へ広がらないか
- 剪定などの手入れができる場所か
といったことも確認しておきます。
今は小さくても、植物は成長します。
「今ここに置けるか」だけではなく「大きくなってもこのゾーンの使い方を邪魔しないか」という視点で考えておくと、そのあとの植物選びにもつながります。
紙の上で決めたら、実際の庭でも確認してみよう
紙の上で大まかなゾーニングができたら、その図を見ながら実際に庭へ出てみましょう。
図ではちょうどよく見えても、実際にその場所に立ってみると印象が違うことがあります。
たとえば、くつろぎゾーンを考えたなら、その場所に椅子を置いて座ってみます。
「ここなら落ち着いて過ごせそうか」「何が見えるか」「家から出入りしやすいか」などを確認できます。
動線として考えた場所も、実際に歩いてみましょう。
思っていたより狭かったり、図では曲げた通路を自然とまっすぐ歩きたくなったりすることもあります。
植栽ゾーンや広場なども、鉢やホース、椅子などを目印として仮置きすると、どのくらいのスペースになるのかイメージしやすくなります。
一度で決める必要はありません。
紙に描く → 実際の庭で確認する → 紙に戻って修正する
というように何度か行き来しながら、自分の庭に合った配置を探してみましょう。
小さな庭や細長い植栽スペースで、花壇や通る場所をどう収めるか迷う方は、小さな庭のつくり方も参考にしてください。浅い花壇の植え方や、植物が育った後も歩き、手入れできる配置の工夫を紹介しています。
ゾーニングは最初から完璧でなくていい
最初につくるゾーニングは、庭の完成図ではありません。
庭いっぱいに植栽や設備を配置せず、少し余白を残しておくのも一つの方法です。
実際に庭を使い始めると
「思っていたよりここをよく歩く」
「ここは植物を植えるより、自由に使える場所として残した方がよかった」
など、計画したときには分からなかったことが見えてくることがあります。
植物が成長すれば、庭の見え方や日当たりが変わることもあります。
そのときは、ゾーニングも変えて構いません。
また、ゾーニングができたからといって、すべての場所を一度につくる必要もありません。
まず一か所から始め、実際に使いながら次の場所へ進む方法もあります。
最初から何年も先の完成形を決めるのではなく「今の段階では、この庭をこう使ってみよう」くらいの大まかな計画として考えてみましょう。
まとめ|庭の条件とやりたいことから「どこを何に使うか」を考えよう
庭のゾーニングでは、最初から花壇の形や植える植物まで細かく決める必要はありません。
まずは
庭の見取り図を用意する
↓
庭の環境を確認する
↓
どんな庭にしたいか、何をしたいかを整理する
↓
これからの動線を考える
↓
用途ごとに大まかなゾーンに分ける
↓
室内からの見え方も確認する
という順番で考えてみましょう。
大切なのは、日当たりがよいから植栽、空いているから庭木、というように一つの条件だけで配置を決めないことです。
庭の環境と、そこで何をしたいのか。
その二つを組み合わせながら「ここは植栽」「ここは歩く場所」「ここではゆっくり過ごす」というように、庭全体の使い方を整理していきます。
そして、ゾーニングは庭の完成形を固定するものではありません。
実際に歩いたり、過ごしたり、植物を育てたりしながら、使いにくいところがあれば変えていけばよいと思います。
まずは紙に自分の庭を描き「この場所を何に使おう?」と考えるところから始めてみてください。
庭づくりガイド
庭づくりをこれから始める方や、基本から確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
初めての庭づくりロードマップ
庭づくりで何を考え、どんな順番で進めればよいかをまとめています。
庭づくりを始める前の環境チェック
日当たり・水はけ・風・土など、まず確認しておきたい庭の条件を紹介しています。
庭植えの基本
苗を庭に植えるときの基本的な手順と、初心者が迷いやすいポイントを紹介しています。
庭の土づくり
植物を育てるための庭土の確認と、必要に応じた土づくりの基本を紹介しています。


