庭づくりを始めるときは、すぐに植物を買ったり、花壇をつくったりしたくなるかもしれません。
でも、その前に一度、自分の庭がどんな環境なのかを見ておくことが大切です。
同じ庭の中でも、よく日が当たる場所もあれば、午後になると日陰になる場所もあります。
雨のあとに水が残りやすい場所、風が強く吹く場所、庭木の影響で乾きやすい場所などもあります。
こうした違いを知っておくと、その場所に合った植物を選んだり、庭をどのように使うか考えたりしやすくなります。
といっても、最初から庭の環境を細かく調べる必要はありません。
まずは庭を歩きながら「ここは日が当たる」「ここは雨のあとに水が残る」といった違いに気付くところから始めてみましょう。
この記事では、庭づくりを始める前に見ておきたいポイントを、初心者向けに順番に紹介します。
庭づくりの前に、なぜ環境チェックが必要?
庭は、一つの敷地の中でも場所によって環境が違います。
日当たりのよい場所もあれば、建物や庭木の影になる場所もあります。
雨のあとすぐに乾く場所と、水が残りやすい場所が隣り合っていることもあります。
植物にも、それぞれ育ちやすい環境があります。
日なたを好む植物もあれば、半日陰の方が育てやすい植物もあります。
乾燥に強い植物もあれば、ある程度湿り気のある場所を好む植物もあります。
そのため、庭の条件を知らずに植物や配置を決めてしまうと、あとから「思っていたより日が当たらない」「ここだけいつも土が湿っている」と気付くことがあります。
ただし、日陰だから悪い、水はけが悪いから庭に向いていない、ということではありません。
大切なのは、自分の庭にどんな場所があるのかを知ることです。
庭の特徴が分かれば、その環境に合う植物を選ぶこともできますし、必要であれば環境を改善することもできます。
環境チェックは、庭を評価するためではなく、その場所をどう使えばよいのか考えるための準備と考えると分かりやすいでしょう。
まずは庭を歩いて、全体を眺めてみよう
最初から道具をそろえて、庭を細かく測る必要はありません。
まずは庭を一周してみましょう。
普段何気なく見ている庭でも、少し意識して歩いてみると「こちら側は明るい」「ここだけ土が湿っている」「このあたりは風が強い」といった違いが見えてきます。
一度ですべてを把握しようとせず、まず庭全体の特徴を大まかにつかみます。
そのうえで、次の8つのポイントを参考に、まずは植えたい場所や気になる場所から確認してみましょう。
なお、最初から8項目すべてを詳しく調べる必要はありません。
庭づくり前に確認したい8つのポイント
① 日当たりと日陰
まず見ておきたいのが、庭の日当たりです。
「南向きだから日当たりがよい」「北側だからずっと日陰」と方角だけで判断するのではなく、実際に庭へ出て確認してみましょう。
家や隣家、塀、庭木などの影響によって、同じ庭でも場所ごとに日当たりは変わります。
また、午前中は日が当たっていても、午後になると建物の影に入る場所もあります。
反対に、朝は日陰でも午後から日が当たる場所もあります。
もう一つ覚えておきたいのが、日当たりは夏と冬でも変わることです。
夏は太陽が高い位置を通りますが、冬は低くなります。
そのため、夏にはよく日が当たっていた場所でも、冬になると建物や塀などの影に入ることがあります。
我が家の第一ガーデンも、夏は比較的日が当たりますが、冬になると日照時間が短くなります。
だからといって、庭のすべての場所で一年中同じように日が当たる必要があるわけではありません。
冬は休眠したり地上部がなくなったりする植物もあれば、常緑のまま冬を越す植物や冬に花を咲かせる植物もあります。
大切なのは、育てたい植物が必要とする時期に、その場所でどのくらい日が当たるのかを考えることです。
一年間観察してから庭づくりを始める必要はありません。
まず現在の日当たりを確認し、季節によって変わることを覚えておけば十分です。

日なた・半日陰・日陰の違いや見分け方については「半日陰・日陰の違いとは?庭の日当たりの見分け方と植物選び」で詳しく紹介します。
② 雨のあとの水はけ
水はけは、晴れている日に庭を見ただけでは分かりにくいことがあります。
確認しやすいのは、雨が降ったあとです。
庭を歩いて
- 水たまりが残っている場所
- 土が長く湿っている場所
- 周囲より早く水が引く場所
がないか見てみましょう。
同じ庭でも、少し低くなっている場所に水が集まったり、場所によって水の引き方が違ったりします。
水が残りやすいからといって、排水工事が必要とは限りません。
まずは「この場所は水が残りやすい」と知っておくことが大切です。
そのうえで、その環境に合う植物を選ぶのか、必要に応じて水はけを改善するのかを考えていきます。

③ 風の通り方・強さ
庭では、風の通り方も場所によって違います。
建物の角や建物同士の間など、風が強く抜ける場所がある一方で、塀や生垣などに囲まれて風が弱い場所もあります。
風が強い場所では、植物が傷んだり、鉢が倒れたり、土が乾きやすくなったりすることがあります。
反対に、空気が動きにくい場所では、植物が蒸れやすくなることもあります。
庭に出たときに「ここはいつも風が強い」「このあたりは風が弱い」と感じる場所があれば覚えておきましょう。
風の通り方を知っておくと、あとで植物や配置を考えるときの判断材料になります。
④ 土の状態
水はけとあわせて、土そのものの状態も見てみましょう。
専門的な土壌分析をする必要はありません。
まずは表面を見たり、手で触ったり、スコップで少し掘ったりするだけでも分かることがあります。
たとえば
- 表面が硬く締まっている
- スコップが入りにくい
- 石が多い
- 粘り気が強い
- 砂っぽくさらさらしている
といった特徴です。
ここでは「良い土か悪い土か」を判断する必要はありません。
まず現在の土がどんな状態なのかを知っておけば、花壇をつくったり植物を植えたりするときに、必要な土づくりを考えやすくなります。
土の改良方法については、今後、土づくりの記事で詳しく紹介していきます。
⑤ 既存の庭木や植物
すでに庭木や生垣、大きく育った植物がある場合は、それらの影響も見ておきます。
大きな庭木があれば、その下や周囲には日陰ができます。
ただし、庭木の下=日陰だから湿っているとは限りません。
樹木の葉によって雨が届きにくかったり、根が水分を吸ったりするため、木の下の方が乾きやすいこともあります。
また、大きな木の近くでは根が広がっていて、植物を植えようとしてもスコップが入りにくい場合があります。
既存の植物をすぐに移植したり撤去したりする必要はありません。
まずは、その植物によって「どこに影ができるのか」「周囲の土は乾きやすいのか」「根がどこまで広がっていそうか」といったことを見ておきましょう。
⑥ 建物・塀・設備などの影響
庭の環境は、植物だけでなく建物や構造物からも大きな影響を受けます。
家、物置、塀、フェンス、擁壁などがあると、日陰ができたり、雨が届きにくくなったり、風の流れが変わったりします。
特に軒下や建物のすぐ近くは、雨が降っても意外と土が濡れないことがあります。
また、室外機や水栓など、庭づくりをしても使える状態にしておかなければならない設備もあります。
「ここには何があるか」だけではなく、その周囲の環境にどんな影響が出ているかまで見ておくと、あとで配置を考えやすくなります。
⑦ 高低差や傾斜
庭を歩きながら、地面の高さにも目を向けてみましょう。
一見平らに見える庭でも、よく見ると少し低くなっている場所や傾斜している場所があります。
低い場所には雨水が集まりやすく、傾斜があれば水が流れていく方向も変わります。
雨のあとに水が残る場所があれば、その周囲との高低差も一緒に見ておくと原因を考えやすくなります。
ここでも、すぐに地面を平らにしたり工事をしたりする必要はありません。
まずは、庭のどこが高く、どこが低いのかを知ることが大切です。
⑧ 普段歩く場所・庭の使われ方
最後に確認したいのが、人の動きです。
庭の環境というと日当たりや土ばかり考えがちですが、普段どこを歩いているのかも庭づくりでは重要です。
たとえば
- 玄関から庭へ出る場所
- 駐車場との行き来
- 物置へ向かう場所
- 洗濯物を干すときに通る場所
- 水栓を使うために通る場所
などです。
日当たりがよく植物が育ちやすそうな場所でも、毎日のように人が通るのであれば、植栽場所にせず動線として残した方が使いやすいことがあります。
この段階では「ここに花壇をつくる」と決める必要はありません。
まず、現在どこをよく使っているのかを確認しておきましょう。
一度で庭の環境が全部分からなくても大丈夫
ここまで8つのポイントを紹介しましたが、一度庭を見ただけですべて分かるわけではありません。
日当たりは時間帯や季節によって変わりますし、水はけは雨が降ったあとでなければ分かりにくいものです。
風の強さも、その日の天候によって違います。
だからといって、庭の環境を一年間調べてから庭づくりを始める必要はありません。
まず分かる範囲で庭を見て、庭づくりを進めながら新しく気付いたことを加えていけば大丈夫です。
庭にいる時間が増えると
「冬はここまで日陰になるんだ」
「大雨のあとだけ、この場所に水が残る」
「春はこの方向から風が強く吹く」
といったことも少しずつ分かってきます。
庭づくりは、最初にすべてを把握して完成させるものではありません。
育てながら庭を知っていくことも、庭づくりの一部です。
気付いたことを簡単な見取り図に書いてみよう
庭を歩いて気付いたことは、簡単にメモしておくとあとで役立ちます。
きれいな図面をつくる必要はありません。
紙に家と庭の形を大まかに描き
「午前中は日が当たる」
「午後は日陰」
「雨のあと水が残る」
「乾きやすい」
「風が強い」
「大きな庭木がある」
「少し低い」
「よく歩く」
といったことを書き込むだけでも十分です。
すべてを書き込む必要はありません。
庭を歩いて気付いたことから、簡単にメモしておくだけでも大丈夫です。
こうして一枚にまとめてみると、庭の中にいくつか異なる環境があることが分かりやすくなります。

この見取り図は完成した庭の設計図ではありません。
あくまで、今の庭がどんな場所なのかを整理するためのメモです。
環境チェックの結果を庭づくりに活かそう
庭の環境が分かってきたら、その情報をこれからの庭づくりに使っていきます。
| 気付いたこと | 庭づくりでどう活かす? |
|---|---|
| 日当たりがよい | 日なたを好む植物の候補地に |
| 午前中だけ日が当たる | 半日陰に合う植物も検討 |
| 雨のあと水が残る | 植物選びや必要な排水対策を考える |
| 乾きやすい | 乾燥に強い植物や乾燥対策を考える |
| 風が強い | 植物選びや必要な風対策を考える |
| 庭木の下 | 日陰だけでなく乾き方や根も確認 |
| よく歩く | 植栽せず動線として使うことも |
ここで大切なのは、庭の条件をすべて植物に合わせて変えなければならないわけではない、ということです。
たとえば乾きやすい場所なら、乾燥に強い植物を選ぶ方法もあります。
水が残りやすい場所なら、その環境に合う植物を考えることもできますし、必要であれば水はけを改善する方法もあります。
庭の環境を知ることで、選択肢を考えやすくなる。
それが環境チェックの大きな目的です。
環境が分かったら、庭の使い方を考えてみよう
庭の日当たり、水はけ、風、土、既存の植物、動線などが分かってきたら、次は「この庭で何をしたいか」を考えます。
花や庭木を楽しみたい。
家庭菜園をつくりたい。
椅子を置いてくつろげる場所がほしい。
できるだけ管理の手間を減らしたい。
同じ環境の庭でも、どんな庭にしたいかによって使い方は変わります。
そして
庭の条件を知る
↓
どんな庭にしたいか考える
↓
その二つをもとに配置を考える
という順番で進めると、庭全体を考えやすくなります。
次の「庭のゾーニング・配置の考え方」の記事では、今回確認した庭の条件をもとに、植栽する場所、くつろぐ場所、歩く場所などをどのように分けて考えるのかを紹介します。
→ 庭のゾーニング・配置の考え方|初心者でもできる庭の分け方
まとめ|まず自分の庭がどんな場所なのか知ろう
庭づくりを始める前に、まず自分の庭を歩いてみましょう。
日当たり、水はけ、風、土、庭木、建物、高低差、普段の動線などを少し意識して見るだけでも、今まで気付かなかった庭の特徴が見えてきます。
最初からすべてを調べる必要はありません。
分かるところから確認し、庭づくりを進めながら少しずつ理解していけば大丈夫です。
環境チェックは「この場所は庭に向いている・向いていない」と決めるためのものではありません。
この場所にはどんな特徴があり、どう使えばよいのかを考えるためのものです。
まずは庭に出て、自分の庭がどんな場所なのか眺めてみる。
そこから、次の庭づくりを始めてみましょう。
庭づくりガイド
庭づくりをこれから始める方や、基本から確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
初めての庭づくりロードマップ
庭づくりで何を考え、どんな順番で進めればよいかをまとめています。
庭のゾーニング・配置の考え方
庭をどう使うかを考えながら、植物や花壇などの配置を決める基本を紹介しています。
庭植えの基本
苗を庭に植えるときの基本的な手順と、初心者が迷いやすいポイントを紹介しています。
庭の土づくり
植物を育てるための庭土の確認と、必要に応じた土づくりの基本を紹介しています。


