小さな庭に花を植えたいけれど、通る場所がなくなりそう。細長い花壇に何をどう植えればよいか分からない。椅子を置いて過ごしたいけれど、植物を楽しむ場所も残したい。限られたスペースでは、そんな迷いが出てきます。
小さな庭づくりでは、植えられるだけ植物を詰め込むより、楽しみたいことと、植物が育った後に使える場所を一緒に考えると、配置を決めやすくなります。広く見せることにこだわらなくても、好きな花や緑があり、無理なく手入れできれば、心地よく楽しめる庭になります。
我が家の第一ガーデンは横幅約11m、奥行きは場所によって約1~3m。第二ガーデン(擁壁の上にある庭)も横幅約10~11mに対して奥行き約1.8mと、奥行きの限られた場所で庭づくりを続けています。この記事では、小さな庭や細長い植栽スペースで、花と緑を楽しむための配置の工夫を紹介します。
小さな庭では、いちばん楽しみたい場所をつくろう
小さな庭にも、花壇、小道、庭木、椅子など、取り入れたいものはいろいろあると思います。ただ、すべてを同じように盛り込もうとすると、それぞれの場所が窮屈になることがあります。
まずは「ここで何を楽しめたらうれしいか」を考えてみましょう。たとえば、次のように楽しみ方から配置を考えられます。
| 楽しみたいこと | 小さな庭での配置の考え方 |
|---|---|
| 室内から花や緑を眺めたい | よく座る場所から見える一角に、好きな植物をまとめる |
| 好きな植物を育てたい | 手入れする場所を残し、育った姿が収まる範囲で植える |
| 庭でコーヒーを飲みたい | 椅子に座り、立ち上がれる場所を確かめてから、周りに植える |
| 玄関までの行き来を楽しみたい | 歩く場所を確保し、その脇に花や葉を添える |
複数の楽しみを組み合わせても構いません。椅子に座って花壇を眺めるように、一つの場所で両方を楽しめることもあります。
庭全体の用途や配置がまだ整理できていない方は、庭のゾーニング・配置の考え方で、歩く場所・植える場所・過ごす場所の分け方を確認できます。ここからは、その配置を狭い場所にどう収めるかを考えていきましょう。
植える前に、通る・しゃがむ・座る場所を残す
花壇の縁ではなく、育った枝葉まで考える
花壇の外に通路があっても、植物の枝葉が張り出せば、実際に歩ける幅は狭くなります。細長い場所では、通路の両側へ植物を植えることで、両側から道を狭めてしまうこともあります。
まずは片側に植栽をまとめる、張り出しやすい植物を通路の曲がり角や出入口から離すなど、歩きやすさを優先する配置も考えてみてください。低い草花でも横に広がるものがあるので、高さだけでは判断できません。
通路の幅を一律に決める必要はありません。普段歩くだけなのか、じょうろや剪定した枝を持って通るのかでも必要な余裕が変わります。植える予定の範囲をひもなどで示し、実際に荷物を持って歩いてみると、窮屈な場所に気付きやすくなります。
手が届くことと、作業できることを分ける
花に手が届いても、株元の草取りや、奥の枝の剪定ができるとは限りません。植える前に、その場所でしゃがめるか、作業する腕を動かせるかも確かめておきましょう。
我が家の第二ガーデンは、奥行き約1.8mのうち、手前約80cmがコンクリート、奥約1mが植栽部分です。これは我が家のスペースの寸法であり、どの庭にも勧める花壇や通路の幅ではありません。花壇の奥まで無理なく手入れできるかは、植物の茂り方や、作業する人によっても変わります。
手入れのために奥へ入る必要があれば、足を置ける場所を残す方法もあります。出入口や水栓、点検するふたなどの前は、植物や鉢でふさがないようにしましょう。
椅子は、置いた状態より使った状態で確かめる
椅子が収まっても、座ると膝が植物に当たったり、椅子を引くと通路がふさがったりすることがあります。使う予定の椅子があれば、実際に置いて、座る・立つ・横を通る動作を試してみてください。
常設すると窮屈なら、使うときだけ出す折りたたみ椅子も選択肢です。出し入れする場所まで考えておくと、続けやすくなります。
奥行きの浅い花壇・細長い場所の植え方
無理に何列も植えなくていい
奥行きの浅い花壇に、背の高い植物、中くらいの植物、低い植物を何列も並べようとすると、成長後に重なりすぎることがあります。一列を基本にして、高さや花・葉の違いを楽しむ植え方でも構いません。
たとえば、コンパクトな株を間隔を空けて植え、育ったときの葉が隣の株や通路にどう広がるかを見ます。苗の間が空いていても、そのすべてを別の植物で埋める必要はありません。
「奥は高く、手前は低く」という配置も使えますが、奥行きに余裕がある場所で取り入れれば十分です。狭いところに無理に段差をつくるより、好きな植物の姿が見え、手入れできることを優先しましょう。
長い場所は、端から端まで同じ密度にしなくてもいい
細長い場所では、全体を均等に植え込む以外に、窓の前や通路の先など、よく見る場所へ植物をまとめる方法もあります。その間に少し空きを残せば、通り抜けや手入れに使えることもあります。
見た目をまとめたいときは、気に入った葉色や同じ植物を、離れた場所でもう一度使ってみるのも一案です。色数や種類数を決めてしまう必要はなく、全体を眺めながら調整してみてください。
また、細長い場所は、同じ花壇の中でも日が当たる部分と、建物やフェンスの影になる部分が分かれることがあります。写真で見た植物の組み合わせをそのまま再現するより、植える位置の光や土の乾き方に合わせて選ぶとよいでしょう。
株の横幅と、植えられる土の範囲を確認する
小さな苗でも、成長すると横に大きく広がるものがあります。ラベルなどで成長後の株幅・樹幅を確認し、通路や隣地へ張り出さずに楽しめるかを考えましょう。
花壇の見た目の幅があっても、すぐ下がコンクリートだったり、配管などがあったりすると、根を伸ばせる土が少ない場合があります。狭い隙間へ無理に庭木を植えず、土の範囲に合う草花にする、鉢で楽しめる場所を別に設けるなどの方法も考えられます。
特に、大きくなる庭木を植えてから、毎年強く切って収める方法は、剪定の負担も含めて考えたいところです。まずは自然に育ったときの姿が場所に合う植物や、コンパクトに育つ品種から探してみましょう。
日当たりとの相性や、成長後の大きさ、続けられる手入れから候補を絞る方法は、庭に植える植物の選び方で紹介しています。
庭へ入らなくても楽しめる一角をつくる
小さな庭では、庭の中を歩き回る以外の楽しみ方もあります。リビングの椅子や食卓など、普段いる場所から見える花や緑を整えるだけでも、庭が暮らしに近くなります。
植える前に、室内のいつもの位置に座って庭を見てみましょう。屋外で立って見たときには目立つ花も、室内からは窓枠や手前の植物に隠れてしまうことがあります。見える位置に鉢を仮置きするなどして、花や葉を楽しめる高さを確かめると配置しやすくなります。
室内から眺めることが中心なら、鑑賞のための小道を無理に増やす必要もありません。ただし、水やりや剪定に入れる場所は残しておきます。
目隠しがほしい場合は、「どこからの視線を、どの位置で遮りたいか」を確かめましょう。座ったときに気になる方向だけを隠す方法もあり、庭の周囲すべてを高く囲うとは限りません。植物やフェンスを置いた後の日当たりと、手入れする場所も一緒に考えます。
鉢・棚・つる植物は、管理できる範囲で取り入れる
鉢は動かせる便利さと、水やりの手間を考える
鉢植えは、土のない場所でも植物を楽しめて、配置を変えやすい方法です。一方で、数が増えれば水やりや植え替えの対象も増え、大きな鉢は簡単には動かせなくなります。
私も、庭の管理でいちばん負担に感じているのは水やりです。そのため、鉢を減らし、地植えや半地植えへ移すことを考えています。自動散水も今後導入する予定ですが、まだ導入後の効果を紹介できる段階ではありません。
鉢を取り入れるなら、花壇に植えられない好きな植物を育てる、季節の花を一角に添えるなど、使いたい場所から考えてみてください。鉢底からの排水や、鉢の後ろを掃除できるかも確認しておくと安心です。
高さを使っても、手入れの場所は必要
棚やハンギング、つる植物は、地面だけではつくれない景色を楽しめます。ただし、棚の脚や鉢の張り出し、茂ったつるも場所を使うので、地面が空けばその分すべて通路になるとは限りません。
棚は、鉢を載せた状態で安定し、奥や上段にも無理なく水をやれるものを選びます。つる植物は、伸びる長さに加え、誘引や剪定をする位置、支える設備の固定方法まで考えましょう。壁へ直接這わせるか、支柱などで育てるかも、植物の性質と建物の管理に合わせて判断します。
高い場所の手入れが負担になりそうなら、手の届く高さに絞る方法もあります。高さを使うことを必須にせず、自分が楽しめる方法を選んでください。
水やりや剪定の負担を減らす方法は、ローメンテナンスの庭づくりで、自分の負担に合った工夫を探せます。
小道は、必要なところから整える
小さな庭に小道をつくる場合は、まず普段歩くところと、手入れに使うところを考えます。広く見せるために無理に曲げたり、庭全体を一周できるようにしたりする必要はありません。
出入口から花壇へ行く部分だけ、椅子の足元だけなど、よく使う範囲を整えるところからでも始められます。雨の後の歩きやすさ、段差、掃除のしやすさも、使う場面を想像しながら選びましょう。
レンガや平板、砂利、植物で覆う方法の違いは、庭の地面は何で覆う?で比較できます。植える場所と歩く場所で、素材を使い分けることもできます。
まず一角から植え、育った様子を見て調整しよう
配置が決まっても、最初からすべてを植え終える必要はありません。よく見える一角に好きな植物を植える、鉢を一つ置いて眺めを確かめるなど、できるところから試してみましょう。
植物が育ったら、枝葉が通路へ出ていないか、隣の株が隠れていないか、株元の手入れができるかを見ます。窮屈なら足すのを待ち、草花の移植や株分けなど、その植物に合う時期と方法で調整していきます。
空いて見える場所があっても、成長のための余裕や、手入れに使う場所かもしれません。花の少ない季節も含めて眺めながら、もう少し花を足すのか、今の余裕を残すのかを考えてみてください。
まとめ|小さな庭に、自分が楽しめる場所を
小さな庭づくりでは、好きな花や緑を取り入れながら、植物が育った後にも歩き、手入れし、過ごせることを考えてみましょう。浅い花壇は一列でも、室内から見える一角だけでも、庭の楽しみをつくれます。
まずは、いちばん楽しみたい場所を一か所決め、通る・しゃがむ・座る動作を試してみてください。そこで無理なく収まる植物を少しずつ育てれば、使いながら配置を整えていけます。
庭づくり全体で何から始めればよいか迷う方は、初めての庭づくりロードマップで、庭の観察から植栽までの流れを確認できます。


